最近、食品、建材、合成樹脂、再生紙等、偽装問題が大きく報道されています。これまでにも粉飾、データ改ざん、保険金不払い等の不祥事がありました。 業界団体である経団連は「企業行動憲章」を、経済同友会はCSR(企業の社会的責任)普及の理念の下「社会的責任経営」を発表し、社会に信頼されるコーポレートガバナンス(企業統治)を啓蒙してきました。しかし一向に企業の不祥事がなくなりません。各業界の独特のムラ社会には、いまだに長年の商慣習がはびこっているのかもしれません。
2000年大店法(大規模小売店法)の廃止の頃からわが国では法律改正や新しい法律が公布されてきました。これらの一連の動きは、グローバリズム(米国からの規制緩和の要望)も含め法化社会が到来したことを告げています。つまり、企業に対しては、国による保護・規制はできるだけなくし、自由な経済活動をさせる代わり、その活動には法令等を遵守し責任を持ちなさい、ということです。一方、消費者に対しては、法律は整備したので商品購入の際は自己責任で判断しなさい、ということです。
海外に目を向けますと、現在中小企業を含め多くの企業が海外へ進出しています。各企業においては、国際ルールはもちろん進出先の国の法令、規則等に違反しないようにし、現地の文化・慣習を尊重し、現地社会に配慮した社会貢献活動もできること(現地化)が求められています。こうした国内外ともに複雑化・多様化した社会では、より地域社会に順応した経営が求められ、単に法令等を遵守するだけのコンプライアンスということではなく、企業倫理や社会貢献等を含む広義のコンプライアンス経営が重要となってきました。
2006年5月施行の「新会社法」においては、大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の株式会社)に対し、内部統制(注:1)の方針を決定することが義務付けられました。そしてその具体的な基準(指針)は、2006年9月施行の「金融商品取引法(日本版SOX法)」によって定められました。今年2008年4月からいよいよ財務報告に関わる内部統制が始まります。内部統制の定義には、四つの目的があり、そのひとつに「事業活動に関わる法令等の遵守」というコンプライアンス項目があります。そして六つの基本的要素の中には「リスクの評価と対応」というリスクマネジメント(注:2)項目が入っています。この基準は大会社向けですが、中小企業にとってもコンプライアンス構築には参考となります。下図にシステム構築の際のイメージを作成してみました。
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