創業サクセスマニュアル~専門家による創業取扱い説明書~

公益財団法人あいち産業振興機構


ビジネスモデル【コミュニケーション】自分をメディア化するという考え方

はじめに

≪キーワード≫
・メディア化戦略とは
・インターネットの普及・浸透
・ソーシャルメディアの台頭

インターネットの普及・浸透、ソーシャルメディアの台頭により、私たちのビジネスの在り方(やり方)は大きく変化・進化している。消費者にとっては便利になった反面、製品・サービスを提供する側からすると顧客接点の多様化によりビジネスの在り方(やり方)は益々複雑化しているようにも思う。

では、インターネット(デジタルな世界)にどう適合していけば、創業を成功に導くことが出来るのだろうか?

自分をメディア化する「メディア化戦略」という観点で、自分自身の体験をもとに記述したいと思う。※メディア化戦略とは、情報爆発・情報過多の時代において、価値を訴求するための戦略のことである。

創業における課題と解決策の方向性

≪キーワード≫
従来のやり方が通用しない
 ・成熟社会でモノを売るということ
 ・顧客接点の多様化(インターネット対応)
 ・消費者購買行動の変遷
 ・自社メディアを持つこと
 ・発信力を鍛えること
 ・「B with C」発想

成熟社会と言われている現代、巷にはモノが溢れており、良いモノであっても売れるとは限らない状況である。また、消費者の購買行動が変化していることも十分理解しておく必要がある(AIDMA→AISAS→SIPS)。例えば、消費者はある製品・サービスに興味を持ったらインターネットで検索し、購入したモノが気に入れば、インターネットで仲間と共有し当該情報をソーシャルメディアで拡散するようになったのである。逆に言うと、インターネットやソーシャルメディアに対応していない企業は存在しないも同然とも言える。

自社メディアを持ち、創業者自らが情報収集・編集・発信しインターネット上での評価・評判を獲得し自らをPRそして自らの存在を築いていくことが重要となる。そのためには発信力を鍛え、消費者の心を捉えることが重要となる。

また、企業が一方的に宣伝や広報を流すのではなく消費者と共に創る「共創」という概念が重要となる。

フィリップ・コトラーが提唱した「マーケティング3.0」という概念は、「メディア化戦略」を通じた価値訴求の重要性、消費者とのコミュニケーションの在り方を説いている。

「マーケティング3.0」と「メディア化戦略」

≪キーワード≫
・フィリップ・コトラーが提唱した「マーケティング3.0」という概念

「マーケティング1.0」の時代は製品を消費者に売り込むための「製品中心のマーケティング」でした。「マーケティング2.0」の時代は顧客満足度を上げるための「消費者志向のマーケティング」。そして、現在の「マーケティング3.0」はより良き社会を形成するための価値が中心となる「価値主導のマーケティング」であるべきだとコトラーは説きます。

「消費者のマインドとハートと精神に訴えるためには、マーケターは消費者の不安や欲求を特定する必要がある。グローバル化のパラドクス(逆説)において、消費者の総体としての不安や欲求は、彼らの社会を-また世界全体を-よりよい場所に、さらには理想的な場所にしたいという思いにつながる。したがって、アイコン(象徴)になりたいと思う企業は、消費者と同じ夢を持ち、世界に違いを生み出す必要がある」ということです。重要なことは、人間と社会とのつながりを中心に据えて考えられる企業であれ、ということです。

これらの考え方は、日本でいうところの近江商人の「三方よし」という概念と同じなのではないかと思います。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」というもの。つまり、自社と取引相手だけが儲かるだけではなく、社会も視野に入れて商いを行うことを奨励したもの。近江商人が行商中心のビジネスであったため、他国に分け入らねばならなかったことを考えると、その地域のコミュニティに受け入れられることは何よりも重要だったと推察される。

近江商人の「三方よし」のコンセプトは、インターネットでつながった今の企業活動にとっても、もっとも求められているものだと言えるのではないでしょうか?


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