企業ルポ あいちの製品Products Appeal
経営戦略レポート
海外支援
中小企業支援等レポート
技術の広場
あいち技術ナビ
あいち産業振興機構中小企業支援
海外駐在員便り
時代の目
特集(トピックス)
企業ルポ
翔 魅力ある愛知の中小企業
あいちの製品ProductsAppeal
経営革新に挑戦する中小企業成功事例集
創業企業に聞く
支援企業に聞く
お店訪問 繁盛の秘訣
科学技術は今
ホームページ奮闘記
スペース
スペース
経営相談Q&A
労務管理Q&A
資金調達Q&A
組織活性化Q&A
環境対策Q&A
省エネQ&A
経営革新Q&A
窓口相談Q&A
IT活用マニュアル
IT特集
どんどん使ってみようWindows Vista
IT管理者お助けマニュアル
ネットワークお助けマニュアル
セキュリティお助けマニュアル
お助けBOX
補助金助成金一覧
施策ガイド
「ネットあいち産業情報」更新をお知らせします!
  トップ > 企業ルポ あいちの製品Products Appeal > 株式会社 宮田工業所

浄化槽部品製造のノウハウを
植物工場へ活かす「あいちの製品」

記事更新日20.11

宮田 薫

【問い合わせ先】
株式会社 宮田工業所

名古屋市中村区中村町7−39
TEL 052-461-6125
HP http://www.mcl-miyata.co.jp
印刷用ページ
   
 

今回の「あいちの製品」は、浄化槽の部品製造ノウハウを活かして農業に活路を見出すこれからの「あいちの製品」紹介です。農業といっても露地栽培でなく施設栽培です。施設栽培の中でもビニールハウス等を施設で行う水耕栽培です。水耕栽培には、水又は養液を施設内に張り巡らせる塩化ビニルのパイプが必要になります。ここに着眼した製品です。

  ■ 愛知型植物工場
 

愛知県の平成 26 年の野菜産出額は 1,011 億円(平成 22 年比 10%減)で、本県農業産出額(3,010 億円)の 34%を占める極めて重要な部門です。また、全国第5位の地位にあり、全国屈指の野菜生産県です。しかし、担い手の高齢化等による生産構造の脆弱化や消費動向の変化などの課題を抱えているうえ、施設野菜においては栽培施設の老朽化が進行しており、生産基盤の弱体化が懸念されています。
このため、農業者、関係団体等と連携し、本県野菜生産の振興を図るため、野菜生産のあるべき姿の実現を目指す基本的な方針として、「愛知県野菜生産振興方針」(以下「振興方針」という。)を策定しています。
(愛知県野菜生産振興方針 平成28年3月策定 愛知県より)
https://www.pref.aichi.jp/engei/kakusyu-keikaku/keikaku/280325/01-yasaisseisanshinkouhoushin.pdf

   
 

振興方針の中に県内産地に「あいち型植物工場」の拠点づくりを推進とあります。ICTを活用して「見える化」した栽培環境データを基に生産者グループ自らが分析することで、環境制御技術の「カイゼン」を進め、さらなる生産性の向上を図ります。次世代施設園芸愛知拠点の整備とその運営を支援するとともに、老朽化した施設の再整備等を推進する計画です。

  ■ 会社紹介
 

株式会社宮田工業所(以下:宮田工業所)は津島市蛭間町にあります。名鉄津島線「青塚駅」から南へ約1.5kmの所にあります。県道あま愛西線と蜂須賀白浜線の交わる蛭間町西屋敷交差点の近くです。
この名古屋工場以外に栃木、福岡、三重にも工場があります。
宮田工業所はプラスチック加工を通じてお客様のテクニカルパートナーとして様々な分野に関わり製品の開発と製造支援と総合的な技術力と確かな品質で製品を提供しています。事業内容は浄化槽部品の製造・販売、水処理関連商品の製造・販売硬質塩化ビニルの加工・販売です。


   


   

   
 

会社の入口に入ると直ぐに水耕栽培のモデルが目に飛び込んできます。錦鯉の入った水槽とその横にモデル水耕栽培です。水槽の水を浄化して植物に供給し、また水槽に戻す仕組みです。このビニールパイプで組立てられた構造部がこれからの「あいちの製品」です。また、2階の食堂横にも同様の水耕栽培のデモがありました。いずれも野菜のベビーリーフです。
※水槽の水を浄化する装置は対象外です。

