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愛知県は仏壇の産地!
隠れている仏壇伝統工芸技術を活かして
挑戦する新たな「あいちの製品」

記事更新日20.03

内藤 啓喜

【問い合わせ先】
株式会社 大黒屋仏壇店

名古屋市中区門前町5-8
TEL 052-331-0002
HP http://www.daikokuya-b.co.jp/
印刷用ページ
   
 

今回は仏壇製造の中に隠れている伝統技術・技法を使って新しく産み出した「あいちの製品」です。 株式会社 大黒屋佛壇店(以下:大黒屋佛壇店)は、佛壇の小売店です。本店は名古屋市中区門前町にあり、最寄り駅は地下鉄名城線「上前津駅」です。地下鉄7番出口から徒歩5分の場所にある本店一帯は、大須観音と東別院、西別院の中間地点でもあり、仏具・神具に関する卸店・小売店が集まっています。

  ■ 100年企業
 

大黒屋佛壇店の創業は大正7年、百余年の老舗企業でもあります。本店に入ると直ぐに大黒様の置物が目に飛び込み、屋号の成り立ちが想像できます。創業時は佛壇製造・卸商の看板を掲げておりましたがその後は小売りに特化し、現在4代目の内藤啓喜氏が社長(以下:内藤社長)を務めています。名古屋を中心に5店舗を展開(大須本店、小牧店、尾張旭店、大府店、岐阜東濃店)しています。


   

  ■ 愛知県は仏壇の産地
 

全国に仏壇伝統工芸産地は15カ所あります。その中に「名古屋仏壇」「三河仏壇」の2つの産地があり、仏壇は江戸時代からある「あいちの製品」でした。

名古屋における仏壇製造の歴史は元禄時代に遡ります。当時近隣の地域には木曽檜(ひのき)が豊富にあり、名古屋の職人たちがグループで仏壇を作り始めたのが基礎になったといわれています。これが八職(金具職・蒔絵職・木地職・宮殿職・彫刻職・塗職・箔押職・組立職)に分業化された製造工程を生み出し、昔から伝わる高度な技術が今日まで続いています。

三河地方は文暦2年(1235年)に親鸞聖人が岡崎市矢作町で仏教を説いたという歴史があります。その後徳川家康の庇護のもとに仏教が発展し、それに伴い仏壇製造という産業が発達していったといわれています。三河の山麓からは仏壇の原木が、塗料としての漆は猿投の山林から良質のものがそれぞれ採れ、また飾り物としての金属は三河の鋳造や鍛造技術により加工されました。このように三河の品質のよい材料や高度な加工技術によって三河仏壇が今日まで受け継がれています。

http://www.zenbutu.com/index.html (全国有名仏壇店ネット/伝統的工芸品仏壇より引用)

  ■ 門前町の神具・仏具街は戦後から誕生
 

1612年に始まった清洲越し(清洲から名古屋への都市の移転)により、家臣、町人のみならず、100を超える神社・仏閣も移転しました。その時に活躍したのが宮大工です。東別院、西別院を始めとする神社・仏閣を作り終えた後、優れた職人たちが良材「木曽檜」を用いて仏壇工芸を発展させ、旧七間町(現在の中区錦三丁目あたり)や橘町で今日の基礎を形成しました。時代は昭和に入り、第二次世界大戦の戦災で多くの仏具・神具関係者が門前町へ移転して現在に至っています。

  ■ 仏壇の工程 八職とは
 

名古屋仏壇には、「八職」と称される職人たちが存在します。「八職」とは、仏壇造りに欠かせない八部門の専門職人たちの呼称で、木地師、荘厳師、彫刻師、塗り師、外金物師、内金物師、蒔絵師、箔置き師の八部門がこれにあたります。写真にある仏壇にはこれらの技術が集約されています。

