企業ルポ あいちの製品Products Appeal
経営戦略レポート
海外支援
中小企業支援等レポート
技術の広場
あいち技術ナビ
あいち産業振興機構中小企業支援
海外駐在員便り
時代の目
特集(トピックス)
企業ルポ
翔 魅力ある愛知の中小企業
あいちの製品ProductsAppeal
経営革新に挑戦する中小企業成功事例集
創業企業に聞く
支援企業に聞く
お店訪問 繁盛の秘訣
科学技術は今
ホームページ奮闘記
スペース
スペース
経営相談Q&A
労務管理Q&A
資金調達Q&A
組織活性化Q&A
環境対策Q&A
省エネQ&A
経営革新Q&A
窓口相談Q&A
IT活用マニュアル
IT特集
どんどん使ってみようWindows Vista
IT管理者お助けマニュアル
ネットワークお助けマニュアル
セキュリティお助けマニュアル
お助けBOX
補助金助成金一覧
施策ガイド
「ネットあいち産業情報」更新をお知らせします!
  トップ > 企業ルポ あいちの製品Products Appeal > 栄新薬 株式会社

「新薬から新食へ」
栄新薬 株式会社

記事更新日21.09

森下 洋

【問い合わせ先】
栄新薬 株式会社

愛知県名古屋市千種区竹越一丁目8番9号
TEL 052-722-1325
HP http://www.sakaeshinyaku.co.jp/
印刷用ページ
   
 

江戸時代、飛騨高山、伊吹山、木曽福島は漢方薬で有名でした。それが尾張(愛知県)に下りることがなかったため、薬が愛知の産業と深い関わりを持つことが出来なかった様です。平成においては数次にわたる薬事法の改正により、製薬企業の工場設置基準が厳しくなるとともに合従連衡を経て大企業中心へと集約が進んでいます。
今回のあいちの製品は、薬でなくパウダー食品として「これからのあいちの製品」として取り上げました。大手企業が入り込まない「ニッチなあいちの製品」と位置付けることもできます。
  ■ 所在地
栄新薬株式会社(以下:栄新薬)は名古屋市千種区竹越1丁目、市バスレーンの北側にある矢田川堤防近くにあります。ここは本社機能と物流機能を備えています。工場は名古屋市守山区新守西にあります。偶然にも近くに「アピタ千代田橋店」「アピタ新守山店」が近くにあります。

  ■ 沿革

現法人設立時の昭和35年以前は液剤(風邪薬のアンプル)を製造していました。当時はカイゲン化工株式会社でしたが昭和35年5月に栄新薬株式会社へ社名変更しました。その後、小瓶から中瓶の独自充填機を使って極小ロットでのOEM提供、アルミパウチの飲み口を狭くした「ビンロ」まで対応が可能なOEM提供を柱に約60年の歴史がある企業です。

栄新薬の代表取締役 森下 洋社長(以下:森下社長)は3代目です。関西で生まれ、関西で繊維関係の仕事に就いていました。その後、父親の親族が経営していた現会社へ転職されました。 薬事法の改正と千種区千代田橋にあった工場の移転(住宅地へと区画変更が発生)が転機となり、 2010年から3年掛けて業態変更に臨みました。それまで108品目の薬品製造から健康飲料等へ舵を切り、2020年OEMからODM(新薬から新食)へ再び大きく舵を切り始めました。 OEMは、製品の設計や開発、組立図に至るまで委託者が用意します。他方、ODMは、製品の開発から製造に至るまで、すべて受託者が担当します。

■ OEM生産に特化

守山工場では一つの生産ラインで少量の瓶詰め、アルミパウチ詰め製造を行います。具体的には相手先との原材料開発・選定から試作、ラベルパッケージ等開発、小ロット製造をこなします。小ロット生産した製品を本社で箱詰め等を行い出荷します。
ソフトカプセル、ハードカプセル、打錠、顆粒の製品が外部協力工場で製造し、必要に応じて本社で箱詰め作業を行い出荷します。小ロットOEM生産に大きな特徴があります。

■ 守山工場内の写真

コロナ禍でもあり工場への直接取材は叶いませんでした。そのためアルミパウチ詰め、瓶詰機械の写真を掲載します。

  ■ これからのあいちの製品
 

新薬から新食への転換を試みる中で生まれたのが平均粒度10ミクロンの粉末です。これは食用素材のパウダーです。平均粒度10ミクロンの粉末製造するセラミックボール機械を導入して製品化に至りました。