  ■ 浄化槽の市場
 

1970年に入るとFRP(繊維強化プラスチック)製の『単独浄化槽』が市場に出回りました。その後は1984年にフジクリーン工業(本社:名古屋市)「日本で初めて量産型の『合併処理浄化槽』の開発に成功しました。トイレ排水だけを処理する『単独浄化槽』から生活排水全てを処理できる『合併浄化槽』を設置することで水環境は飛躍的に改善されました。
現在、全国にある浄化槽755万基のうち、380万基残っている『単独浄化槽』を切り替える必要があります。380万基は一見すると大きな市場に見えます。しかし、単独処理浄化槽使用者にとっては、既に水洗化が済んでいるため転換インセンティブが働きにくいこと、転換に当たっての経済的な負担が大きいことなどから進まない状況にもあります。
ちなみに単独処理浄化槽は、特に古くから都市化が進んでいる都市圏の周辺に多く、都道府県別では愛知県、千葉県、静岡県、埼玉県、群馬県がトップ5です。

  ■ メインとなる製品紹介
 

1.浄化槽関連部品
浄化槽の中は仕切りによって複数に区分されています。この中を流れる汚水・泥水をコントロールするために多数のエアーバルブ、定量ポンプ、特殊継手が必要になります。自らの設計と試作能力を生かし、新しい部品の提案と品質保証された部品を安定的に供給しています。

   
 

2.水処理関連製品
左:計量調整装置・分水計量装置や汚水計量槽は汚水や汚泥を移送する際に、その量を所定量に調整するとともに計量する装置です。
中:スクリーン計量ボックスは汚水や汚泥を移送する際の夾雑物・固形物などを除去するためのスクリーンと計量槽が一体となった装置です。
右:沈殿槽(沈殿室)等において、沈殿分離した上澄水を均等に流出させるための堰です。越流トラフとも言われます。

 

※水処理関連製品は上記以外に多数あります。詳細はホームページまで

   
 

3.塩ビ管加工製品
硬質塩化ビニル管やプラスチック管などをカット、半割り、曲げ、穴あけ加工を行い、お客様のご要望に応じて様々なパイプ・穴あきパイプを製作しています。また、硬質塩化ビニル管と継手や部品などを切断加工・曲げ加工・接着加工・溶接加工・切削加工などの技術で製品化しています。

   
 

4.塩ビ加工製品
硬質塩化ビニルプレートや硬質塩化ビニル管をお客様のご要望に応じて切断加工・曲げ加工・接着加工・溶接加工・切削加工などの技術で製品化しています。

  ■ 高い塩ビ加工技術
 

1.切断加工
硬質塩化ビニル管、硬質塩化ビニルプレートを独自の切断技術や専門の自動切断機で用途に応じて切断加工を行います。

入荷したビニル管のストック場とその奥が切断機械です。

   
 

2.穴あけ加工
硬質塩化ビニル管、硬質塩化ビニルプレートを独自の穴あけ技術や自動穴あけ機・多軸機で用途に応じて穴あけ加工を行います。

取材当日に見かけた穴あけ工程された塩化ビニル管

   
 

3.接着加工
硬質塩化ビニル管、硬質塩化ビニルプレートと継手の接着技術により継手とパイプの組立品を行います。

取材当日に見つけた接着技術による組立品

   
 

4.溶接加工
熟練した技術を持った職人により塩ビ溶接加工を行います。

取材当日に見つけた溶接技術による組立品

   
 

5.曲げ加工
硬質塩化ビニル管を独自の曲げ技術や専用の曲げ型を使用して用途に応じて曲げ加工を行います。
また、硬質塩化ビニルプレートはヒーターなどにより加熱して曲げ加工を行います。

取材当日に見つけた曲げ加工による塩ビニル管

   
 

6.スリーブ加工
硬質塩化ビニル管の先端を加熱し、型に入れて径を大きくする技術でスリーブ加工を行います。

   
 

7.組立て加工
塩ビ配管やユニットをアッセンブリーすることができます。

取材当日の加工作業

   
 

8.加工用治具
治具が工場の壁面にストックされています。全て自社のオリジナルです。写真はその一部です。
塩ビニルの加工技術の高さとオリジナル製品の開発・提案力を物語っています。

