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補助金申請の留意点・採択ポイントについて
生田 始 記事更新日.09.08.03
(財)あいち産業振興機構 技術担当マネージャー

【問い合わせ先】
(財)あいち産業振興機構 マネージャー
電話 052-231-6165
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前回では、国・県の公的支援制度の紹介と効果的な活用について述べさせていただきました。
今回は、補助金の申請書の作成にあたっての留意点や、採択のポイントなどについて触れたいと思います。
折りしも、「ものづくり中小企業製品開発等支援補助金」(試作開発等支援事業)が全国中小企業団体中央会から公募予定となっています。これは第二回目の公募であり競争激化が予想されますが、今回のご案内が企業様の参考になり採択につながれば幸いです。
■申請書の作成にあたって
Q:
補助金申請の経験がなく、制度の記載内容が複雑で理解できません。補助金の選択にあたって相談にのってもらえる機関を教えてください。
A:
公募要領などはお役所独特の表現などがあり、なかなか理解できないのは当然だと思います。迷う前に、狙いとする制度がある程度絞れたら、公募元の各機関に出向いてアドバイスを受けるのが早道です。 また、公的機関に窓口相談するのも有効です。どの制度に申請するか迷っているのであれば、私ども「あいち産業振興機構マネージャーグループ」まで連絡をいただければ、書き方を含めご相談に対応します。
Q:
補助金の申請を行うにあたって、何か事前に準備しておく点があれば教えてください。
A:
補助金申請するとは、事業計画書を提出することと言い換えることができます。注意したい点として、補助金に合わせて計画を作るのではなく、はじめに計画書ありきでなくてはなりません。通常の事業活動の中で活用可能な補助金が見つかれば、タイミングよく利用するという姿勢が望ましいのです。そもそも公募は短期間ですから、その場で作成するのは至難なことです。



次には、事業計画と補助金制度の方向が一致しているか確認しておく必要があります。補助金公募の目的や補助対象要件を、申請書を作る前に確認しておくことです。例えば、公募ごとにテーマが限定されているはずですので、事業内容がそれに合致しているか確認するということです。「環境」というテーマが提示されていれば、省エネルギーに関連するものなどが対象になります。
また、開発体制の問題も重要です。事業の計画は立派でも、それを推進する体制が不明確では事業の実現性が疑われます。まず、社内については、事業責任者をはじめとした事業に専念できる人員配置と役割りを決めます。外部の協力者についても明確にしておく必要があります。特に、研究・開発業務については地域の大学や県産業技術研究所等の公設試に委託するなど、連携体制を構築することにより事業展開の信ぴょう性をアピールできます。

体制について、もうひとつ重要な点があります。それは事業費の管理に関する業務についてです。国または県からの補助金という性質上間違いのない管理が求められ、経理のセンスを持った人材が必要となります。

他には経費が問題となります。必要な経費が補助対象になっているか確認してください。例えば、IT系や人材育成などの事業であれば、基本的に人件費だけが補助対象になるかと思います。また、外注を使うのであれば、外注費をみてもらえるのかといった点についても重要です。

これらの条件を満たしていることが確認できれば、次は申請書を作ることになります。なお、指定の申請様式はそれぞれのホームページ等にあるので、ダウンロードして作成します。
Q:
申請書作成直前において注意すべき点など、チェック項目があれば教えてください。
A:
書く前に、必ずチェックしておくべき点があります。それは、この事業の着地点を明確にしておくことです。簡単に言うと、いくら良いアイデアであっても、或いは特許性のある技術であっても、売れないものはビジネスではないということです。そのアイデアは市場で受け入れられるのか、つまりニーズがあるのか、いくらなら売れるのか、そういった点を十分調査し検討しておく必要があるのです。申請書にはストーリー(物語性)がなくてはなりません。着地点を起点にビジネス・ストーリーを組み立てるわけです。
具体的に言うと、魅力的なビジョンを示すことです。市場には様々な課題があり、そこにニーズが存在します。製品化に向けた研究・開発計画が、市場の課題解決に効果的であり、その実現性が十分見込まれるような表現や、開発によって生み出される製品が対象市場に強烈なインパクトを与え、そこに新市場を創出するような表現がここでいうストーリーです。モノはできたが売れなかったというようなことにならないように、ビジネスモデルの構築を行った上で申請書の作成に取り掛かってください。
申請書に求められているのは、技術開発の説明だけではありません。開発と事業化(売れる仕組みづくり)の両面です。事業化面の具体性に欠ける申請書は審査で受け入れられません。

次の点もチェックが必要でしょう。第一に、自社が計画する事業は、仮に採択されなかった場合でも実施するかという点です。採択されなければ実施しないような事業であるなら、よい申請書が作成することはできないと思われますので、即刻停止することを提案します。それほど申請書の作成は簡単なものではありません。
第二に、その事業は今実施しなければいけないのか、という点です。優先順位が低い事業の実施で、本業を圧迫することも考えられます。そのような場合もやめておくべきでしょう。
■申請書の書き方について
Q:
申請書の書式は詳細で、全体像がよく分かりません。そのため項目間で記載内容が重複したり、つじつまが合わないなどうまく書けません。どのような流れで書くのか教えてください。
A:
申請書は事業計画書がないと書けません。事業計画書とは、新事業の入口から出口まできちんと計画化することです。そのためには、入口から出口までの工程を明確化する必要があります。下図を参考に事業の全体像をイメージし、流れに沿って具体化しましょう。
Q:
申請書を書く段階で、具体的にどのように書くのか教えてください。
A:
要は、どの段階に補助金を活用するのか決定し、事業の全体像を把握したうえで、対象となる段階の説明を中心に詳細を記載して、事業計画の妥当性を申請書としてまとめ上げるわけです。 先ほど述べたように、まず着地点を明確にした上で、@研究・開発、A実用化、B事業化・販路開拓のステップで書くことになります。具体的には、@どのように開発し、Aどのように商品化し、Bどのように売るかということです。そして、それにより市場性*(3と社会的貢献性*(4が満たされるという点をアピールするわけです。このようなストーリー性が審査で採択につながるものと思います。

