経営戦略レポート 特集
経営戦略レポート
海外支援
中小企業支援等レポート
技術の広場
あいち技術ナビ
あいち産業振興機構中小企業支援
海外駐在員便り
時代の目
特集(トピックス)
企業ルポ
翔 魅力ある愛知の中小企業
あいちの製品ProductsAppeal
経営革新に挑戦する中小企業成功事例集
創業企業に聞く
支援企業に聞く
お店訪問 繁盛の秘訣
科学技術は今
ホームページ奮闘記
スペース
スペース
経営相談Q&A
労務管理Q&A
資金調達Q&A
組織活性化Q&A
環境対策Q&A
省エネQ&A
経営革新Q&A
窓口相談Q&A
IT活用マニュアル
IT特集
どんどん使ってみようWindows Vista
IT管理者お助けマニュアル
ネットワークお助けマニュアル
セキュリティお助けマニュアル
お助けBOX
補助金助成金一覧
施策ガイド
「ネットあいち産業情報」更新をお知らせします!
  トップ > 経営戦略レポート 特集 > 
外国人雇用の留意点
高梨 泰子 記事更新日.08.07.01
高梨労務総合事務所 代表
■PROFILE
特定社会保険労務士申請取次行政書士
名古屋生まれ名古屋育ち
高卒後、総合商社三菱商事株式会社に入社。鉄鋼薄板関係事務従事。翌年、愛知大学法経学部2部法学科入学、4年後卒業。その間に退社しアメリカでのJ-1ビザプログラム(ワーキングホリデー類似)経験後、海運会社にて船積書類作成業務を経験。
専業主婦の後、自宅にて学習塾をしながら、司法書士事務所や不動産会社にパート勤務。育児期間中に、行政書士、宅地建物取引主任者資格取得。
平成7年に社会保険労務士資格を取得し、翌年、社会保険労務士・行政書士事務所開業。 中小企業の人事労務管理をメイン業務とし、就業規則作成、外国人在留関係・雇用支援、年金相談、人材派遣業許可申請、官公庁提出書類作成などトータル的なサポート業務を 行っている。  
 
連絡先  
高梨労務総合事務所  
〒446-0073 安城市篠目町古林78-6  
TEL 0566−75−9291   FAX 0566−75−9097  
E-mail yakko@mint.ocn.ne.jp
 http://www5.ocn.ne.jp/~tym/
印刷用ページ

1.はじめに

社会経済のグローバル化、IT化の進展、少子・高齢化による雇用環境の変化とともに、日本国内への外国人入国者数は、入国管理局統計によると年々増加しています。

 外国人労働者の受入れについて、政府は、第9次雇用対策基本計画において「専門的、技術的分野の外国人労働者については積極的に推進することとし、いわゆる単純労働者の受入れについては日本の経済社会に多大な影響を及ぼすこと等が予想されることから十分慎重に対応することが不可欠である。」と基本方針を発表しています。

中小企業においても、適正な外国人雇用を行い、協働、共存を考える時勢になってきているのではないでしょうか。

2.外国人登録者数の現状

日本に入国し90日以上在留する外国人は、外国人登録法により入国後90日以内に市区町村役場へ登録することが義務づけられていますが、この地方の名古屋入国管理局管内の外国人登録者数は、平成18年末現在45万434人で、年々着実に増加しており、過去最高記録を更新しています。

国籍(出身地)別、県別での内訳は、下表のとおりです。県別では、愛知県が20万8千514人と最も多く、東海・北陸7県のうち全体の約46パーセントを占め、次いで静岡県、岐阜県、三重県と続いています。

名古屋入国管理局管内の外国人登録者数(平成18年末現在)
国籍(出身地)別外国人登録者数(人)
ブラジル 中 国 韓国・朝鮮 フィリピン その他 合 計
178,651 84,914 69,864 48,049 68,956 450,434


東海北陸7県 外国人登録者数(人)
愛知県 静岡県 岐阜県 三重県 富山県 福井県 石川県 合計
208,514 97,992 54,616 49,593 14,908 14,217 10,594 450,434
スペース
(名古屋入国管理局発行資料より)

3.外国人の就労

日本国内で就労する為には、世間で一般的に「就労ビザ」と言われている就労可能な在留資格を持っていなければなりません。

日本国内に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法(いわゆる入管法)に基づき、入国の際に与えられた在留資格、在留期間の範囲内に限って在留が認められています。現在、在留資格は27種類あり、次の3種類に分けられます。

国内での活動に制限がない在留資格 4種類
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」
永住権を取った人やその配偶者・子ども、日本人と結婚した人や、日系2世、3世、一 定理由で認められた4世等で、身分や地位に基づいて在留活動が認められるもので、どのような仕事にも就くことができます。

在留資格の範囲内で就労が認められる17種類
「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「投資・経営」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術」「人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」 「特定活動」(ワーキングホリデー、技能実習生等、個別に指定される就労活動)

