「新電力」で初期投資0円の電気料金削減を
省エネ事業部 廣瀬陽子 記事更新日.2013.08
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「電力の自由化」で省エネを提案

 いわゆる「電力の自由化」が始まったのが2000年。電気事業法改正により、中部電力などの既存の電力会社10社以外でも電力供給することができるようになり、大口需要者の購入自由化が始まった。

 2005年には、50kw以上の高圧受電をしている事業者も、一般の事業者が発電する電力【新電力:PPS】から購入できるようになり、電力量の6割程度が自由化されたとされる。こうした新電力の供給者と高圧受電をする一般企業をつなぎ、併せて省エネ提案を行うのが株式会社ヒロセである。


電気料金の「固定費」、基本料金を下げろ

 2005年に高圧受電事業者の電力購入先の自由化が始まり、大口需要者の取引は進んだが、中小規模の需要者は、多様な供給者からどの事業者が最も適当なのかを探すこともできず、また、探したとしても購入量が少ないことから価格交渉力もない。加えて、事務手続きの煩雑さもあり、なかなか利用が進まなかった。

 建設資材卸の当社が省エネ事業部を開設したのは2010年。株式会社エネリンクの業務委託代理店として事業を開始した。株式会社エネリンクでは中小規模の購入者を複数社とりまとめ、大口需要者と同等の需要量を持つことにより、大口需要者と同等の立場で、供給者からの供給量・価格情報の提供や購入時の価格交渉力を持つことに成功した。

 当社はエネリンク社と連携することで、エネリンクの持つ供給情報力と価格交渉力とを活用し、営業展開している。 当社が展開する提案は、価格交渉力で安価に調達した電力を活用し、既存の電力会社よりも基本料金単価を安くすることである。

 電気代金は大きく分けて、「電気を全く使わなくとも発生する『基本料金』」と「使った分に比例して発生する『使用電力量料金』」により構成される。 基本料金は「契約電力×基本料金単価」により計算されるのだが、契約電力は30分ごとに使用した電力の最大値で決定され、30分間で契約以上の電力を使用すると契約電力がその月から自動的にその最大電力量の契約となってしまい、その契約は1年間高止まりのまま継続される。季節変動や昼夜間の電力使用量のムラが大きいほど、ピーク量に契約電力が設定されてしまい、ピーク時以外の電力使用量は契約電力に比べて少なく、過大な契約電力を余儀なくされる。

 その結果、電気料金全体に占める固定料金としての基本料金の割合は大きくなる。したがって、基本料金を安くできれば電気代のコスト削減率は大きくなり、企業メリットも大きい。 当社は、エネリンク社の価格交渉力を活用し、基本料金単価を安くすることで、割合の大きい基本料金部分を引き下げる提案を行なっており、こうしたムラの大きい企業ほど、電気代の「固定費」削減策として歓迎されている。


リスクなしでコストダウン。官公庁を始めとして150社で利用

 「こうしたご提案をすると必ずいただく質問があります」と潟qロセの省エネ事業部の廣瀬陽子課長。

 「一つは、契約した電力供給者がトラブル等で発電がストップした場合、電気が止まってしまうのではないか、ということです。結論から言えばストップはしません。これは、既存の電力会社10社は電気事業法で『最終保障義務』が決められているからです。継続契約がまとまらない、契約先の発電が何らかの事情でストップした等の理由で供給先を失った場合でも電力を供給する義務があり、供給が止まることはないのです。

 もう一つのご質問は、電力会社を変えることで追加費用が発生するのではないか、ということです。古い検針機の事業所では、これを電気の使用量を電気会社へデータ送信できるスマートメーターに変える必要がありますが、検針機はもともと電気会社の所有物ですので、当然この取り換えも電力会社負担となり、事業所の負担はありません」と新電力のメリットを強調する。

  「新電力についてのお問い合わせをいただくと、電気の使用状況等を調査させていただき、どの程度のメリットがだせるかというご提案書を作成致します。ご検討いただき、お申込みいただきましたら、その時点での供給量に見合う最適な電力供給先をご紹介し、契約の締結となり、供給が開始されます。その間の書類作成等は当社でいたしますので、事業者様をわずらわせることはほとんどありません」。

 現在、当社の提案で新電力を契約する事業所は中部圏で150社ほどになった。北名古屋市や愛西市、三重県の東員町では庁舎への電力供給も当社の提案で成立した。


建築資材卸の経験が活きる「ヒロセの提案」

  当社の提案は「省エネ」全般にわたり、新電力の提案以外で現在注目を浴びるのが、遮熱塗料「アドグリーンコート」である。
この塗料は日本中央研究所とトヨタのベンチャー第一号企業・アドマテックス社が共同開発した塗料である。太陽光の約1/2を占める近赤外線が物体の温度を上昇させることに着目し、近赤外線を反射する粒子を配合し開発された塗料である。

 この効果は絶大。工場建屋での事例では、施工前には外気温38.7℃時に金属製の屋根の表面温度は72.5℃。これが施工後外気温35.8℃時の屋根の表面温度は37℃。屋根直下の2F内事務所で施工前はエアコンを入れてもほとんど効果がなかったのが、施工後はエアコンの効きが抜群に良くなった。その効果は建屋全般にわたるため、空調に要した電気代の大幅に削減が実現。

 この他、断熱材強化や照明のLED化なども併せ、この事例では全体で23%の削減に成功した。このように、電気使用量を減らすことができれば、すなわち、契約電力の引き下げにもつながり、その結果、電気代の固定費である基本料金を引き下げる、という好循環が生まれる。

 

このように新電力だけでなく、建築資材卸の知見も活用することで、トータル的な省エネ効果を上げることができるのが当社の強みである。「電力会社の値上げのニュースが流れるたびに、当社へたくさんのお問い合わせをいただいています。まだまだ新しいビジネスですので、様々な業界へ、当社ならではの省エネ提案をして行きたいと思っています」と、今後を語る廣瀬課長である。



 

取材・文 有限会社アドバイザリーボード 武田宜久