しかし、機能が優れている、というだけでは新参者の中小企業がビジネスとして成功は難しいと間瀬社長は感じていた。「考えても見てくださいよ。田舎の聞いたことのない中小企業が『いいものができたから、買ってくれ』と大企業へ売り込みに行っても、相手にされませんよ」。
そんな『田舎の中小企業』の打った手が、再生樹脂メーカー、有限会社秋葉樹脂との事業提携である。
同社は1000tの生産能力があるにもかかわらず、材料が250tしか集まらず、低操業度に苦しんでいた。そんな折、カネミヤの分別洗浄機の評判を聞きつけ、機械の見学に訪れた。洗浄されたポリ袋を見てびっくり。「これだけきれいになっているのなら、リサイクル材として充分使える」。
早速、この洗浄機で発生したポリ袋を、カネミヤグループが有価物として納入ユーザーから購入し、秋葉樹脂へ販売するビジネスモデルを構築。
これにより、単なるリサイクル機販売の『セールス』ではなく、「リサイクルの仕組み」で企業を結ぶ『ビジネス』へと変貌した。
これに、大手食品メーカーは飛びついた。「洗浄機を買ってポリ袋を洗浄しても、有償で購入してくれる先が見つかる保証はどこにもないではないか」と導入に二の足を踏んでいたが、カネミヤが有償で引き取ってくれるとなれば話は別。中には、有償の引き取り契約を結んで、引き取りを確実にしてから洗浄機の販売契約を結ぶ企業まで現れた。
何しろ、今まで1kg40円を支払い、引き取ってもらっていたポリ袋が、逆に1kg5円でカネミヤへ売れるので、都合45円の収益改善となるのである。引き取り量によっては1年ほどで機械が償却できてしまう。引き取られたポリ袋は秋葉樹脂でペレット化され、某文房具メーカーのサインペンなどへ国内でリサイクルされる、という安心感もある。
喜んだのは食品メーカーだけではない。樹脂再生を行なう秋葉樹脂も喜んだ。樹脂集めに苦しみ低操業度にあえいでいたのが、大手食品メーカーからきれいな樹脂が大量に安価に安定して入手できる。今では1200tの再生を行い、社長が「工場から出られない」とボヤくほどの活況となった。
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