何故、後発企業である当社が安定した受注を得られたのか。
「大手企業では、発注する製缶業者はすでに複数社あり、例えばそれが5社あれば、当社は6番目の立場となります。そんな中でも決して技術の安売りはしないと決めていました。
当社の技術を知っていただくために『初回価格』を提示することもありますが、価値のある技術は相応の価格で見積もりを出していました。他社が受けたがらない難しいオーダーを積極的に攻め続け、ある時は他社がすべて『できない』と降り最終的に残ったのは当社だけ、ということもあります。価格競争のみが主戦場となるようなやりやすい仕事は断るようにしていましたし、当社の繁忙状況によっては相見積もりと知った段階でお断りすることもあります。徐々に当社の高い品質と納期の管理力をご理解いただけるようになると、仮に価格が3番目だとしてもトータルで安くなるという評価もいただくようになりました。」
価格競争に苦しむ企業が多い中、なぜ「高い価格」が通るのか。
そこには「工程ごとでどう安くするのか」ということだけではなく「工程トータル」での安さを実現する当社の技術力がある。
「オファーをいただくお客様には『うちは高いですよ』と最初にお伝えしています。ただ、その価格に見合う品質であることは自信があります。例えば、高い精度をだす必要があれば材料の歪みをとるなど手間をかけており、こうしたことから価格が高くなってしまいます。しかし、本当に必要な手間をかけることで、後工程が、例えば研磨が3回必要だった工程が材料の歪みがぬけているため無理なく加工できることから2回に減らせるなど、トータルで考えたときに『早く・無理なく・きれいに』プロダクトができるので、結局は安くなるんです。」
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