・木地師(きじし)厳選された木材を乾燥して使用し、ホゾ組という技法で仏壇の本体を造る。
・荘厳師(しょうごんし)仏壇の顔。膨大な数の部品を組み合わせ縮小した仏殿建築を荘厳に造る。
・彫刻師(ちょうこくし)三ツ切り欄間に「天女」「花鳥」「龍」など多種多様な意匠の彫り物を造る。
・塗り師(ぬりし)漆塗りは「黒・朱・溜塗り」「木目出し塗り」、変り塗りの技法を使って造る。
・外金物師(そとかなものし)真鍮や銅の板に鏨(たがね)で唐草や花、葉などの模様を刻み込む。
・内金物師(うちかなものし)お仏壇の内側を飾る金具を鏨(たがね)を用いて造る。
・蒔絵師(まきえし)様々な絵柄や紋を、「金消粉」「貝」「漆」などを用いて豪華で繊細に描く。
・箔置き師(はくおきし)「前戸裏」「彫刻」などに極薄い金箔を竹製の箸で正確に仏壇各部分に貼る。

※細かな部分では上記以外にも
・天井師(てんじょうし)「こえび」を組み合わせて美しさと精密さを兼備えた豪華な格天井を造る。
・呂色師(ろいろし)上塗り仕上げの後、更に艶を出して仕上げる。(ピカピカの艶に仕上げる)
・仕組師(しくみし)各職により仕上げられた製品を工程順に全て集め名古屋仏壇に組み上げる。

詳しくは「名古屋仏壇公式サイト」 匠の技に写真があります 
http://nagoya-butsudan.net/takumi/


   

   
 

※名古屋仏壇と三河仏壇の違い
名古屋仏壇は水害から守るために台座が高く、三河仏壇は押し入れに収納する習慣に合わせて台座が低い特徴があります。また仏壇の上部に違いもあります。三河仏壇は「うねり長押」と言って中の屋根がよく見える構造になっています。

  ■ 「てあわせ」プロジェクト
 

愛知県では、「伝統工芸産業ブラッシュアップ事業」において、伝統的工芸品産業の産地企業による意欲的な販路開拓の取組について、マーケティングの専門家を派遣し支援を行っています。大黒屋佛壇店は平成30年度にこれに応募して採択されました。

  ■ お酒の栓
 

マーケティングの専門家も仏壇業界や仏壇製造工程を熟知していません。そのため実際に製造パーツごとの現場に足を運んで職人さんから話を聴く、職人さんを集めて議論をすることを重ね、伝統工芸技術を使った新たな製品はできないのかと模索は続きました。そしてたどり着いたのが飲食店に陳列されている酒瓶でした。陳列されている酒瓶に何か変わったモノが付いていれば気になります。お店もお客様と会話のキッカケが生まれ易くなります。

   

   

   
 

デザインのイメージは抜刀です。武士が日本刀を抜く姿を想像してください。伝統工芸技術がより日本らしさへと高まります。インバウンド向けのギフト用途へと広がりも生まれます。

栓の内側にゴムパッキンがありこれで密閉を保ちます。様々な酒瓶の口径に合わせるため改良中でもあります。写真の栓は右から左へ仏壇の工程の八職順に並べてあります。木地そのものに仏壇の伝統工芸技術を施してあり、漆や金細工の素晴らしさが活かせる製品です。

   

  ■ 食卓用のナイフ、フォーク、スプーン(カトラリー)
 

プロジェクト中で「キッチン」「食器」というキーワードが浮かび上がりました。そしてスプーンやフォークなどに伝統工芸技術を試みました。高級なカトラリーには銀合金製のものがあるため、それに対抗できる和のテイストです。当にクールジャパンです。しかし、現時点でカトラリーメーカーから色よい返答がないため試作品に留まっています。

   

  ■ 取材を終えて
 

一生に一度購入するモノを想像すると「家」と「仏壇」が浮かび上がりました。今回はその一つを取材することができる機会に巡り合いました。2階の奥にある畳敷きの間に高級大型佛壇が8基ほどありました。約1,000万円〜3,000万円の佛壇です。いずれも職人技術の結集された佛壇を拝見できました。 他方、時代のトレンドは本店の1階にありました。現在の住宅事情に合わせた小型化やシンプルなデザイン、そしてペットの佛壇です。

   

株式会社 大黒屋佛壇店 http://www.daikokuya-b.co.jp/

てあわせ http://www.nagoya-teawase.com/

名古屋仏壇商工協同組合 http://nagoya-butsudan.net/

『名古屋仏壇青年部がやっていることを見せちゃうよ!』 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/sangyoshinko/densanpr5.html

文責 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

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