オーダーを受けたのは熱膨張率が極端に低い特殊な材料を使用した複合材成形用の6m角の治工具の成型。
「当然、このような特殊な素材を取り扱ったことはありませんでした。そこで素材を作っている金属メーカーの方に指導をいただき、切削方法や溶接方法、損傷部分の補修方法などの技術指導や専用機の選定など様々な点で助けていただきました。何とか納品した結果、航空機メーカーからは『特殊材料ができる企業』と認知していただけるようになりました。特殊材料を加工できる企業はごく限られていたので、これ以後、大物・小物を問わずこの関連の治工具の取引が増えていきました。」
そんな時、製作上の大トラブルが発生する。
「あまりの出来事に取引先へ第一報は直ちにいたしましたが、すぐにはどう責任を取っていくのがいいのか相談できませんでした。2日間ほど悩み腹を決めました。『これは全面的に当社が全責任を負ってやり直します。』
取引先にこう話したところ、当方の覚悟を意気に感じていただけたらしく『これをやりとげてくれれば、今後も必ずパートナーとしてやっていける!』と応じて下さいました。素材メーカーも、通常3ヶ月かかるところ1ヶ月で素材を用意してくださり、当社は死に物狂いで加工し納品いたしました。もし、どの費用をどちらが持つなど、ダラダラ交渉していたら現在の当社はなかったのではないかと思います。社員の後押しで自分が腹を決めたことが、結果的に、こうした取引先からの信頼を得ることにつながりました。」と振り返る。
さらに、この経験が従来のプレス金型製造にも好影響をもたらし、とにかくお客様に信頼頂ける品質を提供できる企業になっていこうという機運が高まりました。
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