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起業時の資金調達のポイント
興津 覺 (おきつ さとる) 記事更新日.08.08.01
ブレーン・コンサルティング 所長
東海学園大学・愛知産業大学 非常勤講師
中小企業診断士(鉱工業)
■PROFILE
昭和21年、兵庫県淡路島生まれ。 
名古屋工業大学・経営工学科卒業後、政府系ベンチャーキャピタルである名古屋中小企業投資育成株式会社で、約350社の投資・審査業務と育成業務を担当し30社の株式公開の手助けを行なっている。
平成14年4月独立開業し、ベンチャービジネスに対して事業計画書のブラシュアップや資金調達のアドバイス、また、企業再生や事業の再構築で実績を重ねている。

・㈶あいち産業振興機構 地域力連携拠点事業 応援コーディネーター
・(独)中小企業基盤整備機構中部支部 中小企業・ベンチャー総合支援センター チーフアドバイザー
・東海ものづくり創生協議会 アドバイザー
・㈶あいち産業振興機構 登録診断員
・愛知県中小企業再生支援協議会 中小企業再生支援事業登録専門家
・岐阜県中小企業再生支援協議会 中小企業再生支援事業登録専門家
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前回は、中小企業における資金調達の概要につきまして検討を進めましたが、今回は起業時の資金調達のポイントについて考えていきましょう。まずは、相談事例の紹介から始めましょう。
T 起業時の資金調達の相談事例より
勤務していた会社が倒産してしまったので、機械加工業者として、かねがね考えていた独立開業を具体的に考え始めました。自己資金500万円はありますが、機械購入に1,000万円、工場建設に1,000万円が必要です。その他運転資金などで合計3,000万円の融資を金融機関に申込みましたが、断られてしまいました。 どのように対応すればよいでしょうか。それとも、起業はあきらめたほうが良いのでしょうか。
1. 相談事例の整理
相談者から提示を受けました「ビジネスプラン」では、従来の得意先5社からの受注内諾を既に取り付けており、月次で50万円程度の加工高が見込めるとしておられます。当面は、相談者が一人で従事しますので、生活費と事業経費、それに金利を含めた返済資金が賄えれば、起業しても事業継続が可能となるのですが、問題は金融機関に申込んだ3,000万円という融資額が妥当であったかどうかでしょう。
2. 借入限度額の計算
月次での50万円の加工高のうち、生活費に30万円、事業経費に5万円必要とすれば、残り15万円が返済資金として見込めることとなります。設備資金なので、7年返済と考え、しかも安全率を考慮し70回返済(7年返済だと84ヵ月での分割返済となりますが、据置期間分や金利支払を含めた元利金支払いで、余裕をみますと実務的には70回返済と考えるのが妥当です)とすれば、15万円/月×70ヵ月=1,050万円が借入限度額となります。
3. 相談事例の再検討
1,050万円が借入限度額となりますと、工場建設資金1,000万円まではとても調達できませんので、貸し工場の活用を考え、また、機械の購入も最低限度必要な設備600万円でとどめ、負担を軽くした開業が望ましいことが判明しました。貸し工場の賃料6万円も馬鹿にならない金額となりますが、機械購入に必要な借入金に対する毎月の返済額8.6万円(=600万円/70ヵ月)を含めても、事業継続可能なビジネスプランとなります。
当面は、自前の工場を保有することは考えずに、事業として成り立たせるための方策に知恵を働かせることに専念し、返済資金の調達で気苦労するようなことにならないようにしたいものです。
4. 事業資金の半分は自己資金で
自己資金ゼロで起業しようと考える無謀とも言える方もいますが、実績のない起業家にリスクを賭けてまで融資してくれる金融機関はまず無いと考えたほうが良いでしょう。公的機関である国民生活金融公庫の「新創業融資制度」の場合でも、事業資金の1/3以上は自己資金で起業していただくというスキームになっています。「新創業融資制度」は、無担保・無保証人なので、起業家の多くの方が利用している人気メニューなのですが、やはりバーは設けてあります。
5.  相談事例の再々検討(総合的に考えれば)
相談事例の場合、500万円の自己資金がありますので、それを全額充当すれば、融資資金と合わせることで、希望する機械設備1,000万円の購入が可能となります。
 しかし、この場合でも、1,000万円全額を機械設備に投入することは、事業継続にとってはなはだ危険です。なぜならば、得意先の受注が必ずしも100%実現できるかどうか未知数ですし(実際、起業家の多くの方が、起業前に得意先に対して期待していたほどの受注確保ができなかったということを起業後に体験をしています)、また、毎月安定的に受注が確保できるかどうか分からないからです。さらに、思わぬ事故・病気等で働けないこともありますので、最低でも3か月分程度の生活費(この事例の場合、30万円/月×3ヵ月=90万円)の余裕が必要です。

 以上のことを考え合わせると、機械の購入は最低限度必要な設備600万円でとどめ、その資金調達は、金融機関からの借入300万円と自己資金の300万円で賄い、自己資金の残り200万円は余裕資金として手元に置いておくのが賢いやり方です。
 なお、金利負担が増えるからといって、自己資金500万円全額を機械購入に全額投入して、借入をギリギリの100万円に抑えるのも賢明なやり方とは言えないでしょう。もしものことを考えて、幾分かの手元資金は確保しておきたいものです。起業直後に、運転資金が不足してきたからといって、金融機関に駆け込んでみても、追加の緊急融資を取り付けることは、初回の融資時よりも更に困難な状況に陥ることとなるからです。