*(3:「市場性」・・・モノが売れ、市場に浸透し、結果として新市場を創出すること
*(4:「社会的貢献性」・・・安全・安心な生活に役立つなど、開発するモノ・サービスが社会的に貢献すること
Q:
申請書を実際に書くにあたって、何か注意する点はありませんか。例えば、審査で有利になる書き方などについて。
A:
第一に注意する点は、分かりやすく書くということです。審査員は必ずしもその専門分野の方とは限りません。専門用語の羅列は避けて、素人さんに見せるのと同様に、簡潔で分かりやすい用語で表現していただくことがポイントになります。 またコンパクトにまとめ、時には図表も取り入れてビジュアル化するなど、誰がみても短時間で内容を把握でき、事業内容が生々しくイメージできるようにすることも重要です。特に申請書の冒頭で記載する事業概要については、市場のターゲットは誰か、市場の課題やニーズは何か、自社の独自能力等強みは何かといった切り口でまとめあげるとよいと思います。

第二には、公募の趣旨に沿って書くということです。それには公募の目的をきちんと把握しておくべきと思います。例えば、経済産業省のサポーティング・インダストリーの場合「・・・我が国製造業の国際競争力の強化と新たな事業の創出を目指し・・」と書いてあるわけですが、その趣旨に沿った配慮としては、新規に開発する自社技術の地域或いは産業分野への波及効果などに触れておけば、審査において有利になるかと思います。また、白書など国の刊行物を参考にすると、関連技術の我が国の方向性が把握できます。それらを背景として申請書のストーリーを企てれば、国の方針に沿って申請することになるのですから、審査員もノーとは言えず妥当性が高まるものと思います。

  第三には、自信のない“あいまい表現”は避けることです。また、具体的な数字で表現することに配慮してください。例えば「売上増が見込まれる」でなく、「“100台”の販売が予定され、売上“30%”アップが予定されている」の方が、計画の実現性が高まる結果になるかと思います。さらに図の利用など“見える化”を心掛けるとよいと思います。

第四には、公募元に相談することです。公募要領に問い合わせ先等が記載されていますので、そこに問い合わせすれば断られるようなことにはならないと思います。できれば公募開始前に情報をキャッチして、申請書の下書き段階で相談すると詳細な書き方指導が受けられるはずで、かなり重要なポイントになると思います。
■申請が採択されるには
Q:
申請書が採択され、補助金が獲得できるためには、どのような基本的要件を整える必要がありますかポイントを教えてください。
A:
最初に、事業の新規性が求められます。新規制とは、既存技術の水準に対してどのくらい革新性があるかということです。極端な話、特許や実用新案に値するものであれば問題ないわけです。技術或いは製品全体の新規性があっても、既存の技術を組み合わせただけでは審査結果は微妙です。これに対して、“従来技術に新規の技術を組み合わせて一つの製品とし、新たな価値を創造する”、というような形が一番望ましいと思います。基本的に、既に他社がやっているのを少し変えただけのもの、見え方を変えただけというようなオリジナリティのないものは採択される可能性は低いと思います。

第二には、優位性の問題です。従来技術との違いを明確にして、どのくらいポテンシャルが高いか示すわけです。市場には、利用する技術は違えども同じような機能を有するものが多数あるはずです。類似製品と比較して、どの性能が優位なのか表で記載すると明確化できます。

類似製品との性能比較表
比較項目 本事業 類似製品A 類似製品B
加工性
耐熱性
寸法精度
操作性
価格


第三に、売れる見込みがある点を強調することです。そのためには市場調査でニーズが把握できており、競合先の状況調査や売上予測もきちんと立ててなくてはなりません。このような調査と分析により、販売に至るまでの展開方法が具体的に見え、実用化に極めて近い段階にある点をアピールすることが重要です。
何度も繰り返すことになりますが、販売見込みの立たないものはビジネスの範疇に入らないということになります。最近は、国や県も補助金の費用対効果についてはずいぶん神経を使っています。「数年内に実用化の見込みのあるもの」を対象とし、この点を公募要領に明記しております。

第四に、基本的なことになりますが、事業をやられる方の熱意というものが重要になります。「どうしてもやる」という社長さんの熱意です。審査で同じレベルの案件があった場合、熱意があるものと熱意がないものとではどうしても、熱意がある案件に軍配が上がることになるかと思います。
Q:
申請書を作成しましたが、これでよいのか心配です。内容を確認してもらえないでしょうか。
A:
締め切り前に公募元の担当部署を訪問し、相談することは問題ありません。内容確認の相談は、プラスの側面こそあれマイナスにはならないと思います。記載内容が公募要領に沿っているか、記載漏れはないかなど積極的に質問し、アドバイスを受けましょう。 また、注意点として、申請書の提出は締め切り間際でなく、早めに出すようにしましょう。必ず書類の不備があるものです。その場合に、担当者から指摘やアドバイスがもらえることがありますので、不備を正すだけの時間の余裕が必要となります。
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