食卓に笑顔と彩りを、
  「安心・美味しさ・笑顔」を詰めて届ける食品メーカー

記事更新日19.01

代表取締役社長 岡本 嘉久

【問い合わせ先】
岡本食品株式会社

名古屋市南区要町3-17
TEL 052-611-5301
HP http://www.ok-brand.co.jp/
   
 

岡本食品株式会社(以下:岡本食品)は、名古屋市南区要町にあります。名鉄常滑線柴田駅から東へ向かって徒歩15分の場所です。車の場合は名古屋高速2号大高線(大高方面)笠寺出口を下り、星崎1交差点を右折、1kmほど直進後、丹後通交差点の次の信号交差点を左折し400m先です。

岡本食品の主力の一つにみかん缶詰があります。みかん缶詰製品は知らないうちに隠れた「あいちの製品」になっていました。なぜなら、国内のみかん缶詰製造会社は10社しか残っていません。その1社が岡本食品です。しかも、岡本食品は全国みかん缶詰生産量の1割を占めています。(シェアについては岡本食品推定数値)

今回の「あいちの製品」は、このみかん缶詰を使った製品です。具体的には、蒲郡みかん規格外品をみかん缶詰にし、閑散期にそれをフローズンデザート製品にします。

  ■ 昔の名古屋市南区南部
 

明治39年にカゴメ株式会社(飲料、食品、調味料の大手総合メーカー)が東海市荒尾町西屋敷で工場を建設し本格的にトマト加工に着手しました。その加工工場の影響を受けて多くの食品製造会社が大正から昭和初期にかけて、東海市と東海市に隣接する南区南部に集まり、トマト加工品瓶詰製造から派生して野菜を加工する食品製造会社が集まったと想像します。

その中には90年の歴史を刻んでいる天狗缶詰株式会社(マッシュルーム缶詰が有名ですが、マスコミでも取り上げられた「おでんの缶詰」も有名です。)や設立71年を迎えるコジマジャム(小島食品製造株式会社)もあります。※天狗缶詰株式会社平成17年に本社を名古屋市中区金山へ移転しています。

戦後、南区南部では瓶詰から缶詰へとシフトし、複数企業の缶詰工場が稼働していました。その中の1社が今回取材した岡本食品です。

  ■ 会社沿革 創業100年に迫る
 

先々代である岡本千代松氏が大正10年5月に名古屋市南区鳴尾町にてトマトソース加工業を創業したのが始まりです。戦前はトマトケチャップ、ソース類に加えて各種ジャム類、魚類缶詰の製造に着手しました。戦後の昭和28年に法人化(株式会社化)し、昭和32年に現所在地に本社及び工場を移転して、果実、野菜缶詰を本格的に製造しました。みかん缶詰製造は昭和34年からです。現在の代表取締役社長 岡本嘉久氏は三代目になります。


   

  ■ 主力商品
  国産トマトホール1号缶
国産トマトダイス1号缶
国産カットトマト1.5kgパウチ 3kgパウチ


   
 

国産みかん1号缶
国産みかん5号缶
国産さのうみかん5G缶(さのう:ひと房のみかんをばらしたみかんの果肉(つぶつぶ))
   
 

マッシュルームスライス1号缶
国産たけのこカット2kgパウチ
国産黄桃ハーフ1号缶


   


 

 

■ 全国シェアが1位製品(岡本食品推定数値)

  国産みかん缶詰(1号缶)約25%     国産黄桃缶詰(1号缶)約60%  
国産トマト缶詰(1号缶)約90%
 
  ■ 温州ミカンの生産高 ミカンは減っている
  農林水産省のまとめによると、2017年の収穫量は74万1300トン(前年比3万6500トン減)で、統計を取り始めた1973年以降で最低。最も収穫量が多かった1975年の366万5000トンと比べると5分の1に減少した。

                     https://www.nippon.com/ja/features/h00212/
 
 

 

■ みかんの歩留まり悪化

  温州ミカンは出荷を早めるために品種改良を重ねられました。そのため、皮が向きやすく、食べやすくなりましたが、缶詰加工には不向きとなりました。なぜなら、歩留まりが非常に低くなったからです。以前は20kgのみかんから10kgの製品ができました。今日では倍の40kgのみかんから10kgの製品ができます。国内みかん缶詰工場が減少し、海外輸入に頼る要因がここにありました。同業他社が消える中で我慢強く耐え抜いたのが岡本食品のみかん製造ラインです。
 
