はじめに
≪キーワード≫
・アップサイド、ダウンサイド
・リスクアセスメント
・リスクマネジメント
起業家が投資家に事業計画を提示して出資を請う場合、その事業がどれだけ大きく成長する(化ける)可能性があるかという「アップサイド」と共に、どのようなリスクを内包し、どのような場合に失敗するのかという「ダウンサイド」を明確に認識し、示す必要がある。
計画を立て、実行する際、事前にリスクの大きさを評価し、そのリスクが計画実行の上で許容できるか否かを決定するプロセスのことをリスクアセスメントという。
また、リスクアセスメントの結果に基づいて、危険度を一定値以下に抑えるために管理(禁止を含む)をする手法をリスクマネジメントという。例えば、営業活動に伴うさまざまな危険を最小の費用で食い止める経営管理活動がそれにあたる。
しかし、インターネットの普及・浸透及び、ソーシャルメディアの台頭により、お客様との接点は多様化・複雑化してきており、顕在化しているリスクよりも、潜在的なリスクにどう対処するかがむしろ重要となってきた。
特に、ソーシャルメディアの台頭による、日常のあらゆる場面におけるリアルタイム情報の共有・拡散の可能性が潜んでおり、企業が好む、好まざるに関わらず、常に潜在的なリスクにさらされていると言える。
創業における課題と解決策の方向性
≪キーワード≫
・お客様との信頼関係構築
・一瞬でブランド失墜(ローソンのアイスケース、牛丼メガ盛り)
・ブログ炎上
創業時は、いかに自分(自社)を認知してもらうかにコストをかけるが、その後のお客様との信頼関係構築が業績の伸びを左右すると言っても過言ではない。
信頼関係構築フローをマーケティングの側面より4つのSTEPで考えると
①認知(どのように知ってもらうか)
②集客(どのようにウェブサイトに来てもらうか)
③販売、クロージング(どのように当社のお客様になってもらうか)
④クチコミ、ブランディング(どのように、話題にしてもらい関心をもってもらうか)
となる。
最近ではソーシャルメディアを上手く活用することで、主に①認知、②集客、④クチコミ・ブランディングを誰もが安価に実現できるようになった。
ただし、便利なソーシャルメディアにも功罪両面があることを肝に銘じなければならない。
例えば、以下のような事象が社会問題となっている
・政治家の不用意な発言によりソーシャルメディアが炎上
・コンビニ店員が冗談半分で店内のアイスケースに入った写真をソーシャルメディアへ投稿したことにより当該コンビニが閉店へと追い込まれる
・某牛丼チェーン店の店員による超メガ盛り丼の写真をソーシャルメディアへ投稿することにより某牛丼チェーン店の品位が問われる
等々。
恐ろしいのは、長年築いてきた信頼やブランドが一瞬にして崩れ去ること・・・
では、コントロールできないソーシャルメディアに内包するリスクをどう低減させ、どう付き合っていけば良いのだろうか?
ソーシャルメディアとの上手な付き合い方
≪キーワード≫
・正直で透明であり続けること
・ルール(行動指針)を決める
・助言、アドバイスをもらう第三者を設ける
・利用しないという選択肢もある
インターネットの本質(のひとつ)は情報の非対称性が限りなくなくなること
社会からバッシングされる要因として、情報隠ぺい・偽装等々の”ウソ”が挙げられる。つまり、情報の非対称性がなくなることで、すべてが比較されることとなる。企業は常に正直で透明(包み隠さない企業風土)であることがリスクを低減させることになる。
ルールを決めて徹底すること
・飲酒したときはソーシャルメディアへの投稿はしない
・他人の悪口は投稿しない
・社会人として常識を確認、共有し、逸脱する投稿発見時の報告義務
アドバイスをもらう第三者を設ける
・第三者として監視
・問題と思われる投稿の報告
・新しいツールの教育の徹底
また、ソーシャルメディアによる貢献度が限定的である場合リスクとのバランスを考え、そもそも利用しないことでリスク回避することも有効と考える。
いずれにせよ、インターネットの普及・浸透及び、ソーシャルメディアの台頭により、ネット上の評価・評判が良くも悪くも大きな力を持つようになった。
創業を成功に導くためには、ソーシャルメディアに内在するリスクをいかに抑えるかを考えつつ、上手く付き合っていくのが賢いやり方ではないかと考える。