これまで、商社任せにしていた貿易を直貿に切替えることは、よくおこなわれることです。この場合に、市場・客先の開拓はすでに商社により為されているので、スムーズな移行が課題となります。まず商社の海外拠点に駐在員を置き、つぎに独立して支店、現法を開設するなど、時間はかかるがステップをふんで、直貿に切替えゆくケースが多くみられます。 この移行がうまくゆかず、販売権の譲渡で揉めたりすると、内輪争いで販売が低下したり、競合相手にマーケットを侵食されてしまいます。
さらに直貿に切替えることは、前述のようにリスクも手間もかかることをはっきり認識し準備して、体制を整えて実施しないと、失敗しかねません。口銭率をめぐって一時的に揉めて、前後のみさかいもなく商社はずしをしても、体制が出来ていないのでは続きません。
当たり前のことですが、経営戦略をはっきり立てて、体制づくりをして直貿に切替えてゆくことが大切です。
2) まったく新しく貿易をはじめる |
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間接貿易から直貿に進むのではなく、白紙の状態から貿易を始めるケースです。買って(つくって)売るという商取引の原則は、国内も海外もおなじです。
ただ、国境を越える取引という点で、貿易にはいくつかの留意すべきポイントがあり、白紙から始める場合には、そのようなことを先入感なく聞き入れて、実践すれば、むづかしいことではありません。
それと、商品開発やモノづくりにかける努力、苦労に比べれば、貿易ノウハウはすでに存在し誰でもが共有できるものであり、その気になって取り組めばすぐ習得できるし、少しもむずかしいものではありません。
3) 他者の機能をうまく使う |
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そのようにして、直貿をはじめるわけですが、貿易業務は自分ですべて
を行うわけでなく、多様な機能の関係者がかかわっています。決済には銀行、通関・船積は物流業者、リスク保全には保険会社などがあり、海外にも支店網を持っているので、その専門分野のノウハウ、情報を利用することができます。またJETROの貿易支援機能、海外駐在員網も強化されており、海外職業訓練協会、商工会議所、都道府県の中小企業貿易支援もあわせて活用することにより、海外駐在員を置かずともかなりのことが出来ます。そして、直貿のスタンスをベースにもういちど商社機能を見直して、アウトソースした方が良い部分は商社を活用するということも選択肢です。このように、直貿を行うにしても、他者の機能、力をうまく利用すれば労少なくして、効果が期待できるものがあります。
1) 国際間の物品売買取引 |
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貿易とは、あたりまえのことですが、国際間のモノの売り買いであるということです。広い意味では貿易には、物流、保険、金融、観光などのサービス分野もふくまれますが、ここではモノ貿易に限定してお話をします。
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貿易とは、外国の相手と商品の売買取引をすることである。。
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外国へ商品を売ることを輸出、外国から商品を買うことを輸入という。
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取引は日本経由であるが、商品は外国で買い外国へ売ることを三国間貿易という。
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5) 貿易の形態 |
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ここで、貿易のいろいろな形態について整理しておきます。
@ 取扱い者による分類
・ 間接貿易
・ 直接貿易(直貿) A 取扱い対象による分類
・ 商品貿易(モノ貿易)
・ サービス貿易
B 移動による分類
・ 輸出
・ 輸入
・ 三国間
C 特殊貿易
・ 委託加工貿易
・ プラント貿易、海外プラント建設
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