アルプススチール鰍フ創業は昭和13年10月。現会長利川烈氏の両親が大阪で金属プレス工場を創業、旧陸軍や空軍の指定工場として戦禍にあいつつも疎開などをしながら事業を続けた。戦後は、紡織機部品の製造へと移行、折しも朝鮮戦争による特需を受けたガチャマン景気で受注は昭和30年頃まで続くが、停戦後は次第に減少してしまう。
ここで目をつけたのが日本経済の復興とともに増えていた鉄筋コンクリート構造のビル建設である。こうしたオフィスでは、それまで主流であった木製のオフィス家具類からスチール製へと転換しつつあった。「これなら自分たちの原点であるプレス業の技術が活きる」と可能性を感じ、昭和31年にロッカーや書庫などのスチール家具の製造販売を開始する。
昭和35年頃から始まる高度成長期からバブル景気の時期にかけ、業容は拡大していった。昭和60年には当時の通商産業省(現経済産業省)で「ニューオフィス推進(明るく使いやすい効率的オフィスへの転換)」の後押しもあり一気に需要が増えた。
その一方で、業界の特性ともいえる非常に大きな課題を抱えていた。
スチール家具のほとんどの需要先は法人や学校。その納期は新年度が始まる3月下旬に集中する。年明けから大きな繁忙期が3月まで続くが、それ以降は閑散期となる。景気が少しでも悪くなると閑散期には受注が大きく減少するなど、その繁閑の差の大きさに長年悩まされていた。
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