上記掲載写真は多様な野菜粉末サンプルです。気流式粉砕機によって瞬時にパウダー化された野菜サンプルは、黒玉ねぎ(北海道)、坊っちゃんかぼちゃ(熊本)、トマト(静岡)、バジル(静岡)、ほうれん草(静岡)、ごぼう(北海道・静岡)、ボーレコール(北海道)などです。

  ■ 玉ねぎパウダー
 

野菜農家が生産する玉ねぎを全て出荷できるわけではありません。需給価格調整等から廃棄する量も相当あります。その廃棄野菜を活用できないのか、北海道の農業関係者から相談を受けたのが始まりです。ここから廃棄される玉ねぎをパウダーにする試みの始まりです。

普通の玉ねぎに自社オリジナル酵母液を利用して発酵した黒玉ねぎへ加工します。野菜を知る生産者の方々自らの丁寧な手作業によって微量な残農薬や微細なカビを除去することができます。更に独自の熟成発酵技術により生玉ねぎの約30倍以上のシクロアリインが含有されます。
具体的には生玉ねぎを特殊なカット方法でカットし、水分が残っている状態で気流式粉砕機に投入し、約2秒でパウダーになります。超微粒で水分率5%未満になると菌の増殖は起こりません。
このパウダーをカレーやパウンドケーキに入れることにより、調理時間を短縮しながら玉ねぎの持っている甘みを出したりスパイスのエグ味を消したりできます。

  ■ 竹炭パウダー
 

京都の嵯峨野は竹の道で有名です。その裏で毎年大量の竹を伐採して竹林を維持する必要があります。伐採した竹はそのままゴミとして処理されておりました。この竹ゴミを活かせないものかと相談を受けました。竹をセラミック機械に投入して竹炭パウダーにしました。10ミクロン未満の超微粒のため料理の中に混ぜるとデドックス効果により便臭が抑えられます。また、サプリメントとして製品化も試みました。

  ■ 気が付くとSDGs
 

廃棄する野菜を活かすこと、さらに放棄地を復活させることに繋がります。農業人口が減り放棄地が増える社会問題が叫ばれています。放棄地を農地に戻すためには、収益が安定する農業構造が必要であり、その一つの方策が農業法人です。農業法人を支援するためにも、生産した農産物が規格外品も含めて安定して売れる仕組みに役立つのが野菜パウダーです。薬からパウダーフードへと舵を切ったらSDGsが野菜パウダーに追いついた状況でもあります。

  ■ 2021.06.17から06.19 生活習慣病予防展出店時写真
 

  ■ 今後の出展予定
 

※ 第32回名古屋フードビジネスショー(コロナによる緊急事態宣言により開催中止) 
2021年9月21日(火) 10:00〜17:00
2021年9月22日(水) 10:00〜17:00
会場  名古屋市中小企業振興会館 吹上ホール

※ SDGs AICHI EXPO 2021
2021年10月22日(金) 10:00〜17:00
2021年10月23日(土) 10:00〜17:00
会場 愛知県国際展示場(ポートメッセなごや)展示ホールA

※ 健康・未病産業展2021 [Well-being JAPAN]
2021年11月09日(火) 10:00〜17:30
2021年11月10日(水) 10:00〜17:30
2021年11月11日(木) 10:00〜17:00
会場 インデックス大阪

  ■ 取材を終えて
 

岐阜県、長野県以外で奈良県は漢方薬のメッカ推進プロジェクトがあり、熊野古道で知られる和歌山県も古くから漢方で有名です。愛知県にはコルゲンコーワの興和株式会社、ノーシンの株式会社アラクスなど有名企業がありますが製薬に関しては地場産業といえる産業規模ではありません。製薬会社の多くは東京にあり、工場は水の綺麗な地方にあります。このように考えると愛知県内の地場製薬企業は、薬から次の新しい「あいちの製品」が必要になることも頷けます。

「新薬から新食へ」は森下社長が考案した造語です。新食という言葉はありません。野菜をミクロンの粉末パウダーにして食することが新しい生活スタイルとSDGsに繋がるイメージが新食にあります。
OEMを残しつつODMを取り組むことは地場製薬企業が生き残るヒントでもあります。

栄新薬株式会社http://www.sakaeshinyaku.co.jp/

文責 YA(ワイエイ)ビジネスサポート 杉本 安行

あなたのご意見をお聞かせください
この記事を友人や同僚に紹介したいと思う
参考になった
参考にならなかった
 
Aichi Industry Promotion Organization
財団法人あいち産業振興機構