AARIアジア中小企業レポート
株式会社愛知アジア総合研究所(AARI)

記事更新日.13.03.25

製造業を中心とした愛知県および東海地域の中小企業に向けて、アジア各都市とのコネクションと様々なソリューションに関わるノウハウをもとに、技術支援、品質管理支援、環境対策支援等、ソフト面での海外進出をサポート。第一弾として、中国江蘇省常州市への進出サポートを展開中。
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■第11回 江蘇省常州市プロジェクト その4

執筆者:株式会社愛知アジア総合研究所 代表取締役 乗松薫
1970年名古屋市生まれ。1996年早稲田大学法学部を卒業後、岩手朝日テレビを経て、2000年ヤフー株式会社入社。2003年、名古屋にて株式会社ミルゲート(旧 有限会社エヌ・プランニング)を創業。以後、WEB領域を中心に、ナショナルクライアントから中小製造業まで、数多くの企業の国内およびアジア地域へ向けたプロモーション業務に携わる。専門領域は国内およびアジア市場へのプロモーションプランニングおよびコピーライティング。2012年3月、株式会社愛知アジア総合研究所を設立し、代表取締役に就任。

常州市熱処理協会との交流〜その後〜

第9回のレポートでお伝えした通り、尖閣問題以後、しばらくの間低迷していた常州市中小企業業との交流が、昨年末の我々の訪問を機に何とか動き出しました。具体的には常州市熱処理企業幹部の来日研修が決まったわけですが、その詳細な打ち合わせをするために、3月の初旬、我々は再度常州を訪問してきました。

今回は常州熱処理協会に加盟する会員企業の中から4名の来日が決定。5月から順に来日し、AARI取締役の原が経営する菱輝技術センターをメインに、1ヵ月間、主に熱処理の生産管理の現場を勉強することになります。

AARIが交流している常州市の熱処企業は、どの会社も比較的景気が良い様子で、新しい設備の導入や新工場の増設などを相次いで実施しており、ちょっとしたバブルが起こっているような、そんな印象さえ覚えます。ただ、やはり歴史が浅いからなのか、中国というお国柄なのか、例えば工場内の環境ひとつとっても、日本でいうところの5Sとは少し遠いところにあるような気がしています。もちろん企業によっては随分と管理体制が進んだところもあるわけですが、多くの企業の現状は日本の大手メーカーの認証をとても得られるような水準には達していません。そのため、昨年8月に来日して日本の熱処理工場数社を視察した際には、その管理体制のレベルの高さに常州市側からの参加者の多くが驚き、日本の現場をもっと勉強して自社の工場も日本の水準に追いつきたい、という要望が我々に寄せられていました。

その要望を実現させる形で5月から来日する常州企業の幹部たちは、「世界一綺麗な熱処理工場」を目指す菱輝技術センターでの研修を通して、5Sや改善はもちろんのこと、生産管理をメインに1ヵ月間みっちり講習を受けることになります。そして、今後更に多くの企業幹部が日本での研修を経験した後に、AARIでは、新たなレベルで常州市の熱処理企業とのビジネスを共にできれば・・・と、考えているのです。
 
新たな展開

これまで約2年間、主に熱処理協会を中心に常州市との交流を深めてきたわけですが、3月の訪問から、AARIでは常州市との新たな展開を迎えることができました。

むしろ、「新たな展開」というよりは、「本来目指していた方向性がようやく実現できてきた」といった方が良いかもしれませんが、熱処理に限定されない製造業の分野において、愛知県中小企業のニーズと常州市中小企業とのニーズをマッチングさせる具体的な取り組みをスタートさせることができたのです。

今回、実現に向けて取り組み始めたのは、
・常州市ベアリングメーカーからの技術指導要請
・愛知県企業からの常州市内での表面処理協力会社紹介要請
・愛知県企業からの常州市内での環境設備拡販会社紹介要請
の3件で、今回の訪問中、常州市ベアリングメーカーからは彼らが抱える問題点のヒアリングを実施し、愛知県側からの要請に対してはマッチング候補となる企業を実際に訪問し、面談および工場視察を実施してきました。

いずれの常州市企業も中小企業局からの紹介とあって、こちらの求める水準に十分に達しており(或いは予想外に規模の大きな企業が名乗りをあげていたりして)、改めて市政府中小企業局がAARIとの窓口になっていることのアドバンテージを感じました。



様々な変遷を経て、3月15日にようやく設立1年を迎えることができたAARI愛知アジア総合研究所。今後は常州市熱処理協会との交流を更に深化させつつ、愛知県、そして常州市の中小企業の皆様に対して我々の活動を更にアピールして、より多くの製造業同士のマッチング業務を実現させていきたいと思っております。

長江三鮮

さて、話は変わって常州の食に関してです。

今回の常州市訪問では、旬を迎えた「長江三鮮」と呼ばれる長江の三大水産物のひとつ、「刀魚(タチウオ)」を食べる機会に恵まれました。

タチウオと言っても、我々日本人が想像する細長くて歯の鋭い海の魚とはちょっと違い、何というか、とても繊細かつか弱い見た目をした魚で、産卵のために海から長江を遡上してきたところを獲って、蒸して食します。



この刀魚、実は絶滅の危惧にあるとも言われているほど希少で、そのお値段は100グラムあたり1,000元(約15,000円)!するとかしないとか。あまりの高級ぶりに少々ひるみつつも思い切って口に入れてみると、小骨が多いものの見かけどおりの繊細な味で、脂がのっていながらも淡白。日本人の好みにもぴったりで、私が中国で食べた魚の中で断トツ1位の旨さなのでした。

ちなみに、刀魚以外の長江三鮮は「河豚魚(フグ)」と「(ジギョ)」。長江で獲れる魚ですから、フグにしても日本と違って河を遡上してきたところを獲って食べるというわけで、いずれも常州市で味わうことができます。

魚に限らず、食材が豊富な常州。その料理は、味付けも比較的あっさりしていて、辛くも油っこくもなく日本人好み。常州訪問時は、その食も、我々AARIメンバーの大きな楽しみになっているのです。
 
 (次回に続く)


※AARIが提供するサービス、及び常州市プロジェクトの最新情報はAARIのWEBサイトhttp://www.aa-ri.co.jp をご覧ください。情報は随時更新予定です。