取引先の1社依存率が高くなりすぎるのは、営業の苦労が少ない反面、先方の景気や製品の売上に左右され、自社のコントロールがきかないまま受注量が激減する可能性もあることから、非常に大きなリスクを抱える諸刃の剣である。
株式会社マルエス機工もその浮沈に悩み続けた企業の一つである。
中型〜大型の産業機械向け部品製造の切削・溶接加工技術が高く評価され、1社からの受注量が拡大するものの、県外や海外へ生産拠点が移転されるなどの影響で主力事業を失うことを繰り返した。
その反省から、自社の技術力や外注活用の管理力を強化し「機械一台分の部品製作をすべて一括で請け負うことができる」という一貫受注体制を確立、新幹線、NYの地下鉄、エレベーターの部品をはじめ、立体倉庫、ディスプレイ搬送用専用機、産業ロボットなど産業用機械の部品を製造、大きさは5〜6mまで。素材も鉄、アルミ、ステンレスなど多岐にわたる。
様々な産業機械分野の取引先開拓や1100台以上の納入実績を持つロングセラーの遠心分離装置の開発など、毎月50社を超える企業からのオーダーを受ける企業へと変化を遂げた。
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