原則として就労が認められない在留資格 6種類
「文化活動」「短期滞在」「留学」「就学」「研修」「家族滞在」

「留学」「就学」「家族滞在」の在留資格の方は、入国管理局で資格外活動許可書の交付を受けると次表の範囲内でアルバイトをすることができます。(ただし風俗営業等を除きます。)
 

アルバイト可能時間
  1週間のアルバイト時間 大学等の長期休暇中のアルバイト時間


大学等の正規生(専ら聴講による研究生又は聴講生を除く) 1週間につき28時間以内 1日につき
8時間以内
専ら聴講による研究生又は聴講生 1週間につき14時間以内 1日につき
8時間以内
専門学校等の学生 1週間につき28時間以内 1日につき
8時間以内
就学生 1日につき4時間以内
家族滞在者 1週間につき28時間以内
その他に1991年11月に施行された、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)による1945年9月以前から引き続き日本に在留する平和条約国籍離脱者及びその子孫の方々に「特別永住者」の在留資格が付与されており、就労制限はありません。

4.外国人を雇用する際の確認事項

外国人を適法に雇用するには、その外国人の「在留資格」「在留期間」等を、旅券(パスポート)、外国人登録証明書、就労資格証明書、資格外活動許可書等で確認するようにしてください。就労資格の無い外国人を雇用した場合、トラブルに巻き込まれたり、不法就労助長罪として雇用主自身に罰則が科せられる可能性があります。

旅券(パスポート)での確認
1.旅券の番号、発行年月日、有効期間満了の年月日 2.旅券の名義人の氏名、生年月日、性別  3.出生地 4.旅券の発行国、発行地、発行機関 5.現在有効な証印

上陸許可、在留資格、在留期間、在留期限等を記した証印(スタンプやシール)の確認の際、在留期間更新や、在留資格変更している場合は、「USED」「VOID」「CANCELLED」のスタンプが押されていないものが現在有効です。

現在有効な証印の近くに「申請 APPLICATION」という上図(左下段)のようなスタンプが押されている場合は、現在、期間更新(E受付番号)又は資格変更(C受付番号)の申請中であり、まだ結果が出ていないという意味で、証印中の在留期限を経過していても不法残留にはなりません。永住(P受付番号)申請中の場合は、現在の在留期限までに許可されないと不法残留になりますので気をつけてください。

外国人登録証での確認
外国人登録証は、常に携行しなければならないことになっています。登録事項のうち、居住地、氏名、国籍、職業、在留資格、在留期間、勤務先の名称や所在地などに変更を生じた場合は、14日以内にその居住地の市区町村長に対し、変更登録することが義務づけられています。変更事項は、外国人登録証の裏面に記載されますので、最新の履歴を必ず確認してください。       

不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法 第73条の2)
次の各号の一に該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1.事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
2.外国人に不法就労活動をさせるためこれを自己の支配下に置いた者
3.業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関し斡旋した者

過去に外国人の派遣元、派遣先も不法就労助長罪で検挙されています。人材派遣を受ける場合でも、業者任せにしないようにしてください。

5.在留資格の範囲内で就労可能な外国人の雇用方法

@海外から呼び寄せる、A日本にいる留学生を採用する、B日本国内の企業からの転 職者を採用する、C海外の系列会社からの出向等、が一般的に考えられます。

@海外から呼び寄せる場合
「技術」「人文知識・国際業務」「技能」「企業内転勤」の在留資格の外国人を呼び寄せる場合が多いかと思います。あらかじめ日本での就労内容が就労目的に該当していることを認めてもらう在留資格認定証明書の交付申請を行うのが一般的です。

外国人が日本に入国する場合は、外国にある日本の大使館や領事館等の在外公館に入国目的に対応する査証(ビザ)の発給申請を行い、旅券に査証印を受けた上で日本に入国する方法と「在留資格認定証明書」制度があります。

後者は、たまたま在日中の外国人本人や雇用主等の在日関係者が、地方入国管理局等に交付申請を行い、同証明書が交付された場合は、在外公館において査証申請の際にこれを添付すれば、すみやかに査証が発給されます。交付申請に必要な書類は概ね以下のとおりです。

外国人の履歴書、写真、卒業証明書、職歴証明書、パスポート写し、雇用契約書、会社案内、商業・法人登記簿謄本、損益計算書写し等

在留資格により、学歴、専攻内容、実務経験年数等が決められており、報酬は日本人と同等額以上であることが求められます。

雇用する会社の安定性、継続性、外国人を雇う必要性があるか、外国人が単純労働でないか等会社も審査されます。

A留学生を採用する場合
主に「技術」「人文知識・国際業務」等への在留資格変更手続きが必要になります。

B転職者を採用する場合
転職者を採用する場合は要注意です。就労系の在留資格は、基本的には、以前の会社で就労することにより許可された在留資格ですので、同じ在留資格の範囲内の業務であったとしても、転職先で就労可能とは限りません。更新申請で不許可になったような場合、突然に就労できなくなりますから、在留期限まで切迫していないのであれば、「就労資格証明書」の交付申請をし、就労可能かどうか確認したほうが安心できます。