  ■ フローズンみかん製品にみかん缶詰を使用する理由
 

フローズンみかんは缶詰みかんを開封して製造します。そのため、9割はみかん缶詰製造工程を経ます。そして夏場の閑散期にみかん缶詰を開封して冷凍ラインに乗せて加工します。

生のみかんをそのまま冷凍してもみかんの糖度が下がっているため甘みがでません。なぜなら、みかんは製造過程で多量の水の中を移動します。そのため糖度が10度前後まで下がります。一度シロップに浸した缶詰みかんを用いることで食べたときにみかんの甘みを出すことができます。 また、業務の平準化を図ることが可能になること、冷凍保存に比べて安価な保管コストの可能になることからもみかん缶詰を選択した理由です。また、缶詰にして少し寝かすことによりシロップが程よく果肉に染み込みます。
※みかんに限らず、黄桃も缶詰からフローズン黄桃を製造します。

 
  ■ みかん缶詰製造からフローズンみかん製造へ
  1)秋から露地栽培の蒲郡みかんが続々と工場に到着します。届いたみかんはサイズがバラバラです。


   

 

 

2)また、工場へ入る前にサイズの選別を行います。(SS・S・M・Lの4区分)


   

 

 

3)1階から2階の生産ラインへ


   

 

 

4)温水につけて剥皮 → ホロ割り → 内皮処理

   

 

温水につけることにより皮が向きやすくなります。軽く皮に切れ目を入れて、それをローラーの中へ通して皮を剥きます。その後は水圧と振動を掛けてひと房ごとに分けます。十分に分けることが出来ないものは振るいに掛けられ、再度ホロ割を通過させます。その後は内果皮を剥皮するため、1kmに及ぶラインの中をみかんが流れます。これは昭和8年に考案された酸・アルカリ併用した内果皮剥皮法です。日本人が考案した方法ですがそれが今も生きていることに驚くばかりです。

5)一粒のサイズ選別 → 目視選別 → 缶へ充当 → 秤量 → X線検査・ウエイトチェック 蓋をした後殺菌 → 箱詰め


   

 

 

6)ここからフローズン工程です

今回の取材では黄桃フローズンを、 缶詰から製品へと造りこんでいました。みかんフローズンも同じ工程になります。

保管缶詰を準備 → 開缶 → シロップを切る → 瞬間冷凍ライン → 秤量  → X線検査・ウエイトチェック → 袋詰め → 箱詰め


   

   
  ■ 生協を中心に販売
 

現在は生産量に限界があるため生協を中心に販売しています。口に入れたときに本物のみかんや黄桃を食べた感覚になること、ダイエットにも良いなど人気を得ています。また、購入した方が知人友人に配ります。それを頂いた方が当社へ電話をします。どこで買えますかと…。

 
   
  ■ 取材を終えて
 

コンビニの冷菓オープンケースの中に冷凍フルーツシリーズが陳列されています。メロン/オレンジ/いちご/アップルマンゴー/ぶどう/ブルーベリー/ミックスベリー/パイナップルの8種類です。カットしたフルーツをそのまま冷凍しています。最初はこれを連想しました。しかし、製造工程から別物であると理解でき、また味にも大いに違いがあることを知りました。大手が真似しても真似できない製品であり、正に知恵と効率(閑散期にラインを動かす知恵と作業の平準化)が生んだあいちの製品です。

みかん缶詰工程では手作業が非常に多いことに驚きました。皮がむけていること、ひと房ごとになっていること、ひと房に割れがないこと、など人間の手を掛けることが多いことです。また、大量の水を必要とすることにも驚きました。地下水が豊富に使える場所であることも製品になるための必要な条件でした。

岡本食品ホームページ
http://www.ok-brand.co.jp/company/

平成28年度第1回  あいち中小企業応援ファンド助成金交付決定先
蒲郡みかん規格外品を活用したフローズンデザート開発と販路拡大
https://www.aibsc.jp/Portals/0/fund/28saitaku.pdf

 

 

文責 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行