第2部の百度日本法人高橋氏は、「検索マーケティングで成果に繋げるテクニック」と題して、中国国内でのインターネットの現状、百度の検索データからみた「名古屋」について、そして百度リスティング広告を利用した日本企業のプロモーション事例等について講演されました。
冒頭で高橋氏は、百度を「Ad Platform and Marketing tool」、つまり広告を掲載する場であると同時に、その膨大な検索結果から様々な市場動向が見えてくるツールだと位置づけられましたが、特に後者の「マーケティングツール」としての視点は、今後中国と何かしら関わりを持ってビジネスを展開していく企業にとって留意しておくべき点だと思います。例えば、「名古屋」は中国からどう見られているか、ということを百度ユーザーの検索履歴から辿っていくと、
- ここ2年間で名古屋関連の検索ボリュームが大きく増えたのは、
名古屋市長の発言、人民日報が名古屋の寒桜を紹介、杭州緑城vsグランパス開催
といったタイミング
- 中部および関西圏で検索ボリュームが多い都市は、 京都、大阪、名古屋、奈良、神戸の順
- 名古屋大学、名古屋工業大学など、大学関連の検索ボリュームが多い
- 名古屋を検索しているユーザーが多い地域は、北京、上海、天津、広州、蘇州の順
- 名古屋を検索しているユーザーの職業は、多い順に、
教育・学生、IT、媒体・娯楽、金融・不動産、政府・公共サービス
等のデータが判明します。
もちろん、検索結果だけをみてマーケティング戦略を立てることは早計だとは思いますが、少なくとも、例えば「名古屋は留学の候補地としては比較的注目されているものの、観光地としての注目度は低い」など、ある程度の仮説を導き出すことはできるのではないでしょうか。
また、百度に広告を掲載したある塗料メーカーのプロモーション事例では、ホームページ内に問合せフォームのみを設置していた期間とチャットでの問合せを追加した期間では、チャット導入後に売上が3〜8倍に急増するといった現象が起きており、中国のユーザーにとって、如何にチャットが一般的なコミュニケーションツールとして普及しているかをうかがい知ることができます。
百度に限らず、三億人以上のユーザーを誇るという中国版twitter「新浪微博」、中国版facebook「人人網」等、中国のインターネット媒体には、情報検閲がされているとはいえ確実に「世論」が反映されています。中国マーケットを知るうえにおいて、これらのインターネット媒体を「マーケティングツール」として捉え、そして活用することは、予想以上に大きな武器を手にすることになるような気がします。
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