今回は動物病院のレジ機能に特化した製品の紹介です。社名からの製品を連想することが難しいニッチを狙った製品です。また、社名を聞いて名古屋市内にある「猪子石」連想しますが全く異なります。また社名から製品イメージを膨らませることも難しく、またなぜ片仮名なのかなど想像を掻き立てられます。

JR中央線鶴舞駅から古本屋が軒を並べていた商店街（現在は商店街アーケードが撤去されています）を抜けて、裏通りに入った徒歩5分の場所にあります。当地の前は昭和区東郊通りありました。会社の前身をひも解くと戦後に遡ります。

昭和28年の東京にて「イノコシ電子レジスター」が設立されました。起業した猪越社長が白河（福島県）出身でした。社長の苗字から社名に「イノコシ」と入れました。昭和29年には名古屋へ進出しています。この当時のレジスターの値段は1台6万円です。（昭和29年　銀行大卒初任給が5,600円）

「もはや戦後ではありません」という高度成長とともに「イノコシ電子レジスター」も全国展開しました。今回取材している木村久三社長は初代の水戸（茨城県）営業所の所長として今日のスタートを切りました。昭和53年に現在の場所に移転し、昭和61年に名古屋イノコシとして木村社長が独立されました。

昭和40年に入り、主婦の店ダイエーを始めとするスーパー（量販店）が台頭します。名古屋では西川屋（ユニー）です。大手レジメーカーが量販店をターゲットに営業をするため、イノコシ電子レジスターは飲食、小売店、サービス業の中堅企業を対象に営業を行いました。富士山の頂上を目指すのでなく、5合目から8合目を目指す営業戦略です。

昭和の終わりころには金庫替わりの機能が特徴の廉価なレジスター（3万円前後）が流通します。そのため特定の顧客に絞った製品開発が必要なりました。それが動物病院レジスターです。東京でスタートを切りましたが、平成14年より名古屋が主となりました。 全国展開した「イノコシ電子レジスター」に関係する企業や人材とのつながりがあるため「名古屋イノコシ」が少人数精鋭で製品展開ができました。

農林水産省では毎年12月末に飼育動物診療施設の開設届出状況（診療施設数）を公表しています。全国的に微増ながら推移しています。まだまだ製品が入り込む余地はあります。

市販のパソコンとプリンターがあれば、動物病院窓口の受付〜会計処理までの業務は可能です。しかし、混雑時にはプリンターの速度に限界があるため窓口対応に時間を要します。また、動物にどのような治療を施したのか、その明細を記す必要もあります。規模が大きな動物病院では動物専用レジスターが必要になります。現在、納品した動物専用レジは641台です。

特徴
・１シートサーマルプリンターで診療明細書及び領収書を発行できます。
・診療項目は４０項目、バーコードアイテム数は１０００個設定可能です。また、病院様毎に合せた、診療項目キーレイアウト及び料金データを設定して商品発送致します 。
・スタッフの登録も１０名までできるため、レジ操作責任が明確になります。
・キャッシュドロアを分離（操作画面と金銭箱の分離）できますので狭い受付内でも設置できます。
・日計集計・累計集計・年計集計・１日の会計履歴の印刷とSDカードにcsv集計データ作成できるため病院経営の分析をお助けします。
・レシート・領収書に病院様のロゴマーク及び病院名指定書体を作成印刷できます。
・ ハンドスキャナー接続が可能なため、処方食やペット用品等に付いているバーコードを読取るだけで売上登録ができます。

特徴
・診療内容を漢字（JIS第1・2水準）により 鮮明・スピーディーに発行。飼主様をお待たせしません。
・カルテ�ｂﾌ印刷ができます。
・保険（アニコム・アイペット）の会計処理ができます。
・ダブルレシートサーマルプリンターで診療明細書及び領収書を発行、診療記録もすぐ確認出来ます。
・診療項目は24 項目、明細項目アイテム数は1,000アイテムの設定可能。
・スタッフの登録も20名までできるため、レジ操作責任範囲がより明確になります。
・ストアメッセージにより、飼主様へお知らせ等の印刷が可能です。
・簡易在庫管理機能 があり、ペットフードなどの在庫管理が容易になります。
・電子決済端末機接続が可能になります。
・ つり銭機（グローリー株式会社製 300ｼﾘｰｽﾞ）接続が可能です。（別途メーカー設定費が必要です）

特徴
・カルテ�ｌﾄ出し・受付券発行 ・予約券発行・未収会計・カード会計・前受金処理・保留機能・領収書発行・乗算処理があります。
・保険会計（アニコム・アイペット）・返品処理・取消処理・バーコード登録・ポイント管理・レジマイナス処理・トレーニング機能があります。
・割引と値引処理・入金処理・支払処理・点検精算集計処理・後釣り計算・受付状況・レシート再発行・支払分割機能などがあります。
・日計集計・期間集計・診療項目別集計・グループ別集計・担当医別集計・受付別集計・動物種別集計・取引別集計ができます。
・会計履歴印刷・売上ランキング・未収金リスト・前受金リスト・時間帯別集計・領収書記録・マシン別集計があります。
・カルテ検索・飼主別会計履歴・ＤＭ発行・各種証明書発行・診察券発行・請求書発行・日付別会計履歴・担当医別会計履歴、保険レセプト印刷・見積書作成・受付状況・お預かり状況・各集計印刷があります。
・カルテ管理ソフトと連動する事により、カルテ管理ソフトで新患登録をするとＣＸ−１ｖも自動的に登録されます。飼主様単位のレジ会計履歴がカルテ管理ソフトに取り込まれます。

この動物病用受付会計システムは、病院様の使用方法に合せていろいろな構成が出来ます。 ・受付に2台設置し会計をよりスピディーに処理することができます。
・診察室から獣医師がモバイル端末で会計情報を入力して送信します。それを受付が受信してカルテ番号を呼び出すだけで会計データが表示されます。

書棚に並んだファイルは顧客管理データです。どの病院へどのような仕様にして製品を納品したのかを保管しています。そのため、納品した製品の問合せ等は直ぐに対応ができます。 　　

今年に入り、土浦（茨城県）にある理容店から古い古いレジの修理依頼がありました。それは父親の形見として店に残っているレジでした。レジの右側にハンドルがついているタイプです。昭和40年代の 製品です。無事に修理を終えることが出来ました。大変うれしい話です。今でも動いているレジが残っていることの驚きと製品づくりの取り組み姿勢がレジのガチャガチャチャリンの音に乗って聞こえる気がしました。

参考　名古屋イノコシホームページ