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  トップ > 経営相談Q&A 労務管理Q&A > ハラスメント対策は大丈夫ですか?
ハラスメント対策は大丈夫ですか?
小藤 省吾 記事更新日.09.11.02
小藤経営労務事務所
■PROFILE
1957年愛知県生れ
社会保険労務士、中小企業診断士として企業の経営戦略、組織活性化、労務管理のコンサルティングを行うとともに企業、経営者団体における研修セミナー講師として活躍中。
現在、労使が力をあわせて作る「人を育てる人事制度」の普及に力を注いでいる。

連絡先
小藤経営労務事務所
〒470−2531
知多郡武豊町富貴茶ノ木15−1
TEL/FAX0569−73−7140
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厚生労働省の個別労働紛争解決制度の利用状況(平成20年度)によると、「職場のトラブル」に関する相談件数は、平成20年度1年間で100万件(平成19年度比7.8%)を超え、都道府県労働局長による、助言・指導申出件数は7,500件(平成19年度比14.1%)と増加傾向に歯止めがかかりません。
そして助言・指導申出の内訳は「解雇」が一番多く25.1%、「いじめ・嫌がらせ」12.7%、「労働条件の引き下げ」10.5%と続きます。
今回の労務管理Q&Aは、助言・指導申出で2番目に多い「いじめ・嫌がらせ」について説明します。

皆さんは「ハラスメント」という言葉を聞いたことがあるでしょう。マスコミで取り上げられることが増えている「ハラスメント(harassment)」とは「苦しめること」、「悩ませること」をいい、職場に当てはめれば「相手に対する、いじめ・嫌がらせ」といえます。このハラスメントが原因で精神的に追い詰められ、退職、うつ病などの疾患による休職、最悪の場合は自殺に至ることもあります。そしてこれらをめぐる労災請求、裁判が急増しています。

Q : 
ハラスメントという言葉を聴く機会が増えました。セクハラは知っていますが他に何がありますか
A :  代表的なハラスメントを紹介します。
       1. セクシャルハラスメント(性的嫌がらせ)
「セクハラ」としてご存知でしょう。相手の意思に反する性的な言動(食事やデートへの執拗な誘い、性的な関係を強要する、体に触る等)をいい、職場において行われるセクシャルハラスメントの種類として男女雇用機会均等法では2つに分類しています。
@対価型セクシャルハラスメント
セクハラ行為に対する労働者の対応(拒否、抵抗等)により、解雇、降格、減給等の不利益を受けること(事業主が労働者に対して性的関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇する等)
A環境型セクシャルハラスメント
セクハラ行為により労働者の就業環境が不快なものになったため、能力の発揮に悪影響が生ずるなど、就業する上で支障が生ずること(職場で上司が労働者の体をたびたび触ったため、その労働者が苦痛に感じて就業意欲が低下していること等)
男性が女性に対して行うケースが多く、職場を男性中心の社会として考え、女性を下の立場と見てきた(仕事の内容、役割、給与等)ことがセクシャルハラスメントに結びつくと考えられます。
       2. パワーハラスメント(職位等を利用して行われる嫌がらせ)
「パワハラ」といわれ、職位等で上に立つ力関係(パワー)を背景に、本来の業務範囲を超えて、人格を攻撃する言動で、上司が部下に対し、暴言を吐く、出来もしない要求を突きつける等、精神的、肉体的苦痛を与えることを言います。
ここで問題なのが、このような行為を、指導・育成、激励として正当化し自らの言動を問題行動と認識しないケースです。
「辞めてしまえ」とか「給料泥棒」等の暴言を、「悪気はなかった」「自分は言葉遣いが悪いから」「気合を入れるつもりだった」としたり、達成不可能なノルマを与え、「達成できないのは本人の力不足」、「やる気のなさが原因」として、ひどい場合は暴力を振るうなどの、自覚がない行動が問題を深刻化します。 
       3. モラルハラスメント(職場で行われる嫌がらせ)
職場において特定の人物に対し、仕事の邪魔や不当な注意、無視、悪口等の嫌がらせを、繰り返し、あるいは計画的に行うことによって人格を攻撃する行為で、加害者と被害者が一人対一人の他、グループで一人を対象に行う場合もあります。
多くの場合は社員同士ですが、社員がアルバイト・パート社員や派遣社員に対して行われるケースも増えています。
本来であれば職場の同僚として、協力し仕事を進めていく関係が、「仕事ができない(作業が遅い、ミスが多い、要領が悪い、覚えが悪い)」ため迷惑を被ったことが原因で嫌がらせが始まったり、「仕事ができる」、「職場で異性に人気がある」、「上司の評価が高い」ことに対する嫉妬や、アルバイト・パート社員や派遣社員の立場を社員より低くみて、嫌がらせが行われたりと職場のモラル崩壊の原因にもなります。

その他、ジェンダーハラスメント(性差により行われる嫌がらせ)、アカデミックハラスメント(教育研究の場で行われる嫌がらせ)もマスコミに取り上げられる機会が増え関心を集めています。
Q : 
このようなことが行われる背景はどこにあるのでしょうか
A :  ハラスメントの背景は一つだけではなく、複数の背景が影響し合って行われます。
       1. 職場における力関係
経営者と社員、上司と部下のように、立場、職位による主従関係、人事における評価や決定権、上司の立場を強調して、「言うことを聞かないあなたが困ることになる」、「上司の立場で部下を指導しているだけ」として相手にハラスメント行為を行う。
       2. 男女の役割に対する誤った固定観念
「お茶を出すのは女性の役割」、「女性は結婚したら家庭に入るべき」、「女性に責任ある仕事は任せられない」、「男はバリバリと仕事をするもの」といった男女の役割に対する誤った固定観念を職場に持ち込み、従わない者を排除しようとしてハラスメント行為を行う。
また同僚、部下に対する「妬み」「嫉妬」「見下し」等も背景にあるといえましょう。
Q : 
会社としてどのような対応が必要でしょうか
A :  ハラスメント対策に真剣に対応することはリスク管理の観点からも重要です。
       1. 法律上の責任
使用者は社員に対し良好な職場環境を整備する責任を負っています(民法415条)。この責任を怠りハラスメントに適切な対応を取らなかったと判断された場合、使用者は不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります(民法715条)。
       2. 会社が行うべき対策
(1)ハラスメント教育の実施
自分の言動をハラスメントと理解していないケースもあり「ハラスメントとは何か、どのような言動がハラスメントになるのか」を正しく教育し、会社全体でハラスメントは許さないという姿勢を打ち出すことが必要です。
(2)ハラスメント相談のための体制整備
ハラスメント被害者の受け入れとして調査委員会と苦情処理機関を設置します。
ハラスメントの相談があった場合は、調査委員会で事実把握を行い、事実が確認できたら苦情処理機関で厳正に審査し、被害者の救済、今後の処遇、加害者の処罰を行います。社内で難しい場合は外部機関(弁護士、社労士、民間の相談機関)の活用も検討してください。
(3)ハラスメントに対し厳正な処分をすることを周知
「少しぐらいは許される」という甘えがハラスメントがなくならない原因でもあります。就業規則などに記載し、厳正な処分を行うことを周知し、甘えは許さない姿勢を示すことも必要です。また朝礼などで定期的にハラスメントについて意識を高める活動も効果があります。

ハラスメントはどの職場でも起こる可能性があります。この時に会社が「ハラスメントは許さない」という姿勢を明確に示し、対応することが、社員の経営者、会社に対する信頼につながります。良好な職場環境を作ることは会社の業績アップに欠かせません。今一度自社のハラスメント対策について検討してください。
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