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金属のように加工ができるマシナブルセラミックス
愛知県産業技術研究所  記事更新日.07.05.07
瀬戸窯業技術センター
■問合せ先
愛知県産業技術研究所 瀬戸窯業技術センター
TEL0561(21)2116  FAX0561(21)2128   
http://www.aichi-inst.jp/seto/
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1980年代半ばにファインセラミックスブームが起こり、ファインセラミックスが注目を集めるようになって20年ほど経過しました。その1種であるアルミナセラミックスは工業用部品の材料として広く認められ、多くの分野で利用されてきています。アルミナセラミックスが持つ耐熱性(燃えない)、耐摩耗性(硬い)、電気絶縁性(電気を通さない)、耐薬品性(錆びない)などの特徴は金属や木材よりも優れているのでこれらの特徴が活きる部分で使われています。しかし、いろいろな分野で使われるようになるとセラミックスならではの欠点も目立ってきます。特に、加工のしにくさはセラミックス製品の価格が高くなる大きな理由のひとつで、事実上セラミックスの利用分野を制限しています。

一般にセラミックスは原料粉体をさまざまな方法で成形した後、仮焼きを行い、必要に応じて機械加工した後に本焼成します。焼成したままの焼成体では寸法精度が±0.1mm程度ですから、高精度を要求される場合には焼成後に加工が必要となります。ダイヤモンド砥石などで切削、研削、研磨などの加工をしますが、この加工は金属を加工する場合よりも一般に時間も費用も多く掛かります。たとえば、磁器の茶碗に自由に孔を開けることは簡単なことではありません。金属のように一般的な加工機械で切ったり削ったり穴を開けたりすることができれば、セラミックスの利用はもっと増えるでしょう。そこで機械加工が容易なセラミックス、即ちマシナブルセラミックスが開発されています。図1に示すような複雑な形状に後加工ができることはマシナブルセラミックスの大きな特長です。

現在では市場に多くのマシナブルセラミックスが出回っています。製造方法や製品の組織から見ると大きく分けて結晶化ガラスタイプと微結晶焼結タイプに分けることができます。以下に販売中のもの、研究開発途上のものを含めて紹介します。

結晶化ガラスタイプは特殊な組成のガラスを成形した後に、適当な温度で再加熱してガラス母材中に結晶を析出させたものです。結晶はほとんどがフッ素金雲母ですが、希土類アルミノケイ酸塩を析出させたものも報告されています。

微結晶焼結タイプは普通のファインセラミックスと同様に組成がいろいろと選べることから、雲母を主成分としたものが多いのですが、雲母以外にもチタン酸アルミニウム、ワラストナイト、窒化ホウ素などを焼結させたものがあります。

 
マシナブルセラミックスは登場して80年ほどの歴史が有り、この間にさまざまな特性を持つ多くの種類のものが開発され、市場に登場しました。しかし、価格が高いことから何れもアルミナセラミックスほどの大きな支持を獲得できずにいます。逆にマシナブルセラミックスが開拓した、セラミックスでも加工ができるというイメージから産み出された市場を、加工技術の進歩もあってアルミナセラミックスに譲ってきたように思われます。今日では少量で高価ではあるが寸法精度が必要、高価ではあるがすぐに手元に欲しいというニッチな市場がマシナブルセラミックスの市場となっています。今後、マシナブルセラミックスがアルミナセラミックスのように普及して、誰もが普通に材木でも切るようにとはいかないまでも、金属を加工するようにセラミックスを自分で加工する市場が形成されるためには、今よりも低価格化されなければいけません。

また、加工性という優れた特性はありますが、その他の特性が一般的にセラミックスに期待される特性値を満たしていないものも多く、たとえば、酸化物系多孔質セラミックスは比較的安価なマシナブルセラミックスですが、強度が弱いのが欠点です。耐熱性、耐摩耗性、強度、耐薬品性などアルミナセラミックスに近い特性を実現するものは無いようです。

当研究所では従来のマシナブルセラミックスの設計方針とは異なる方向で構造用酸化物セラミックスのマシナブル化に取り組んでいます。アルミナセラミックスなどなじみの深い構造用酸化物セラミックスに、マシナブル化剤となるセラミックスを添加して固相反応で焼結させます。この方法でできた複合セラミックス(たとえばアルミナ−マシナブル化剤系複合セラミックス:マシナブルアルミナ)は構造用酸化物セラミックス粒子(アルミナ)とマシナブル化剤セラミックス粒子の界面で亀裂が進行する組織を持つマシナブルセラミックスになります(図2)。

このマシナブルセラミックスの特徴は、多孔化によってマシナブル性を付与する場合と比べて基本となる構造用酸化物セラミックスの物性をあまり劣化させずにマシナブル化できることです。また、アルミナ、ジルコニアなど特性がよく知られている構造用酸化物セラミックスをマシナブル化できることも利用する上での利点だと考えられます。
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