  ■ 植物工場の栽培システム開発に必要不可欠な塩ビ配管
 

100点以上の大量な部品を要する植物工場では、加工が必要な塩ビ配管の部材を準備する時間も掛かります。創業51年の浄化槽配管部品開発とプラスチック加工で培った技術を植物工場の栽培システム開発に活かし、問題解決型のオリジナル製品・部品の提供へと成長分野を広げています。その具体的な問題解決は、設計段階、作業現場、加工業者の選定、品質などです。

   
 

1.設計段階の問題解決
・一般品の継手では寸法が大きく狭いスペースの配管の取り回しが出来ない。
→得意とする「塩ビ配管のコンパクト化を約20%実現」できるオリジナル部品の提案を行います。

※写真は塩ビをコンパクトにした前と後の比較です。

   
 

・設計段階の全体図面しかなく、栽培トレイ・タンク・配管など個々の詳細図面の作成が出来ない。
→塩ビ加工の技術で製作してきたノウハウから詳細図面の作成を行います。

   
 

・設計上どうしても特注サイズになってしまうため、一般の塩ビ継手や既製部品では規格がない。
→塩ビ配管部品500点以上の製品をお客様と共同開発して製品化しているため、自社内のオリジナル部品の提案で特注サイズの製品の提供を行います。

   
 

具体的にはお客様のご要望をヒアリングさせて頂いた後に→設計〜図面作成〜試作〜塩ビ溶接加工による量産を行い特注サイズにて栽培用トレイ(写真左)、養液タンク(写真右)の製作を行いました。

   
 

2.現場作業で困った
・現場で塩ビ配管の切断・接着作業を行い工事日程が長くなる。
・現場でパイプ切断・接着作業を行うため、騒音・粉塵・臭気が出て困る。
→植物工場内の塩ビ配管を当社の工場でプレ加工(塩ビ管の切断、継手の接着接続)して、プレハブ配管として納品を行います。

※写真は工場内でプレハブ配管した部品を現地で組み立てたイメージです。

   
 

・現場の限られたスペースでは材料や廃材の置き場の確保が難しく困る。
→国内4拠点、愛知県、栃木県、福岡県、三重県、埼玉県の自社工場と協力業者とのネットワークにより、お客様の最寄りの拠点から工事日程に合わせて当社がプレハブ配管として納品します。

   
 

3.加工業者の選定
・特注でしかも大量製作のため加工業者に困った。
→本社工場である名古屋工場にて必要な塩ビ板・塩ビ継手・その他部品を一括手配し、各工場と協力工場へ材料を供給し生産を分担して行います。

  ■ 取材を終えて
 

愛知県には全国的な浄化槽メーカーが複数あります。
 大栄産業:1961年創業以来、浄化槽の製造から開発までの総合水処理メーカー
 フジクリーン工業:浄化槽メーカーで唯一、浄化槽・ブロワ(酸素を供給)の両方を製造するメーカー
また、単独浄化槽の数も全国で5本の指に入ることを考えると、浄化槽も小さなあいちの製品であったと推測できました。
浄化槽の部品製造で蓄えた塩ビ加工ノウハウを植物工場に必要な活かすヒントの一つに 株式会社 エム式水耕研究所(愛知県弥富市)の存在があったとお聞きしました。2012年に「企業ルポ 翔 魅力ある愛知の中小企業  株式会社エム式水耕研究所」として取材記事があいち産業振興機構に残っております。ここにも小さな「あいち産業振興機構」の繋がりがあったことに驚きました。

株式会社宮田工業所
http://www.mcl-miyata.co.jp
2020.10植物工場向け製品の特設サイト【植物工場 塩ビ配管Lab】 https://plant-enbi.jp/
企業ルポ 翔 魅力ある愛知の中小企業  株式会社 エム式水耕研究所
水耕栽培のパイオニア、「野菜文化」の開拓へ
https://www.aibsc.jp/nsj/02syou/120201_01/index.shtml
次世代施設園芸・植物工場
http://plantfactory-japan.com/index.html

 

文責 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

あなたのご意見をお聞かせください
この記事を友人や同僚に紹介したいと思う
参考になった
参考にならなかった
 
Aichi Industry Promotion Organization
財団法人あいち産業振興機構