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金属部品の破損解析
愛知県産業技術研究所  記事更新日.07.07.02
■問合せ先
愛知県産業技術研究所 
TEL0566(24)1841  FAX0566(22)8033   
http://www.aichi-inst.jp/
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■はじめに
鉄鋼材料は、乗用車を始め、様々な機械や設備の中の構成部品などに多く用いられています。多種多様な金属の中でも鉄鋼材料が構造材料として最も信頼性のある材料と考えられているからです。しかし、製造過程や使用・管理上のミスで使用中に割れ・破損等の不具合が発生することがあります。このような場合、破損の原因を調べて壊れなくするための有効な対策を立てなければなりません。形あるものは必ず壊れるといわれますが、問題はその壊れ方です。どうして壊れたか、その原因 究明のてがかりは破断面に残されています。そこで破断面をよく観察して、その特徴を捉えると破損の原因を明らかにすることができます。
 ここでは破断面の特徴から破断原因が推定できたいくつかの例をご紹介しましょう。

■ 延性破面
材料に力を加え、その力を徐々に上げ、力がある限界(材料の強度)を超えると、破壊が起こると同時に一部塑性変形します。このため、破断面には微細な変形の痕が観察されます。電子顕微鏡などで拡大して観察するとゴルフボールの表面につけられた凹凸に似た形状をしています。この痕のことをディンプルと言います。破断面には無数のディンプルが細かく分布しています。写真1にこの破面を示します。この場合、力がかかった方向にこのディンプルが変形し、まっすぐ引っ張られて破断したことが分ります。ディンプルの大きさは色々ですが、元の金属の結晶粒の大きさとはあまり関係ありません。ディンプルの中心部に炭化物などの介在物を見かけることがあります。

 

■ 脆性破面
材料がほとんど伸びずに割れることを脆性破壊といいます。脆性破壊は、材料が何らかの影響でもろくなってしまった結果割れたものです。通常の金属は、無数の小さな結晶が多数集まって成り立っています。脆性破壊は、この結晶が関係した破壊で、粒内破壊と粒界破壊とがあります。粒内破壊は、結晶粒の内部を亀裂が進行して破壊しますが、各結晶粒の内部では結晶面に沿ってはく離するような形をしています。このため、へき開破壊とも呼ばれています。その一例を写真2に示します。  

一方、粒界破壊は、隣り合う結晶の境界が劣化して割れが生じるもので、その事例として、鋼の酸洗いやめっき時に水素ガスを内部に大量に吸収したことによる水素脆性がよく知られています。破壊が結晶の粒界に沿って進行するので、ちょうど河原の石ころのように、ごつごつとした結晶粒が破面全体に広がっているように見えます。このため、ロックキャンディとも呼ばれます。その一例を写真3に示します。  
■ 疲労破面
小さな力でも繰り返し加えられると破壊が少しずつ進行し、ついには大きな破壊に至ることがあります。これを疲労破壊といいます。つい最近も疲労破壊によるジェットコースターの事故が報道されました。この破面にはストライエーションと呼ばれる平行に並んだ縞模様が現われ、破壊が縞模様に沿って少しずつ進行したことを示しています。疲労破壊は、力が繰り返しかかる部分で発生しますが、その力が材料の強度に比べて十分小さければ疲労破壊は防ぐことができます。割れが発生して、疲労破壊に至るまでにかなりの時間を要することが多いので、ハンマでたたくなどの打音による定期検査で疲労破壊による事故を防ぐことができます。写真4に疲労破壊による破断面を示します。これは、疲労試験機により人工的に起こした破断ですので、きれいに並んだストライエーションを観察することができます。  

■ 破面解析のその他の方法
破損原因の解析では、これまで述べたように電子顕微鏡などを用いて破断面を観察しますが、光学顕微鏡や実体顕微鏡、あるいは硬さ測定などが解析に役立つこともあります。 愛知県産業技術研究所では、これらの試験を通して、不良品対策、事故品対策の支援をしています。  
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