U 成功者の言葉
「お金がなくても打開策はある」 (日経ベンチヤー 2008.6より抜粋)

 札幌の不振店2店を引き受けることになったが、それらの店には手直しが必要でした。が、お金は無かった。それで、廃材やスクラップを集めてきて建物を修繕し、面白い形のものは磨いて店内に飾ったりした。これが「面白い」と評判になって、当社の“顔”になりました。
 私たちが、お金をかけずに札幌の不振店を立て直すと、経営が立ち行かなくなるお店の会社から店を譲りたいというオファーがたくさん来るようになりました。それで、当社の多店舗化が加速しました。
 あきらめずに、打開策を練れば、活路は開け、成長のきっかけにもなるのです。

潟Aレフ社長 庄司昭夫氏(1943年岩手県生まれ、東京でドラマーとして活躍後、外食へ)
潟Aレフは、ハンバーグの「びっくりドンキー」など、レストラン約300店を運営していますが、起業時は13坪のこじんまりした店で開業したのがスタートです。
成功した多くの経営者は、利益を生み出す源泉となるプロフィットセンターと利益を生み出さず経費の発生となるコストセンターとの切り分けが上手なように思います。経営の節目節目の時点で、業容拡大とともにローコスト経営をどのようにして行うかを真剣に考え続けることが大切だと思います。
Q  
起業を成功に導くためには、ビジネスプランを作成し、また、作成したビジネスプランを事例のように何回も修正していくことが大切ということはよく解りましたが、実際にはどのようなところに相談すれば良いでしょうか。また、金融機関に対して紹介等はお願いできるのでしょうか。
A  
どのような事柄であれ、自分の抱えている「悩み」や纏まらない「考え」などを他人に話すことで、その解決策の糸口が見えてくることがあります。まして、その道の経験者や知見の多い人に相談すれば、より良い解決策の提示や示唆を受けることができるものです。

(財)あいち産業振興機構では、「創業プラザあいち」(電話 052-231-6166)を設置しており、経営の専門家がアドバイザーとして、月曜日から金曜日の平日の午後1時15分から夜9時まで相談に応じる体制をとっていますので、ビジネスプランの練り上げにはおおいに活用すべきでしょう。また、起業準備のためのインフラ(机やパソコンなど)も整備しており、無料で利用できる制度もありますので活用しないという手は無いでしょう。

(独)中小企業基盤整備機構・中部支部・経営支援課(電話052-220-0516)でも、経営の専門家がアドバイザーとして、月曜日から金曜日の平日の午前9時から午後5時まで相談に応じる体制をとっています。(http://www.smrj.go.jp/chubu/manage/consult/032223.html)
また、国民生活金融公庫のベテラン職員が、定期的に「金融相談」として窓口相談に応じていますので、気軽に相談できます。(http://www.smrj.go.jp/chubu/manage/consult/032586.html)
Q  
先ほどから「国民生活金融公庫の新創業融資制度」の話が出ていますが、どのような内容のものなのでしょうか。
A  
「国民生活金融公庫の新創業融資制度」は、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方に、無担保・無保証人で活用できる融資制度です。無担保・無保証人で、1,000万円以内の融資(運転資金 5年以内、設備資金 7年以内)が受けられるというのが、この制度の一番の「売り」です。その概要は、次の通りです。
次の1、2、3のすべての要件に該当する方が利用できます

1 創業の要件(次のいずれかに該当する方)
 (1) 新たに事業を始める方
 (2) 事業開始後、税務申告を2期終えていない方

2 雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件(次のいずれかに該当する方)
  (1) 雇用の創出を伴なう事業を始める方  
  (2) 技術やサービス等に工夫を加え、多様なニーズに対応する事業を始める方  
  (3) 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
    ・現在の企業に継続して3年以上お勤めの方
    ・現在の企業と同じ業種に通算して3年以上お勤めの方
  (4) 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  (5) 既に事業を始めている場合は、事業開始時に(1)〜(4)のいずれかに該当した方

3 自己資金の要件
   事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業資金の3分の1以上の自己資金を確認できる方
「新創業融資制度」につきましては、国民生活金融公庫のホームページに、申し込み時に必要とする書類((1)借入申込書、(2)創業計画書)、また、それらの「記入例」がダウンロード出来るようになっています。
 創業計画書記入例には、(1)洋風居酒屋、(2)美容業、(3)中古自動車販売業、(4)婦人服・子供服小売業、(5)ソフトウェア開発業、(6)内装工事業、(7)学習塾の7分野について解説していますので、創業計画書作成時の参考になります。
 なお、国民生活金融公庫では、「新創業融資制度」以外に、「新規開業ローン」など多くのメニューを揃えています。
さらに、「こくきんビジネスサポートブラザ名古屋」(052-561-6316)では、「土曜相談」として、(1)公庫の融資制度について、(2)創業計画書作成のポイント、(3)経営に役立つ各種情報の提供、などを毎週土曜日(9時〜15時)に相談会を開催していますので活用されるのも良いでしょう。
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