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看板に店格を込める「店格創り看板」製造
合資会社 栗田看板舗 記事更新日.12.10.10
■問い合わせ先
合資会社 栗田看板舗
名古屋市東区泉2-1-20
電話 052-931-7886  FAX 052-931-3902
HP http://www.kanbanho.com
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伊勢名物「赤福」、熱田名物「きよめ餅」と聞いて何を連想しますか。
多くの方が和菓子を想像すると思います。あるいは「老舗」「職人技」「伝統」「お土産」などを連想される方もいると思います。
正解は「看板」です。店舗の上に掛かっている「あの看板」です。一枚板を使用して、伝統や格式に相応しい「和風看板」です。
 栗田看板舗の創業は明治44年です。初代栗田三弥が東京で修業を積み、名古屋市中区松元町にて栗田看板製作所を発足(途中第二次世界大戦の空襲のため疎開)しました。その後、昭和26年に東区鍋屋町(現泉2丁目)に移転して合資会社栗田看板舗を設立しました。平成12年からインターネットに力を注ぎ、そして平成18年二代目栗田博治から三代目栗田浩司へバトンタッチしました。

歴史を物語る古い看板が他にもありました。50年前に初代が奉納した看板です。それは社屋近くの神社内に掲げてあり、その裏を見ると初代の名前が刻んでありました。今回は伝統を受け継ぐ「和風看板」の製品紹介です。
◆三代目の思い
 

樹齢200年〜300年の欅(けやき)から幅90pの一枚板を取り出し和風看板を作ります。この看板が直ぐに朽ちるようでは、欅(けやき)の一生に申し訳ないと三代目は思っています。
また長年の風雨にさらされることにより看板に味が出てきます。欅(けやき)の樹齢に相応しい、耐用性も持った看板を作る義務があると考えています。

他方、三代目は技術力の向上を目指しています。ステンレスに金粉を貼る、瓦に金粉を貼る技術も持っています。ネットを見て〇〇に金箔を貼れないか? このような相談が舞い込むこともあります。
 
◆同業他社が非常に少ない
 

名古屋市内、愛知県内で和風看板を製造できるのは栗田看板舗だけです。エリアを愛三岐に広げても同業他社は存在していません。更に静岡・福井・石川・富山を含めた中部7県に広げても栗田看板舗だけです。さすがに老舗が多い東京、京都には同業は存在しています。

◆入口作業場風景
 

社屋の奥には木材を切る機械や通常の広告看板を製造する工場があります。入口には伝統工芸の雰囲気を醸し出す作業場があります。この作業場の壁に掲げているサンプルは全てオリジナルです。下地が網目になってそこに文字が掲げている看板(文字が浮いているように見える技法)、和風の門構えにピッタリな重厚な表札、木彫りした文字に金箔を貼った文字、金箔を貼った瓦等が掲げてあります。

製作途中の看板は、する漆(一枚板に漆を叩いてしみこませた状態)をかけた状態です。この一枚板に版下を張り、手で削る作業に移ります。
 

 

◆多数残っている版下が会社の見えない財産
 

入口作業場には多くの版下を保管しています。現在はデジカメを使って撮影し、それをパソコンに取り込んで版下を作っています。それまでは朱肉を使って版下を作ります。(拓本や魚拓をイメージしてください)

金型製造会社では「金型」が財産であるように、和風看板製造会社では「版下」が財産になります。版下があれば修理やメンテナンスが容易になります。また、技術の伝承にも繋がります。
 

◆手間をかけた丁寧な仕事
 

奥の工場には製造途中の和風看板がありました。一枚板に「恵の水」と彫られています。彫った部分に色を付けています。約30p×30pのサイズですが、乾燥も含めると7日〜10日を要します。当に職人の仕事です。

 

◆原材料の調達も国産100%
 

金箔は産地である金沢から直接仕入れています。また金箔の厚さにもこだわっています。一般的な仏壇に使用される金箔の3倍の厚さのモノを使用しています。その結果、長年の風雨に耐えることができます。ちなみに重要文化財である「金閣寺」は5倍の厚さです。
使用する板にもこだわりがあり「天然木の無垢板」しか使いません。その為巾1mクラスの板になると入手は難しく、さらに木柄にもこだわりますがら、多くの材木屋さんを回り最高の1枚を探します。

伝統工芸である漆器の製造工程に変化はないと聞いています。同様に栗田看板舗の看板製造工程にも大きな変化はありません。但し、機能性が優れた化学薬品を使用することはあります。
◆味を醸し出す和風看板
 

2軒隣に和風ギャラリーがあります。(尾張藩御鋳師12代加藤忠三郎作品「主に茶の湯釜」を展示)このギャラリーから「和風立て看板」の注文を頂きました。
その看板には平成10年3月と記しています。既に14年の歳月が過ぎています。風雨が木の油分を奪うことで彫った文字が浮いています。他方、油分を補うメンテナンスも適時行っています。昔は椿油でしたが今は機能性が高い化学薬品を使っています。

社屋に掲げている自社看板は銅版を使用しています。銅版を繋ぎわせて格子状のデザイン(銅版を編むと表現)にします。銅版の鈍い小金色が30年に風雨で深みのある緑青へと変化しています。
 
◆和風看板の修理
 

同業他社がないため、ネットを通じて修理の依頼があります。岐阜県内にある精肉店からネットを見た、お宅で作った看板でないが修理できますか?と依頼がありました。
また、古い看板を掲げているお店を見ると、声を掛けることもあります。市内にある筆を扱ったお店です。当社で製造した看板ではありません。その看板は軒先の上に掛かっています。看板に小さな屋根をかぶせた趣のある看板です。しかし、歳月が経過して文字も薄くなっています。気になり声を掛け修理することができました。

通常の広告看板も製造しますが、和風の店舗、老舗の店舗にあったオリジナル和風看板に力を注いでいます。お店の格(格調・風格・品格・格式など)に相応しい看板を製造するため、時間と手間を掛けます。その結果、看板がお店に馴染み、お店の顔へと変化します。当に看板に店格を込める「店格創り看板」を製造する会社です。

http://www.kanbanho.com/

取材・文 YAビジネスサポート 杉本 安行

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