昭和23年、現社長木下治彦氏の父である秀治氏が木下ミシン工業を創業。戦前は航空機メーカーでゼロ戦部品の製造で鳴らしたものづくりの職人であった。戦後、飛躍的に需要が高まるのを感じ、工業用ミシンの販売・修理業として独立した。
しかし、工業用ミシンの生産台数も1991年にはピークを迎える。その後円高などの影響で、工業ミシンの中でも高付加価値のマシンと技術を要する特殊用途ミシンだけが日本に残り、コスト面の要求が強い製品カテゴリーは中国へと移転していく。
当社も軌を一にするように、1990年には量産体制を整え技術力を要する特殊ミシン向け部品の製造へとシフト、価格重視の海外部品とは一線を画した品質と技術により差別化を図ろうと考えた。
工業用ミシンの回転数は1分間に6,000〜10,000回転程度。この高速回転をフレーム筐体と500点ほどとされる精密な部品で支える。その精度1ミクロン。求められるのは精度だけではない使い心地の良さ。例えば、布と直接接触する押さえ部分では、わずかな引っ掛かりも許されない仕上げ能力が求められる。こうした高精度が要求されるミシン部品を創業以来20,000点以上作り続ける技術力を支えているのは、高精度の切削加工に熱処理、研磨加工、表面処理、そして最終的な検査工程を加えた一貫生産体制である。 |