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  トップ > 経営相談Q&A 省エネQ&A > 不良低減と省エネ
不良低減と省エネ
野口昌介 記事更新日.06.12.07
野口技術士事務所所長
■PROFILE
1934年愛知県生まれ。
三菱電機(株)、フォスター電機(株)、日本電産(株)を経て、平成3年野口技術士事務所を設立、現在に至る。愛知県中小企業支援センター専門員、愛知県商工会連合会専門員。

<資格>
技術士(電気電子、経営工学、総合技術監理部門)、中小企業診断士、電気主任技術者第1種、エネルギー管理士、公害防止管理者、ISO9000審査員補

<著書>
現場の電動機技術、電気機器実務必携、絵とき電気機器マスターブック(オーム社)、不良低減(共著、日本規格協会)

<主な講演>
コストダウンの進め方、省電気エネルギー

<専門>
企業診断・指導、工場管理、品質管理、作業改善、不良低減、コストダウン、電気機器技術指導、省電気エネルギー、ISO9000認証取得の指導

連絡先
野口技術士事務所
〒463-0055 名古屋市守山区西新17-30
TEL/FAX 052-792-0172          
印刷用ページ
Q:
このところ市場不良の問題が新聞等を賑わしています。
A:
人身・火災事故に直結する重要問題です。
Q:
記憶にあるだけでも、リレーロッド折損の対応、ガス湯沸器、原発のタービン動翼の破損、パソコンのリチウムイオン電池パックがあります。
A:
本質的機能・安全にかかわる事項ですからユーザーにとりましては、安全とともに使用不能に陥る切実な問題です。
Q:
ただね、省エネとの関連となりますとね・・・。
A:
関係は大ありですよ。
わかりやすいところからいきましょう。
例を鋳物にとります。
鋳物ですからキュポラで銑鉄を溶解します。溶解には熱エネルギーが必要です。
鋳込んだ鋳造品が全数良品ならばよろしいのですが、10%不良品が生じたとしましょう。
そうしますとどうなりますか。
Q:
員数が不足になるでしょうから、当然補充するべく・・・・、追加製作する・・、その分は予期しないエネルギー消費をもたらし・・ます。
員数が合っている場合でも、エネルギー原単位の向上と原価低減のために不良低減を図る・・のは当然で・・ある。
A:
その通りです。不良減は利益増そのものです。
製造工程における不良は次の様に整理できるでしょう。
(1)
エネルギー原単位が低下します。  
溶解ばかりではありません。    
機械加工関係の切削・移動等の動力も同様です。
(2)
不良の手直しが発生します。    
手直しには動力が必要です。
(3)
前工程までの材料および加工に要した動力・エネルギー(含む運搬)はすべてムダになります。
(4)
不良の補充が必要になります。    
これに伴う材料・加工・運搬等のエネルギーが発生します。
(5)
その他に、直接的には表れがたい間接関係のエネルギーがあります。
(6)
これらのことから原価が上がります。    
原価の上昇は競争力の低下に直結します。そして利益減になります。
(7)
さらに考えていただきたいのは、前項までの直接的な事項ばかりではなく、この補充の間に、本来の製造し創造する価値が失われていることです。
別の言い方をしますと、機会損失が発生しているのです。
ですから、各社それぞれに不良低減には力を入れていると言いたいのですが、残念ながら表面的な一次的・一時的な対応のみで、徹底を欠いている企業があることも事実です。
中には技術的に難しい事項もあるでしょうが、大半は良いと考えられること、当たり前のことを当たり前に行えば問題ない事項が多いのです。
Q:
Q.市場での不良は・・・。
A:
これは、また大変ですね。  
問題にもよりますが、
(1)
内容によっては回収・リコールする必要が生じます。      
円滑に回収できない場合が、また大変です。
(2)
人身事故・与えた損害に関してはPL−製造物責任−が生じます。
(3)
