最終回を向かえる今回はいよいよサイト改善の手法を解説します。 さて、ただその前に1つ気をつけて欲しいことがあります。データ分析は多くのデータであればあるほど精度は上がります。たとえば、20〜30件の訪問数を分析しても「季節変動だ!」「偶然だ」となりかねません。まずは、サンプル数として十分な数字を見られる期間設定をしましょう。 Googleアナリティクスでは、画面右上の日付をクリックし、例えば1ヶ月を分析するのであれば、「9月2011」という「月」をクリックすれば1クリックで1月が選べますので便利です。また、「過去との比較」としますと、前月、または任意の月の比較(前年からGoogleアナリティクスを設置していれば前年なども可)が出来ます。 以降、新しいGoogleアナリティクスのメニューでの解説になります。新しいGoogleアナリティクスを未体験という方は画面右上の「新しいバージョン」をクリックしていただきますと切換可能です。特別なプログラムの設置等は必要ありません。
ウェブサイトには何らかの目標があるはずです。例えば、製造業サイトでは「問い合わせをしてもらう」、ネットショップであれば「売上げ目標××円」など。訪問者にそれらの行動をしてもらうために、それぞれのステップでその数や状況を把握することが第1歩です。ユーザー動向の図は9月号で紹介した通りです。その上で、成功している訪問を分析したり、そのケースに近いが成功していないパターンの課題を見つけたり、と調べていくのです。 以下は全て、Googleアナリティクスの「標準レポート」以下のメニュー操作になります。サイト改善の第1歩としては、まずはこれらの指標を把握することから始めましょう。
問い合わせ完了のURLですが、例えば次のようなケースが考えられます。以下のように検索しますと、「問い合わせがあった=問い合わせ送信完了URLが表示された」ということですので、問い合わせがあったかどうかを把握できるのです。
例えば前述のサイト状況の把握から、以下のような数値(参考例)がわかったとしましょう。
これだけ見るだけでも、改善のヒントが思いつくのではないでしょうか。Googleアナリティクスではメニューがたくさんありますが、まずはこれだけで十分です。 「がんばって作ったのにバナーがクリックされてないぞ!」 「新着情報はクリックされないぞ!トップのここに必要なのか?」 「トップページがたくさん見られているのだから、まずはトップページを改善してみよう!」 いずれも仮説の域は勿論出ません。しかし、こういった指標をそもそも知らなければ、改善の土俵にさえ立てていないことが理解できると思います。 一方で、「じゃあ平均3.6ページしか見られていないのは多いの?少ないの?」というのはあまり意味がありません。サイトの属性によって1ページだけでも問題無い場合と、そうでない場合があり一概には語れません。ただ、一般的には問い合わせや購買など期待するアクションを起こすユーザーというのは概ね平均ページビュー数は高くなる傾向はあります(多い場合ですと20PV以上など)ので、「じゃあ平均PVを増やすにはどうすればいいんだ?」と具体的に施策のアプローチ検討が出来ます。
アクセス解析は知れば知るほど、その奥の深さを実感されると思います。その一方で「そんなに分析する時間が無い!」「分析にコストをかけたら改善するデザイン費用が確保できない!」などという声もあるかと思います。また、ひらめいた改善策もあくまで「仮説」ですから、リニューアルの費用が100%回収できるかというと難しいとも言えます。 もちろん、すでにアクセス解析を取り入れている企業でも悩みは同じです。もしくは、課題やギャップは把握しているが改善施策をする費用が確保出来ない、という悩みは多く存在します。 ですから、オススメなのは効果が高いと思われる施策からトライすることです。 例えば前述のサイトであれば、トップページが最も多くアクセスされていましたので、トップページのデザイン修正が効果を上げるかもしれません。 もしくは、ゴールに近いところから改善する、という方法も有効です。 例えば問い合わせフォームを調べたとき、入力(100件)→確認(20件)→送信完了(15件)となっていたならば、送信確認画面からの移動を100%を目指すような施策を試す、ということです。ここをもしも改善できれば、すぐに問い合わせ増に直結するので、次回以降、改善のための予算確保に目途がつくかもしれません。
いかがだったでしょうか。3回に渡りアクセス解析を取り上げてきましたが、基本的なツールの使い方や指標の見方がわかりましたら、あとは改善のための仮説→実践→評価の繰り返しです。
皆さんのサイトが今以上に精度の高い運営が出来ることを祈っています。
ご愛読ありがとうございました!