介護事業等を展開する株式会社フレーバーが設立されたのは2012年4月。社長の布目裕貴氏は休日の生活情報番組や全国放映の旅番組を担当するテレビ制作会社のディレクター。介護の仕事は全くの未経験だった。きっかけはパートナーの想いだった。
「私のパートナーは介護福祉士で、常々やりたいと思っている介護像を持っていました。しかし施設によって方針があり、自分が理想とするような介護が思うようにできずにいました。私自身はというと、制作の仕事で撮影や編集で帰れない日も多くあるなど、13年間どっぷりと仕事に浸かっていました。そこで、今まで自分の好きなように仕事をやらせてもらってきたのだから、今度はパートナーの力になるべきではないかと考え、自分たちで目指す介護を実現しようと会社を設立しました」と布目社長。
2014年6月に月の延べ利用者数が300人以下である小規模デイサービス「ほたる阿久比」を、翌年には炭酸泉のお風呂利用に特化した短時間デイサービス「おふろデイ」、2017年に小規模住宅型「有料老人ホームほたる」と併設のデイサービス利用者の延長宿泊サービス「お泊りデイ」、訪問介護サービスの「訪問介護ほたる」、2018年にリハビリ利用に特化した「リハビリデイ」、2018年に居宅介護支援事業所「介護相談ほたる」を開設するなどサービスを拡大させてきた。
「利用者様のご要望に応える形でサービスを充実させていく中で、現在のような多様なサービスを行うまでになりました。その結果、利用者様あるいはそのご家族の事情に合わせた柔軟な介護サービスを提供できるようになりました」。
例えば「おふろデイ」サービスは介護サービスを受けるきっかけともなる。ケアマネから、「デイサービスを利用することを拒んでいる人がおり、なんとかしたい」という相談にはスーパー銭湯へ行く気分で炭酸泉につかれる「風呂デイ」サービスの短時間利用をしたらどうか、と提案したところ、「炭酸泉」というキーワードにひかれて利用が始まり、利用時間も1日利用にまでになった。また、「お泊りデイ」は利用者の家族の都合で宿泊が必要になる場合に利用できるサービスで、いつも行くデイサービス施設で宿泊できることから安心感も強く、6床の利用ベッドが満床になる日も多い。
こうした介護事業部に加え、保育事業部として2021年4月には新たに企業主導型保育園「ほたる保育園」を開始、社長の前職の延長である映像事業部と合わせて3つの事業部となった。
「運営体制としては、社長である自分は介護事業の運営を支える役所関連への申請事務などが主で、パートナーは介護現場の最前線で夜勤にも入り、介護の品質向上につとめています。パートナーは介護一筋ですので私は逆に広い視野を持てるように気をつけています。東京などで開催される福祉用具の展示会視察にはできる限り行き新しい情報を得るようにしています。また、同じ理由で、前職のつながりでテレビ番組・CM・プロモーションビデオの企画制作をする映像事業も続けています」。
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