一般的にホームページへ訪れたユーザーの動線は、ページ内に配置されたメニュー項目に沿って移動されるため、上部あるいは左部に配置されたメニュー項目ほどクリック率が高くなる傾向にある。したがって、基本的な来訪者の動線はメニュー項目に従ったものとなる。ユーザーの操作性が高く使いやすいホームページは、次に欲しい情報、必要となるであろう情報への動線が確保されているページといえよう。つまり、この動線上に運営者側の意図を織り交ぜることで、見てほしい情報へアクセスしてもらうことが可能となるわけだ。
現実の世界においても、コンビニエンスストアなどに見られる店舗レイアウトは、お弁当コーナーや飲料コーナーを店舗奥へ配置することで、隈なく店内を巡回してもらい「ついで買い」を促進しようという店舗側の意図を織り交ぜたレイアウトとなっている。ホームページ上においても基本的な考えは同じである。
このような考え方からSCCでは、「SCCコーチング講座のご紹介・料金」ページにおいて、はじめに「SCCコーチング講座」の概要を見てもらえるよう最上段に掲載した。講座概要を知った後、ユーザーが次に欲しいと思われる情報を「カリキュラム内容」と仮定し、その導線を確保した。導線は講座概要の欄内に「→カリキュラムの詳細を見る」というリンクを設けることで対応した。
カリキュラム内容を掲載するにあたっては、その掲載の可否について議論があったのでぜひ触れておきたい。
SCCにおける「カリキュラム内容」は、いわば事業の要ともいえるオリジナリティの高い内容であり、他社との重要な差別化ポイントである。この内容をホームページ上に掲載するということは、競合他社から模倣されるリスクを考慮しなければならない。当初は掲載しない方向で議論が進んだが、最終的には以下の2点によりその掲載を許容することとした。
1点目は『ホームページ上における競合他社の情報公開の程度』である。競合他社のホームページにおける情報公開の度合いを調査したところ、いずれも他社はカリキュラム内容を一覧掲載していた。閲覧者の立場からすれば、SCCのみがカリキュラムを非公開にしていることは、カリキュラム内容について他社と比較することができないため、選定の対象から外されてしまう可能性が「大」である。
2点目は「模倣の実現可能性」だ。ホームページ上に掲載するカリキュラム内容は、実際の講座内容の詳細を掲載するわけではなく、あくまで講座の概要を示すタイトルや見出し程度にしか過ぎない。競合他社がこれらタイトルや見出しから事業のヒントを得ることはあったとしても、SCCが提供する講座の内容を完璧に模倣・再現できる実現可能性は限りなくゼロに近いのである。
「カリキュラム内容」を確認したユーザーは、次の導線としてページ末の「この講座は」と題した段落へ向かう。この段落では対象としている受講生の層・受講することで得られる効果などを訴求している。セールスで言えばいわば「クロージング」にあたるフェーズだ。そして最後に「お問合せはこちら」というボタンを配置することにより、動機付けられたユーザーがスムーズに問合せページへと移動できる導線を確立しているのである。
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