C海外の系列会社からの出向等
海外にある本社から日本支社に転勤又は、海外にある関連会社から日本国内の事業所に出向してくる人には、「企業内転勤」の在留資格が付与されます。転勤又は出向直前に外国にある本店、支店その他の事業所において1年以上継続して「技術」又は「人文知識・国際業務」に掲げる業務に従事しており、入国後も当該業務に就き、日本人と同等額以上の報酬を受けることが必要です。

 
在留
資格
活動内容 在留
期間

日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動
システムエンジニア、自動車設計技師等
3年
又は
1年
人国
文際
知業
識務
・   
日本の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
通訳、企業の語学教師、為替ディーラー、デザイナー、海外取引業務等
3年
又は
1年




外国にある事業所(日本及び外国企業の子会社、合弁会社など)から日本にある事業所に期間を定めて転勤又は、出向して「技術」又は「人文知識・国際業務」の在留資格に対応する活動 3年
又は
1年

日本の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する技能労働者としての活動
外国料理のコック、貴金属の加工職人、スポーツ指導者等
3年
又は
1年

6.採用後の人事・労務管理

基本的には、 外国人も日本人と同様、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等労働法令の適用があり、不法就労者にも適用されます。

社会保険の適用事業所においては、日本人と同様、健康保険、厚生年金加入手続きが必要です。

雇用保険については、外国公務員、外国の失業保険制度の適用を受ている場合を除き、被保険者となる所要の要件を満たす場合は、在留資格の如何を問わず原則として被保険者となります。

雇用上の注意点
労働基準法第3条では、「使用者は労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない」と規定しています。

外国人労働者にも労働条件通知書を
外国人に対しても、採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を労働条件通知書等書面にて明示しなければなりません。

就業規則の整備
就業規則についても、外国人だからという理由で差別的な取扱いをすることは許されま せん。トラブルを避ける為にも、日本人、外国人を問わず、雇用形態・職種に応じた就業 規則の整備をされるとよいでしょう。

解 雇
外国人労働者といえども、退職、解雇の条件は日本人労働者と変わりありません。不当解雇は雇用主の責任を問われます。 外国人の場合、契約期間の途中で、その外国人の在留資格が失効することがありますので、就業規則の解雇理由に「外国人については、会社で従事する業務に就くことができる在留資格を喪失したとき」の一文を入れておかれるのがよいでしょう。

7.おわりに

厚生労働省は、事業主が考慮すべき事項をとして、外国人労働者に関して、雇用管理を改善し、適正な労働条件及び安全衛生を確保しつつ就労できるようにする為、「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」を策定しています。

また、平成19年10月1日からは、すべての事業主の方に、外国人労働者(特別永住者を除く)の雇用または離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期限、国籍等を公共職業安定所長に届出ることが義務付けられました。

外国人労働者を雇用する事業主の方は、この指針等に対応し適正な雇用を心がけていただきたい思います。

尚、外国人雇用に関する問合わせ機関について次に掲載しておきます。

                       外国人雇用に関する問合せ公的機関
相談内容 問合せ機関 住所 電話
入国手続や在留手続等 名古屋入国管理局 
外国人在留総合インフォメーションセンター
〒455-8601
愛知県名古屋市港区正保町5-18

(代表)TEL 052-559-2150
 
TEL 052-559-2151〜2

 

外国人研修生・技能実習生の受入れ 財団法人 国際研修協力機構(JITCO) 〒461-0004 名古屋市東区葵2-12-1  ナカノビル2階 TEL 052-934-3932
    052-934-3950
日系人の直接募集 日伯雇用サービスセンター 〒01508-900
ブラジル国サンパウロ州サンパウロ市サン・ジョアキン通り 381 番地
TEL
001-55-011-278-0275
外国人労働者の方に対する職業相談、職業紹介、求人情報の提供 名古屋外国人雇用サービスセンター 〒460-0008 
名古屋市中区栄4丁目1-1
中日ビル12階
TEL 052-264-1901
労働条件等に関する
相談
外国人労働者相談コーナー
愛知労働局 労働基準部 監督課
豊橋労働基準監督署
〒460-8507
名古屋市中区三の丸2-5-1
名古屋合同庁舎第2号館2階

〒440-8506
豊橋市大国町111
豊橋地方合同庁舎6階
TEL 052-972-0253



TEL 0532-54-1192
あなたのご意見をお聞かせください
この記事を友人や同僚に紹介したいと思う
参考になった
参考にならなかった
 
Aichi Industry Promotion Organization
財団法人あいち産業振興機構