健康機器で30年超の実績、「本当に役立つ良い製品を」
小林 俊介 記事更新日.11.06.01
小林産業 株式会社 代表取締役社長
■問合せ先
小林産業 株式会社
〒452-0806 名古屋市西区五才美町100番の1
TEL 052-504-5001戟@Fax 052-503-2740
http://www.kobayashisangyo.jp
■今年設立40周年、制御技術での起業、そして健康機器へ
近年の「健康」ブームは衰えを知らない。「健康産業」という言葉が使われ始めて久しいが、この言葉ができるずっと以前、30年以上も前から健康機器の開発製造を始め、今年創業40周年を迎えたのが小林産業株式会社である。
小林産業鰍ヘ現社長小林俊介氏の父親で、現会長でもある小林驍氏が松下電器を退職後、当時の部下とともに昭和46年に会社を設立、自動制御装置の設計製作を始める。産業用の制御装置の開発納入・エンジニアリングを行い、業績を伸ばしていった。
そんな中、昭和53年、旭硝子鰍ニ共同で消費者向けのクールダウン用途の「アサヒクール」を開発したことをきっかけとして、健康機器の開発・製造へと舵を取ることになる。
翌昭和54年家庭用低周波治療器を自社製品として開発したのを皮切りに、家庭用電位治療器、遠赤外線ヒーターなど次々とラインナップを増やしていった。
現在では売上のほとんどが自社開発商品でとなっている。商品への信頼感の高さから、売上の半分が大手企業向けのOEMで占める。主力の健康・美容関連機器の他、浄水器関連機器や許認可が必要な医療機器まで手がける。

■玉川温泉の環境を再現」にこだわった岩盤浴製品、長く市場の支持を得る
こうしたラインナップの中で、現在のヒット商品は家庭で「岩盤浴」ができる「ご湯るりと」シリーズである。
この開発にあたっては、長期の湯治客が押し寄せる「玉川温泉」の環境を再現できないか、ということをコンセプトにした。しかし、玉川温泉の岩盤浴独特のラジウム鉱石である「北投石」は特別天然記念物であり、採掘が禁止されている。そこで現地の環境により近い環境を再現するため、鉱物成分分析を行い5種類の天然鉱石(成分は企業秘密とのこと)を組み合わせ、北投石に近いものをセラミックとして再現することに成功した。ラジウム鉱石を使用する効果は、そこから発する微量な自然放射線が人間に良い影響を与えるとする「ホルミシス効果」学説に基づくものである。
開発したセラミックの遠赤効果は従来にない程高い放射率を実現した。 放射率とは、外部からセラミックに与えられたエネルギー(熱)量に対して、その熱をどれだけ効率よくセラミックから放射するかという効率をいう。
三重県技術センターでその放射率の検査をしてみると、100%近い放射率となったため、担当者が「こんなはずはない。検査機器が故障した」と思い、通常は2時間ほどで終わる検査が後日持ち越しとなった。結局、機器の故障でないことがわかり、10日ほどの検査期間を経て、最高レベルの放射率が証明された。

このセラミックを玉川温泉と同様の55℃という高温で温めることで、現地の環境を家庭で体感できる。
しかし、この55℃という温度は製品開発上大きなハードルであった。温度を高くするほどマシンへの負荷は高くなり、発火や部品の破損、劣化も早くなる。こうしたハードルを超えるのに役立ったのが、当社が過去に手がけた「温熱治療器」の開発ノウハウであった。
この「ご湯るりと」は折りたたみ式で6.3kgという手軽さもありヒットし、安価版の「ご湯るりとsmart」、椅子で座りながら使えるサイズにした「ご湯るりとLite」、足専用の「ほぐせ〜るAshi」、腰バンドに鉱石をつけた「ナビバランス」など消費者の要望に応える形でラインナップを増やしていった。岩盤浴のブームが一時ほどでなくなった今も売上は伸び続けており、現在では「家庭用では一番うれているのでは」とのこと。
このセラミック技術は、2200万人を集めた愛知万博の瀬戸会場へ「たまがわ波動セラミック」として出展依頼がされるまでに高く評価された。


■全身の細胞を振動させ、より多くの人に喜びをと「セルフィックス」開発
このような健康機器は、その症状や部位によって効果に個人差があるのも現実である。
当社でも高周波治療器や低周波治療器、高電位治療器等を開発・販売する中でこうしたユーザーの声を聞いていた。
それを解決する手がかりとして、ドイツのバウルシュミットの「バイオレゾナンス」という波動理論に着目した。
これはあらゆる物体に固有振動数があるのと同様に細胞にも固有振動数があり、しかも部位によってその固有振動数が異なり、その振動数で刺激を与えると細胞が活性化しするというもので、その振動を引き起こす方法として音叉の共鳴の考え方を利用して、細胞固有振動数の周波数の振動を近づけることにより細胞を共振(レゾナンス)させる、という理論である。この理論に基づけば、なるべく多くの部位の固有振動数で刺激を与えることができれば、個人差による効果格差も減り、より多くの人に喜んでもらえる健康機器ができるのではないかと考えた。そこで、社員が検証に参加し、様々な周波数を試し、例えば、ある社員ではコレステロール値に改善効果が現れるなどの結果を集約、周波数による効果の有無をピックアップした。
こうして生まれたのが58種類の周波数を30秒ずつ出力し、1コース30分で全身のなるべく多くの部位の細胞を振動させることを狙った「セルフィックス」である。


類似商品がない新商品のため、販売台数は多くはないものの、ユーザーからは非常に好評で、食欲が湧いてダイエットに困るという苦情とも喜びともつかない声も寄せられる。
現在は長年の実績から地域の健康機器メーカーの指導的立場にもある。長年ユーザーに支持されたのは、当社の「企業としての成功ではなく、本当に健康に役立つ良い製品の提供」という考え方によっているところが大きい。一過性の流行に左右されず、本当に健康に役立つ良い製品だけを積み重ねてきた技術力・ノウハウで実現し、お客様にも効果を体感してもらいながら充分な説明をするという丁寧なビジネスを繰り返し信用を積み上げてきた40年である。

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久