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環境調和型加工技術による織物の高付加価値化加工
愛知県産業技術研究所 記事更新日.09.11.02
尾張繊維技術センター

【問い合わせ先】
〒491-0931 愛知県一宮市大和町馬引字宮浦35
  TEL 0586-45-7871 FAX 0586-45-0509
  http://www.owaritex.jp/
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1.モノづくりに期待される環境負荷低減の対策
地球温暖化が進んでいるとされる今、温室効果ガス(二酸化炭素など)の排出量を削減することが課題となっています。このため、二酸化炭素を多量に排出する石油などの化石燃料に依存した社会から、低炭素社会へ変わることが必要であり、国では「低炭素社会づくり行動計画」を平成20年7月に策定しました。
低炭素社会の実現のためには、温室効果ガスの削減に効果がある革新的な技術の開発が重要です。さらに、国全体を低炭素社会へ動かす仕組みとして考えられているのは、カーボン・フットプリント制度の普及です。
商品の製造から輸送、廃棄に至る過程に伴って排出される二酸化炭素の量を表示するこの制度は、環境への負荷を低減させる対策をモノづくり工程において促進することになります。このため、製造現場では環境技術への取り組みが早急に必要となっています。

2.毛織物業界におけるモノづくりの現状
愛知県一宮市を中心とする地域は、日本の毛織物産業の中心として栄えてきましたが、中国を始めとする東南アジア地域からの低価格製品の輸入、消費者ニーズの多様化等の影響を受けて、産地規模が縮小して、織物の生産量は低下しています。このため、産地の繊維業界は、輸入製品との差別化を図るため、生き残りをかけて付加価値の高い特殊加工への取り組みやブランド力の向上等に努力しています。しかし、毛織物などの織物に、高い感性や機能性を付与する染色整理工程は、水を使用した湿式プロセスであり、各種の化学薬品(酸、アルカリ、樹脂、機能性材料である化学物質等)を大量に使用し、高温処理及び乾燥のために多量の重油や電気エネルギーなどを必要とするエネルギー大量消費型の方法です。

3.湿式プロセスから乾式プロセスへの取り組み
エネルギー大量消費型の湿式プロセスを乾式のプロセスに変えることができれば、水を使用しないため排水もなくなり、乾燥のための熱エネルギーも不要となり、設備や工程を簡略化できます。このため、染色整理工程の環境負荷低減の対策として、乾式プロセスへの取り組みが、従来から様々な方法で研究されています。その一つに「プラズマ」による加工方法があります。プラズマ処理は、有機材料の基本的な性質を変えることなく、表面を改質(親水性の付与、接着性の向上、洗浄など)します。しかし、従来の低温プラズマによる加工方法は、真空状態で織物を処理するために、大掛かりな真空容器が必要となるバッチ処理です。また、この方法で天然繊維を加工する場合は、繊維が持つ本来の水分含有量を低下させるなど、風合いを損なう恐れがあります。
そこで近年盛んに研究されている加工方法のひとつとして「大気圧プラズマジェット」によるものがあげられます。放電電極をノズル内部に設置し、ガスを流してプラズマのみをノズルから噴出させる方法で、空気・窒素等の安価なガスを用いた小型装置で行うことができます。材料の大きさに制限がないうえ、連続処理が可能であり現状の生産工程のスピードと遜色のない速さで処理することができます。電流が流れていないため温度が上がらず材料への熱負荷が少ないことから、既にプラスチック、ガラス、金属などのクリーニング、表面処理に応用されています。

4.大気圧プラズマジェットの織物への応用
尾張繊維技術センターでは、エネルギー大量消費型である織物への樹脂加工技術(機能性物質を樹脂で織物に何度も付与するような、水、薬品、エネルギーを大量消費する加工方法)を、大気圧プラズマジェットを用いた乾燥不要のドライプロセスの環境調和型加工技術にする研究開発事業を産学官連携事業で進めています。
環境調和型加工技術が確立されれば、現状の加工方法に比べてコストを大幅に削減できます。(従来技術の1/10になるという試算もあります。) さらに、天然繊維の風合いを悪化させることなく、高級感のある商品や感性の高い、付加価値のある商品を環境調和型の加工技術で提供できるため、特に環境への関心が高いロハス(LOHAS;Lifestyles of Health and Sustainability、「健康的に持続可能な社会生活を心がける暮らし方」)志向の消費者向けに、環境負荷を抑えた繊維製品としてアピールすることもできます。

ハイパーリンク先

1)低炭素社会づくり行動計画

2)カーボン・フットプリント

3)プラズマ

4)ロハス


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