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  トップ > 企業ルポ あいちの製品Products Appeal > 株式会社三洲ワイヤーハーネス

ワイヤーハーネスは見えないあいちの製品

記事更新日19.07

南 友樹

【問い合わせ先】
株式会社三洲ワイヤーハーネス

愛知県碧南市石橋町5丁目33番地
TEL 0566-48-3755
HP https://www.swh21.com/
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  ◆ 愛知県の製造出荷
 

平成30年工業統計(概要版)によると、平成29年の愛知県の製造品出荷額等は46兆9,681億円(従業者4人以上の事業所)と全国の約14.7%を占め、第2位の神奈川県(17兆9,564億円)とは大差で、41年連続日本一のものづくり県です。

  ◆ 全国に対する愛知県の主な1位業種
 

製造品出荷額等において25業種中11業種が全国1位です。11業種の中に輸送用機械、業務用機械があります。業種別にみると、輸送機械が製造品出荷額等の56.1%、従業者数の38.2%と最も多くを占めています。
経済産業省「平成29年工業統計調査 地域別統計表」より

  ◆ ワイヤーハーネス
 

ワイヤーハーネスは、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線を束にしたものです。人間の体で例えれば神経にあたる重要な役割を果たしています。上述した愛知県の輸送用機械の全てにワイヤーハーネスが組み込まれているわけではありません。しかし、自動車の車内、業務用機械などには多くの電気配線を必要とする多様な装置で構成されているため、多種多様なワイヤーハーネスが使われています。このように考えるとワイヤーハーネスは「あいちの製品」と言えます。また、ワイヤーハーネスは外部から見ることが少ないため、正に隠れた「あいちの製品」でもあります。


   

  ■ 産業機器のアッセンブルに便利さを提供する会社
 

株式会社三洲ワイヤーハーネスは、名鉄三河線碧南駅から徒歩約8分の場所にあります。碧南駅は終点でもあり、一つ前の碧南中央駅との中間辺りです。県道から細い脇道に入った途中にあり、周りは昔からある住宅と町工場が混在しています。

株式会社三洲ワイヤーハーネスは、1949年碧南市内で創業して2.6mmから0.5mmまでの裸線及び錫引き線の製造を開始後、1959年に設立した三洲電線株式会社の姉妹会社です。そのため、株式会社三洲ワイヤーハーネスの創業は1982年になります。

創業以来ひとすじに、自動車用として、パワーステアリング用ハーネス、シートベルトスイッチ、カーナビアンテナ、医療機器用として歯科医のイス、産業機器では半導体マウンター、検査機器等、色々な分野で便利さを提供しています。現在は試作ハーネスに特化した対応力と10万台以上の生産力を持った量産品工場を兼ね備えています。

  ■ 製品ラインナップ 自動車機器 月産10万台以上の生産対応可能


   

  ■ 製品ラインナップ 医療福祉機器 小ロット(1台より)多品種対応


   

  ■ 製品ラインナップ 産業機器 特殊ケーブル加工


   

  ■ 300回路ハーネス

   

   
 

300回路ハーネスは3週間程で完成させました。きれいな半田付け作業、電線が絡むことがない結束など、他社では真似ができない作り込みです。最大2,000回路まで可能です。

  ■ 製造工程
 

本社は多品種少量のワイヤーハーネスを製造しています。その工程は女性従業員の手作業です。社内検定を設けており、その検定をクリアーした者が作業に当たります。


  1)線材の仕入れ
 

突発的な対応を想定して様々な線材在庫を仕入れて管理しています。

   

  2)線材切断
 

加工指示書には線材の太さ、長さ、色、数量の指定があり、それをどのような順番で作業するのかは熟練の技です。ベテラン作業者が小ロットの加工指示書を作業台に並べて1日の手順を決めます。そして線材ロールを切断機械にセットして切断します。小ロットのためセットの繰り返しです。

   

  3)圧着
 

端子と線材を圧着する工程です。端子の種類が多いので端子と専用アプリケータを間違いなく照合することが重要です。圧着を開始したときに必ずチェックを行い、適合と判断してから作業に入ります。ロットが少ないため、次の製品に移るためには専用アプリケータの段取り換えを頻繁に行います。

   

   
 

端子の圧着については手動で行う道具を多数準備しています。どのようなニーズにも対応する姿勢が表れています。

  4)半田付け
 

端子と線材を半田付けする工程です。コネクターや線材被覆の焼損が出ないようピストル型半田ごてを使っています。

  5)検査
 

出来上がった製品は機器(ハーネスチェッカー)を使って検査します。また、加工指示書の内容と出来上がったハーネスを人間の眼で確認します。作業の工程の中で、担当者限定の色鉛筆を使っているため責任の所在が一目瞭然になっています。

  ■ 技術力
 

写真の黒いワイヤーハーネスは、工場見学をした際に拝見した自動車のエンジン回りに使用するものです。展示会へ参加される際に必ず持参されます。自動車関係の専門家が見るとその技術力に驚き足を止められます。これともう一つ、300回路ハーネスです。実物を見ると、ハーネス1本ごとに信号名が付いています。どの線がどこにつながっているかが明瞭になっており、線の歪み、たわみもありません。もちろん丁寧な半田付けがされています。これらの技術力を支えているのが杉浦工場長です。取材の日、杉浦工場長は短納期の試作品製作に向けてパソコンと向き合っていました。


  ■ 製品の作り込みの裏にあるもの
 

愛知県は自動車産業を頂点とするものづくり風土があります。製品を作り込む姿勢や品質に対する考え方は2次下請け、協力企業まで浸透しています。ワイヤーハーネスそのものは愛知県を代表する製品ではありませんが、輸送用機械には不可欠な製品であること、そして製品を作り込む裏にある「姿勢」からも「あいちの製品」と位置付けます。

株式会社三洲ワイヤーハーネスの姿勢とは「困った所に手を貸す」ことです。例えば多芯構造のワイヤーハーネスを提案することで「コスト削減」と「作業容易性」につながります。また、銅ではなくアルミニウムを使ったオリジナル電線の開発を行えば、重量が軽減され住宅の配電作業の効率アップが見込まれます。(現在、アルミニウム電線の開発に取り組んでいます。)

  ■ 川下から川上への提案
 

ワイヤーハーネスは量産品でもあり、1つ何銭の世界であり単価の競争です。この単価競争の世界で「あいちの製品」として生き残ることは難しくなります。「あいちの製品」として生き残るためには、川下から試作品で川上へアプローチすることと南社長は考えています。

  ■ 取材を終えて
 

ワイヤーハーネスの出荷額等の統計データを探しましたが見つかりません。その理由を南社長へお尋ねしたら、個人経営が多かったこと、銭単位の内職仕事であったことがその理由らしいです。そのためどのように「あいちの製品」として紙面紹介するのか苦慮しました。

工場以外の社員食堂にて取材を行いました。食堂の壁には従業員の思いが貼ってあり、その思いが数年後には実現していると南社長が言われました。その瞬間、経営者と従業員の気持ちがワイヤーハーネスでつながっていると感じました。毎年の経営計画発表会、マネジメントゲーム(資金繰り・決算書の作成)、スタンプカードの実施が原動力のようです。
※選挙に行ったらスタンプ1個、墓参り行ったらスタンプ1個、読書感想文を提出したらスタンプ3個、外部研修参加はスタンプ5個など、従業員の公私にわたる活動に対して社長がスタンプを押しています。120個溜まればもちろん承認とご褒美につながります。


 
株式会社三洲ワイヤーハーネス
https://www.swh21.com/
https://proto-harness.com/

 

文責 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

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