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これからの企業経営に向けて
田附 英和 (たづけ ひでかず) 記事更新日.11.08.01
日本政策金融公庫 名古屋中支店長
■PROFILE
出身 滋賀県
    54年  4月    国民金融公庫入庫 姫路支店
平成3年  7月    業務第一部 調査役
      6年  3月    千住支店 融資第二課長
      9年  3月    融資部 融資課長
    11年  3月    さいたま支店 北関東信越地区 総括室長
    19年  3月    水戸支店 支店長
    20年10月    日本政策金融公庫 発足
    21年  4月    名古屋中支店 支店長兼国民生活事業統轄

連絡先: 日本政策金融公庫  名古屋中支店   国民生活事業
〒460-0003 名古屋市中区錦1−11−20
TEL: 052-221-7241(代)  FAX: 052-204-3716
ウエブサイト http://www.jfc.go.jp/  
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1 はじめに
2009年9月のレポートにおいて「第二創業」の進め方のポイントについて紹介しました。あれから早や2年が経ちました。その間、中国がわが国を追い抜き世界第二の経済大国になるなど、新興国の経済発展などにより世界経済は目まぐるしく変化しつつ成長を続けています。
一方、国内経済は東日本大震災や原発事故による急激なショックにより大きく落ち込みましたが、ここへきて生産活動は持ち直してきており、経営者及び消費者のマインドは上向きにあります。
しかし、新興国の経済成長は多少スローダウンしてきていますし、米国景気の停滞や欧州の財政不安による円高、原材料の高騰、電力不足などの不安要因があり、わが国経済の先行きには不透明感があります。また、わが国は中長期的には人口減少社会に入り、需要が縮小し供給が過剰となることから、内需型の中小零細企業にとっては、ますます過当競争が激しくなることが予想されます。
このように厳しさを増す経営環境において、企業は、従来の事業にのみ固執していては「時代への不適合」を起こす恐れがあり、「変わらないことのリスク」を認識しなければなりません。
そうした中、企業が生き延びていく一つの方法は、競争をうまく避けて生き残りを図る方法です。コストを抑えながら他社と差別化して、競争のない新たな市場で安定した位置付けを保つことです。もう一つは、リストラを中心とした対症療法だけでなく、自社を客観的に見直して、新たに創業するかのごとく経営の多角化や事業転換を図る「第二創業」が必要となってきます。
今回は、前者の方法としての企業減少時代に生き残るための新たな経営戦略(「ブルー・オーシャン戦略」)と後者の方法として、新たな事業に向け自社を客観的に分析するための「SWOT分析」を印刷業の事例をもとに紹介します。

2 新たな経営戦略(「ブルー・オーシャン戦略」)
先進国の経済が供給過剰となり過当競争が繰り広げられる中で、最近注目されている経営戦略が「ブルー・オーシャン戦略」で、欧州経営大学院(INSEAD)の教授達によって提唱された戦略です。
技術進歩とグローバリゼーションが進んだ結果、先進国では供給が需要を上回り、ニッチ市場や独占市場といったものがなくなりつつあります。既存の市場で激しく競争を繰り広げる多くの企業は、製品の同質化と日常品化から低価格競争を強いられています。低コスト化へ向かう圧力も大きく受けており、血みどろの競争状態(レッド・オーシャン)に陥っている例は随所にみられます。このような既存市場(レッド・オーシャン)で血みどろの競争に明け暮れるよりも、新市場(ブルーオーシャン)を切り開いて、競争のない世界で成功を掴もうとするのが「ブルー・オーシャン戦略」です。この戦略は低成長経済における新しいパラダイムであり、世界に先駆けて人口が減少する時代に突入した日本にとって重要な意義を持ちます。
「ブルー・オーシャン戦略」は、新規需要を主体的に創造し、競争のない市場空間を生み出して競争を無意味化する手法です。その中で重要な概念が「バリュー・イノベーション」です。レッド・オーシャンでは、企業は低コスト競争に巻き込まれています。これは、製品の差別化ができなくなっているためです。ところが、ブルー・オーシャンを開拓する企業は、低コスト化と差別化を両立させることで、大きな利益を上げることができます。これを可能にするのが「バリュー・イノベーション」です。
「バリュー・イノベーション」は、これまでなかった新しい価値を買い手に提供するものであり、イノベーションと実用性、価格、コストなどが調和することで実現します。ハイテクなどの技術イノベーションではなく、既存の経営資源の新たな組み合わせから生まれる、新しい価値のことです。既存の経営資源を有効活用しているから低コストが実現でき、新たな価値を提供するから差別化が可能になります。
「ブルー・オーシャン戦略」は、我が国でも実践されています。事例を二つ紹介します。
典型的な事例の一つはNTTドコモのiモードです。携帯電話でインターネットやメールができるというアイデアは、通話のみに限られていた携帯電話市場に新たな地平をもたらしました。 通話料が高くて長電話できないユーザーに安価なメールという手段を提供したことで利益が大きく拡大したのです。「電話」から「メール」へ「バリュー・イノベーション」を図った例です。
もう一つの事例は、徳島県上勝町の (株)いろどり です。和風料理のツマモノ(飾り)に使う南天や紅葉、松の葉を全国に出荷しています。町のいたるところにある葉っぱを高級料理店で使えるような商品にして販売するというアイデアは秀逸です。「葉っぱ」から「ツマモノ」へ「バリュー・イノベーション」を図った例です。
いずれも、新しい市場空間(ブルー・オーシャン)を創り、ビジネスとして成功している例です。この他にも、宅配便、ブルーレイ、スマートフォン、ipadなどかつては影も形もなかった産業や消費財が生まれているのもその例です。

3 新たな事業に向けた「SWOT分析」
新たに事業を興していくためには、自社の有する経営資源と自社を取り巻く経営環境について客観的な分析が必要であり、そのための手法として「SWOT分析」があります。熱心な経営者の方なら従業員とともに行ったことがあるかもしれません。
SWOTとは、S(strength=強み),W(weakness=弱み),O(opportunity=機会),T(threat=脅威)の略です。内部の経営資源と外部の経営環境を自社にとってプラスとマイナスに働くものに分け、4つの領域について出来るだけ多くピックアップしていきます。ピックアップが終われば「強み」を生かし、「弱み」をカバーするにはどうすべきかを考え、今後の経営の方向性を打ち出します。
以下に、具体的な印刷業A社の事例をあげてみます。不況の波にのまれ業績の低迷していた印刷業者がSWOT分析を活用して、今後の自社の方向性を明確にした例です。



このように、内部の経営資源と外部の経営環境を整理して、いかに強みのある製品、サービス を市場機会の中で伸ばしていくかが重要です。

4 最後に
わが国経済は、まだしばらくは新興国の経済発展の恩恵を受けますが、基本的には供給過剰の過当競争が続きます。こうした中で、企業はたゆまぬ経営努力により、新しい「市場空間」を創ったり、「第二創業」により経営の革新を図る必要があります。
 私ども日本公庫では、経営の多角化や事業転換などにより第二創業を図る方を「新事業活動促進資金」の融資により支援しています。また、SWOT分析や財務診断分析を行うことにより、企業経営のアドバイスも行っています。 お気軽に「最寄り支店」や「こくきんビジネスサポートプラザ名古屋」窓口にご相談ください。
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