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新商材で市場開拓に挑戦するパッケージ資材の専門商社
大野 嘉丸 記事更新日.12.09.01
丸栄株式会社 専務取締役
■問い合せ先
丸栄株式会社
〒450-0002 名古屋市中村区名駅5-26-9
Tel 052-582-6414  Fax 052-551-9587
http://www.marueikk.com
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■ダンボール原紙の卸が原点、地域のダンボールメーカー設立に多く関わる

丸栄株式会社は、ダンボール原紙をダンボールメーカーへ卸す専門商社として昭和21年設立。

「私の祖父に当たる先代社長は、地域の多くのダンボールメーカーの設立に関わっていたようです。業種に限らないことですが、設立当初は信用力が低く見られがちで、材料メーカーも原紙の供給に尻込みするところが多かったのですが、当社が間に入って原紙を供給するという卸の『信用補完機能』で仕入れに関わっていました。今でもダンボールメーカーへお邪魔すると『先代の頃は…』という話が出たりします」と大野専務。


しかし、昭和40年代中頃から、いわゆる「仕入れの中抜き」という卸業者をとばして原紙メーカーから直接購入することで原材料費のコストダウンを図ろうという流れが起こり始めたため、ビジネスのあり方を見直し、原紙だけでなく「箱」の扱いも始める。
「今から振り返ると、これは大きな転換点でした。箱の扱いを始めてからは、原紙卸をしていた頃では聞こえなかったユーザーの声が届くようになり、流通の川下へのシフトを強く意識するようになりました。そこで昭和47年に、お菓子や饅頭などのパッケージや包装紙といった軟包装フィルムの製造販売を行う株式会社マルエイパックスを設立しました。この頃から現在のパッケージ資材の専門商社へと業態を変えていくことになります」。
現在ではダンボール原紙の売上は全体の25%程度、残りがパッケージ資材の売上となっており、その中でも主力商品の一つが「カミコン」という折りたたみ式の紙仕切りである。

■ダンボールの組み仕切りをなくしたヒット商品「カミコン」

ダンボールの内側に施す組み仕切りは、多くのものを整然と配送することを可能にする非常に便利な梱包用資材であるが、手作業で組み立てなければならない上、ダンボールの大きさにあった組み合わせのパーツをセットで管理していなければならない。
しかし、折りたたみ式の紙仕切り資材の「カミコン」であれば、折りたたまれた形状を開くだけで仕切りが出来上がる。また、その寸法、深さも木型不要で自由に設定できるため、内容物の大きさにあったオリジナルの仕切り資材を、小ロットであっても、低コスト・短納期で対応できる。

「開発した企業から独占販売権を得て扱いを始めたところ、自動車業界からは大きな反響がありました。まず、仕切り板を組み立てる作業が減ること、箱と仕切りを別管理しなくて済むこと、開くだけで仕切り板ができるので作業の短縮化ができること、仕切りの数が設定できるので数の管理が非常にしやすいこと、折りたためてスペースを取らず何度も使えることなど、自動車業界の管理手法や効率化・コスト削減という観点にぴったりだったのです。ここ10年間で毎年10%以上の伸びを記録するヒット商材となりました」。
また、この仕切り枠を樹脂で作った製品は、大手引越し業者の食器などを運ぶ「エコボックス」として採用されている。
「導入いただく際にはダンボールに比べ単価も高く、売上も大きくなるのですが、品質が良いため長持ちし、リピート発注が少ないのです。」と苦笑いする大野専務。

■「Talking Box」で新たなビジネスモデルを開拓せよ

「Talking Box」(トーキングボックス)で新たなビジネスモデルを開拓せよ
当社が次のヒット商品を狙い2つの新事業に取り組んでいる。
1つは「Talking Box」(http://talkingbox.jp/)である。
「インターネット販売事業も成熟期に入り、業者間の競争も激しくなっており、コストダウンが経営上の問題になってきています。こうしたネット事業者様のプロモーションのお役に立てるような販促型ダンボールです」。
端的に言うと、通販で送られるダンボールのふた裏部分に、その配送商品に関連した広告を掲載した配送ボックスである。PRの形態は、広告の掲載だけに留まらず、ダンボールにハガキ大の切込みをいれ、サンプルプレゼントの応募ハガキとして切り抜いて応募できるようにするなどの展開も想定している。例えば、ビールの配送ダンボールのふた裏には、おつまみのイカの燻製などの関連性を持つ商品の広告掲載やサンプル請求ハガキなどのプロモーションを想定している。



大手通販サイトで商品検索をすると表示される「これを買った人はこんなものも買っています」と表示されるレコメンド方式のリアルビジネスバージョンともいえる。
広告主は、このようなプロモーション展開により、直接ターゲット層への訴求が可能となる他、サンプル応募ハガキの返送があれば貴重な見込み客情報を得ることができる。DMでは開封されないことも多々あるが、この方法であれば、配送品を取り出す際にふた裏に印刷されたプロモーションはほとんどの人が目にすることになる。つまりDMでいう「開封率」はほぼ100%であり、低コストでより確実にターゲット層への販促が可能になる。
通販業者は、広告主のCMを掲載することでダンボール製造コストの削減が可能となり、エンドユーザーは関連商品の広告による値引き・サンプルなどの特典が受けられるというメリットを得られる。
これは、従来のサプライチェーンである、『開発+マーケティング→製造→販売→流通』という一方通行の流れが、最後の『流通』が今度は関連商品への『マーケティング』へと拡がる新たなビジネスモデルを作ろうとする試みである。
「まずは、当社のお客様同士でのマッチングから始め、確実に成果を出しながら広くマッチングを行う仕組みを構築したいと考えています」とのこと。
将来は、この箱へICタグなどをつけることで物流管理や顧客管理などが一元管理できるような仕組みを作り上げて行きたいと構想を練る。


■ユーザーニーズの変化に対応した商材の開拓を求めて

2つめは、発泡性樹脂をダンボールの中芯形状(ダンボール断面の波状形状のこと)に成形した緩衝材の製造販売である。


「製造部品などの小ロット化が進展する中、個包装がB to Bでも増えてきています。そうなると緩衝材の役割が重要になってくるのですが、ダンボールで緩衝材を作ろうとすると型代がかかり、また形状が変わった場合の汎用性もありません。そこでイタリアの技術を導入し、発泡樹脂をダンボールの中芯形状に似た「トラス構造」に成形した緩衝材の製造販売を始めます。これにより、包装する対象物の形状・重量や必要な緩衝力に応じて、樹脂素材の種類やトラス構造の山型の大きさ・ピッチ・板圧の調整を行うことで、複雑な形状にもフィットできる緩衝材を作ることができます。また、こうした調整は成形機の設定を変えるだけでできるため型代も不要で、小ロット対応・コストダウンへも貢献できることになります」と今後の展開に期待を寄せる。
「ダンボール業界・包装材業界を巡る環境は大きく変化しています。民事再生になったダンボールメーカーを再生しグループ企業化したことから、同様の再生案件を相談される機会も増えています。今後はこうした再生案件を含め、グループ企業全体での戦略が必要になってくると考えています。例えばマルエイパックス社が持つ東京・大阪での営業網を活かした、丸栄の新商材の販路開拓、再生・グループ化した企業のダンボールの販売展開、さらには各企業で持つ生産設備の共同使用によるコストダウン化など、個々の企業が持つポテンシャルを充分に活用したパッケージ資材提供企業グループとして成長していかなければと考えています」とマーケットの変化を敏感に感じながら、次の時代をにらんだグループ企業展開を積極的に進める大野専務である。



 
取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久       

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