はい、承りました。「どうしたら」と行動を考えるのは本当に大切なことですよね。
前回のQ&Aの中でも、組織を活性化するには、「人と人との関係」をマネジメントして良好に保つことが最も大切だとお伝えしました。繰り返しますが、これはあくまでも私個人の見解ですので、その点はご了承ください。
で、その「人と人との関係」を良くするためにどうしたらいいのかということについて、前回では、『相手の良いところを見つけて褒める』ということと「コミュニケーション能力を向上させる」ということが必要であるとお伝えしました。
今回は、「どうしたらよいのか」について、さらに突っ込んでお答えをしたいと思います。
まず、どうしたらよい人間関係が保てるのかについてお答えをする前に、「組織を活性化するうえで、なぜ人間関係を良好に保つことが大切なのか」、その理由についてお話をしておきたいと思います。
この理由を理解することは、組織活性化の観点だけでなく、人材育成の観点からも知っておいて損はないことです。まあ、あまり堅く考えず雑学程度で知っておいてもいいでしょう。
前回も若干は触れていますが、ここではもう少し心理学的なバックグラウンドからお話をしてみたいと思います。
いきなりですが、今、この記事を読んでいただいているあなたにひとつ質問です。
「あなたは今、そこに存在していますか?」
いかがでしょう?
ほぼ間違いなく「はい」とお答えいただいたことでしょう。
「何アホな質問しているんだ!」、って声が聞こえてきそうです・・・。
でも、考えてみてください、なぜ、「はい」と答えることができたのでしょう?
「本当にあなたはそこに存在していますか?」
「なぜ、自分はここに存在しているといえるのか」、その理由を考えることが人間関係を良好に保つための大きなヒントになります。
なぜ、「はい」と答えることができたのか。それはあなたが自分の存在を自分で認識をしているからに他なりません。では、さらに突っ込んで、我々はどうやって自分の存在を認識しているのでしょうか?
心理学的に言えば、人は「勝手に自分で自分の存在を認識できているのではない」のです。
人は自分の存在を、どう認識しているかといえば、自分が何かをしたときに、その何かに対して、周りの人が何らかの反応を示してくれて初めて自分の存在を認識できるのです。
あなたが、誰かに話しかけたとしたら、「なに?」と反応してくれる人がいるから、あなたは自分の存在を自覚できるのです。
誰かが、あなたに「○○さん!」と話しかけてくれるからこそ、あなたは自分の存在を自覚できるのです。
考えてみてください。あなたに対して、誰も反応してくれなかったときのことを。
それがいじめでないとしたら(仮にいじめだったとしても)、自分の存在が実感できなくなるはずです。
それはすなわち、社会の中で自分は存在できていない、社会に属せていないという感覚になります。人間は、太古の昔から群れを
作って生き延びてきた生き物です。ですので、社会や組織の中に属せていないという感覚は、すなわち生きていけないという感覚になってしまいます。
難しい言い方をしましたが、とにかく人は、誰かが自分に反応を示してくれて(つまり、何らかのコミュニケーションを取ってくれて)、自分の存在を自覚できるのです。
逆にいえば、周りからの反応がなくなってしまったら、人は自分の存在を認識できなくなるのです。
それは人にとって、社会や組織に属せていないという感覚なのです。
人間の欲求に関しては、有名なマズローの欲求5段階説という説があります。
簡単にご説明をしますと、人間には低次の欲求から高次の欲求まで5つの段階があり、低次の欲求が満たされないと、その上の欲求が起こることはない、という説です。その5つの段階とは、低次から「生理的欲求」「安全の欲求」「社会性の欲求」「自我の欲求」「自己実現の欲求」となります。(図1参照ください)
ただし、低次の欲求がいったん満たされれば、二度と逆戻りしないかといえば、決してそういうことではありません。
|