大羽精研株式会社の大羽良晴氏が独立を志し、会社を辞めた日。「これで誰気兼ねすることなく、自分で感じたまま、やりたいことができる」と感激に浸っていた。機械工具の研削で創業する昭和48年4月のことである。
「当時はしっかりとした研削加工を行なっている企業が少なく、収益性も高かったためこの分野で事業を始めました」と大羽社長。
当時は仕事が充分にあったが、次第に競合や工具の性能向上などで仕事が減少し始める。「そこで始めたのが自動車部品の研磨加工でした。仕事は非常に多かったのですが、当時の当社のレベルでは、収益を出すことが難しく、15年間ほどは従業員の3倍働いたものの業績は楽にはなりませんでした。創業時の『これから自分たちの考えた事業を好きなようにできる』という感激とは反対に、ただ日々の仕事をこなすのみでした」。
|