はじめに 歯車の歴史は古く、紀元前のローマ時代には水車の動力伝達手段として使われていました。また、同じ頃ギリシャ人はこれを計算に用いることを考え付き、「アンティキテラの歯車」と呼ばれる、天体の動きを模倣する天球儀を作り出しました。
その後、旋盤が16世紀頃に発明されたのを契機に歯車の製造能率と精度が飛躍的に高まり、さまざまな駆動機構に使用されるようになりました。
2007年の国内における歯車の生産量は統計に出てくるだけでも1億5000万個、金額にして1150億円にもなります(粉末冶金および自己消費分を除く。経済産業省:機械統計年報)。
最近の歯車への要求
歯車は多少形状が不正確であっても確実に定まった回転比で運動を伝えることができるという特徴があります。しかし、効率、運動精度、強度、騒音などの厳しい要求に応えるためには高度な形状精度が必要であり、さらに最近では小型軽量化、製造時の低環境負荷なども強く求められています。そして、それらの要求に低コストで応えるため、ピーニングによる表層部の改質技術や高強度材料の開発、ドライカットや鍛造による加工などさまざまな研究開発が現在でも活発に行われています。
一方、歯車の高精度化には歯形研削などの仕上げ加工が必要になります。そのコストを抑えるためには、例えば熱処理前後で生じる歯の大きさ(モジュール)やねじれ(ねじれ角)などの変化量を前もって予測・補正し、仕上げ加工量を極力少なくすることが
考えられます。
|