本紙面で紹介する(株)あいやの創業は1888年(明治21年)、国内シェア42%超を有する企業で、地元の資源を活かし、地域や茶栽培者と共に発展している。
社名のいわれは、初代杉田愛次郎氏が、茶と天然染料の藍の製造卸を行なう杉田商店を興し、藍を扱う店、つまり「あいや」と呼ばれていた。法人化する際にも「あいや」を屋号として引き継いだ。
当初は、煎茶・玉露なども取り扱っていたが、次第に地域の特産である碾茶(てんちゃ)を原料とした抹茶販売を主体として展開して行った。
碾茶生産量は475t(平成17年茶生産量(茶種別荒茶生産量):農林水産省)の生産量があり、西尾市を筆頭にして吉良町、豊田市など、水はけの良い砂が混じる土壌を持つ矢作川流域は日本有数の生産地である。
良質な抹茶生産地であるが、ブランド力が弱く茶業界方面への抹茶販売は長年苦戦を強いられ続けていた。
昭和30年代後半3代目杉田愛次郎が、抹茶の用途を広げるため、食品メーカー向けへの販路拡大を思い立った。しかし、「抹茶味」はまだ業界ではマイナーであり、「お茶味のアメ」程度の認識しかなかった。食品メーカーでも「抹茶味?」という低い認知度であった。
抹茶を使用した食品は古くからあり「抹茶味のかき氷」をベースに用途開発に挑んだ。
抹茶味と「冷たさ」と「甘み」、そしてミルク味という組み合わせから誕生したのが、抹茶味のアイスクリームだった。
幸いにも抹茶味のアイスクリームは全国的な販売に広がり、これをきっかけとして、加工食品向けの用途開発に大きく舵を取ることになる。
|