補償問題が生じます。
(4)
良品と交換する必要が生じます。
(5)
製品の設計変更・改良を行う必要が生じます。
そして在庫品・製造途中のもの・部品に至るまでの対応も求められます。
(6)
この結果、製品供給に穴が空きます。販売に支障を来します。
(7)
顧客の信用を失うことになります。
(8)
マーケットシェアを失います。
(9)
その結果、売上減→利益減→経営的問題を生じます。
すべてがこの様な、負の連鎖、負の循環に陥る訳ではありませんが、十分に心するべき事項です。
企業としては、すべからくはこの逆の、
不良の低減→顧客信用の醸成→売上増→業績向上の、正の循環を追い求めることが望まれます。
Q:
市場不良の対応にも、直接・間接にこれに伴うエネルギーが消費される・・。
A:
その通りです。
費用面だけに注意が向くのですが、その裏には必ず消費されるエネルギーが存在するのです。そして原価に直結します。
従って、不良の低減は絶対的に必要な命題です。
ISO14000というと環境問題ばかり考えるかと思いますが、環境負荷に直結する事項として不良低減・使用材料の削減がとりあげられるのですよ。
Q:
車のリコールも大変ですね。
A:
このところ急激に増加していますからね。
リレーロッドは付け根部を太くしたのですから、安全率・機械系の信頼性の問題で設計に起因する問題でしょう。
Q:
暖房機もね・・。
A:
回収に難儀しています。材質の選定・長さ不足から大きな問題になりました。
Q:
リチウムイオン電池パックも大ごとになりました。
A:
新聞報道から知るのみですが、960万個の回収でパックの供給も滞り1〜2か月程度待ちもある様ですから大変です。利益も大幅減です。
Q:
不良と省エネルギーとの関係はわかりました。
問題は、
(1)
どの様にして未然に発生を防止し
(2)
発生した場合にどの様に対応するか
だと思うのですが。
A:
その前にまず次のことを意識しておきましょう。
社外で発生する不良に関係する社外費用とその影響は大きいものがあります。
従って、まず顧客に迷惑をかけない様に、社外(不良)費用の社内費用化です。そして、さらに社内(不良)費用の極小化です。
どの様にして未然に発生を防止するかですが、
(1)
地道な着実な日常の改善努力の積み重ねです。     
不良は企業の実力そのものを示しています。
(2)
ISO9001は良い指針を示しています。
     1)
設計検証の実施 : 不良要因の排除です。
     2)
設計の妥当性の確認 : 実証評価・マージンの検証です。
(3)
適切な製造工程管理
(4)
愚直なまでの品質確認
特に、(1)〜(3)を貫く(4)です。
加速試験だけではわからない大量生産し実用してからわかる事項のあることも事実です。
これを極力補うものとして慎重な石橋を叩く愚直な徹底した品質確認が必要です。すべてにおいて安易に甘く扱うのは禁物です。
企業内には何が起きるかを見通した慎重な少数意見があるものです。これを安易に退けるのではなく、徹底して吟味するのがよろしいでしょう。
供給者・使用メーカーともに品質評価に弱点があると問題が表面化する様に思います。
発生した場合にどの様に対応するかですが、
(1)
問題・兆候を安易に扱わない。
(2)
徹底した原因の5why追究と、4Mに関して5W&1Hの落ちの無い対策を設定します。
(3)
厳しい判断の下、速やかな徹底した対策を展開します。
抽象的ですが、この様なところです。
適切な対応と速やかな対応を欠き、対応を誤りますと、企業の根幹を襲う非常な局面に直面することにもなりかねません。
突発的な不良以外に日常の慢性不良があると思います。この中のあるパーセンテージは漏れて出ています。企業内の不良は、表面的な追究に止まることなく徹底した原因の追究と、徹底した製造工程の見直し・改善と、愚直なまでの品質確認で大半の事項は解決するものです。 着実な実行が問われます。
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