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切削を転造に!
ねじ転造で特殊な形状・加工に挑戦!

記事更新日20.01

南 竜一

【問い合わせ先】
株式会社 名友産商

愛知県小牧市小木東2-188
TEL 0568-73-2952
HP https://meiyu-ss.co.jp/
印刷用ページ
   
 

今回はねじに関する「あいちの製品」です。 株式会社名友産商(以下:名友産商)は、転造加工に特化して、多品種少量のねじを作っています。今まで削っていたものをどうしたら削らずに作れるかをお客様と共に一緒に考え、絶えず挑戦しています。
本社は小牧市小木東にあります。最寄り駅は名鉄犬山線「岩倉駅」、駅から車で東へ2.5km、愛知県立小牧南高校の正門前にあり、道路からグリーンの工場壁面が目に留まります。

  ■ ねじ生産データ(工業統計調査)
 

金属産業新聞社HPには経済産業省が公表している工業統計調査より、ねじ産業を抽出したデータをまとめています。品目別には、ボルト・ナット、リベット、座金、小ねじ・木ねじ・押しねじ、その他の関連品に区分され、これらを製造する事業所をねじ製造業と位置付けています。都道府県別出荷量では、1位大阪府、2位愛知県、3位神奈川県となっており、当にねじは「あいちの製品」です。


大阪府は電機部品のネジの比重が高く、愛知県は自動車部品のネジの比重が高い特徴もあります。やはり自動車産業のすそ野が広い愛知県を表しています。

  ■ ねじは産業の塩
 

料理に欠かせない調味料の一つに塩があります。もし、塩がなければ料理が味気ないものになります。ねじも塩と同様にあらゆる機械に欠かせない必要不可欠なものです。自動車・ゲーム機、パソコンやテレビ、ビル工事、橋梁工事などに様々なねじが使われています。

  ■ ねじの主な製造方法
 

製造方法を区分すると、切削加工、冷間圧造、熱間圧造があります。切削加工は、少量製品や特殊形状の物に適し、冷間圧造は、素材を常温で連続成形加工できるので、生産性が高く、量産に向いています。熱間圧造は、素材を700℃以上に加熱した状態で成型加工する方法で、土木や建築向けなどの大物の加工に向いています。ちなみに名友産商は冷間圧造に属しています。

  ■ 名友産商のねじ
 

創業当時は自動車部品のシャーシに関わる太いねじ、自動車の窓を開閉するためのねじを手掛けていました。その後は転造(ネットシェイプ形成)に特化し、ブレーキ内部部品、電動パワーシートに必要なねじ加工などを行っています。


転造(ネットシェイプ形成)とは、削らず熱を加えず金属の素材を複雑な最終形状の部品に成形する加工法です。これにより量産品でなく、多品種少量品、更に少ない試作品(5〜10本)などに対応するネジ切りが専門へと進化しています。愛知県内で転造(ネットシェイプ形成)をメインにしているねじ製造企業が少ないため、隠れたあいちの製品を扱っていることになります。


大阪府東大阪市の工場数は全国でもトップクラスです。事業所密度が高く、基盤技術が集積されている地域特性から、多種多様な製品が生産されています。「何でもつくれる東大阪」「何でもそろう東大阪」と呼ばれています。この東大阪から名友産商へ依頼が来ることもあるため、転造(ネットシェイプ形成)の高い技術力の証でもあります。


また、導入しているねじ加工機械メーカーからの紹介もあります。機械の性能を限界まで引き出して精度の高い加工技術があるためです。もちろん、精度を担保する検査機器が揃っていることも大きな理由です。


   

  ■ 転造(ネットシェイプ形成)とは
 

ねじブランクをダイスではさみ、ダイスの移動・回転によって、ねじ山形状をねじブランクに転写する塑性加工方法のことです。切削加工のように素材を削らず、圧縮させるので強度が増し、表面も美しく精密な仕上がりになります。被加工面は研削されたダイスによって押しつぶされるので、面粗度が著しく向上します。切削加工とは異なり、繊維状金属組織が切断されません。

   

   
 

片方を固定して、残りの軸を油圧で押しつける2軸丸ダイズ式、両方の軸を回転させるか速度を違えながら油圧で押しつける差速回転式、3軸を油圧で押し付ける3軸丸ダイズ式が工場内で稼働しています。

   

   

 

  ■ 製造工程
 

取引先からの加工依頼便(10トントラック)が複数台到着します。荷台には加工依頼のねじが積んであり、それを工場内へ積み下ろす作業から始まります。

   

   
 

圧力が10t未満の加工は右の加工ラインへ積み下ろします。そのラインの中で転造(ネットシェイプ形成)の幅が3mm〜9mm、20mmと分けて展開しています。 圧力が10t以上の加工は左の加工ラインへ積み下ろします。

   

  ・ 10t未満の加工ライン
 

丸ダイズ式転造
ローラ形の「ダイズ」という型の間に素材をはさみ、ダイズの回転と周期的な圧縮によって素材を盛り上がらせて加工する転造方式です。

   

   
 

差速回転式転造

   

   
 

3軸丸ダイズ式転造

   

   
 

転造の凄さ
手のひらに乗る小さな部品で、しかもねじに台座がある場合、それが邪魔になり切削加工してねじ山を出すことは難しいです。ところが転造式であればそれが可能になります。写真は加工前と加工後を比較したものです。(新しい取り組みとして「歯車転造」の量産化に成功しています。)

   
 

特にボールペンより少し太い部品に格子状に切るねじ加工は驚くばかりです。また、肉厚の薄いローレット加工への挑戦し量産化の実績もあります。(詳細は名友産商ホームページ参照)


   

  ・ 10t以上の加工ライン
 

転造の構造は同じであり、加える力が大きくなります。そのため機械そのものも大きくなります。



   

   
 

20tのNC転造機はたまたま調整中のため稼働していない状態でしたが、
さらに大きな30tは稼働しており、女性が担当していました。


   


   

  ・ 検査機器
 

歯車噛み合い試験機、形状測定機、投影機、マイクロスコープ 1台、実体顕微鏡 、拡大鏡、偏芯測定機などの検査機器の充実に力を入れています。これは求められる品質を担保する企業姿勢の表れでもあります。



   

   
 

工場内の案内をされた南 豊信専務と工場の外観


   


   

  ■ 取材を終えて
 

技術力の高さがあるため特殊な形状や加工に関する依頼を受けることが多々あると南社長は言われました。取材中にほんの少し当り障りのない範囲でそれらの触り部分をお聞きしますが、それも原稿にすることができません。もちろん、取引先企業が工場内でバッティングしないように調整もされています。当に技術力の高さを物語っています。

通常、取材中は社内の写真撮影を致します。その時に、従業員の後ろ姿や手元を意識して撮りますと説明すると、会社パンフレットは従業員が話し合って作成し、顔写真も掲載しているため、顔を出すことは大丈夫と南社長から言われました。仕事に対して真摯に取り組む姿勢の表れと感じました。

毎年新入社員を採用することでき、その者を定着させる社風から20代・30代の若い世代が多いこと、そして特に女性が5割以上占める、特徴ある取材先でした。

株式会社名友産商
https://meiyu-ss.co.jp/
チタン転造への取り組み、アルミニウムは加工するときに変形することへの対応など、ホームページには、ねじに関する説明が多数掲載されています。

掲載例)
ウォームねじ転造でも非常に難易度が高い製品でした転造は、ただ転がしながら潰せばよいわけでなく、どこをどう変形させればと非常に勉強になりました。謙虚に学び続けていくことが大事と改めて感じました。


   

 

文責 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

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