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海外の輸送包装試験規格
愛知県産業技術研究所  記事更新日.10.07.01
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刈谷市恩田町一丁目157番知1
TEL 0566-24-1841戟@FAX 0566-22-8033
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近年、企業の生産拠点の海外シフトなどにより輸送のグローバル化が進んでいます。製品の安全な輸送を実現するためには、本輸送を行う前に包装の信頼性を調べる輸送包装試験を実施することが重要です。国内輸送では勿論、JIS(日本工業規格)の包装カテゴリに基づいた各種試験を行いますが、海外輸送に関しては各国の試験規格に沿った評価が必要な時もあります。その場合、担当者は仕向地ごとの試験規格を調べなければなりませんが、海外規格の日本語の情報が少ないこともあり、実施すべき試験の状況把握が難しいことがあります。ただし、どの規格にも輸送中のハザード(荷役 での落下、トラックの振動、温湿度環境等)を再現するために落下試験や振動試験等を組み合わせた試験計画である「評価試験法通則」が記載されています。ここでは日本の主要マーケットの欧州、米国、中国の輸送試験の通則について紹介します。

1.ISO(国際標準)
 ISOは国際標準規格として最も馴染みがあるのではないでしょうか。この評価試験法通則はISO4180に記載されています。条件の中で輸送の厳しさは3段階になっており、厳しい順に、@輸送距離2,500km以上(悪路や荷扱い環境が悪い輸送も含む)A国内外長距離輸送、通常の輸送環境 B輸送距離200km以下で特定のハザード無し、となっています。そして試験手順ですが、30kg以下の一般的な貨物の場合、「前処置→落下(1回目)→圧縮(1回目)→振動(1回目)→振動(2回目)→圧縮(2回目)→落下(2回目)」となっています。各試験の実施項目を見てみると、落下試験は1個の貨物について落下箇所が「4角4稜3面」となっており、底面周りのすべての角・稜の落下が要求されています。振動試験では1回目は正弦波もしくはランダム波が選択できるようになっていますが、2回目では貨物を試験機テーブルに固定せず自由に跳ね上がるようなランダム振動試験が規定されています。また、圧縮試験ではどちらも積み重ねた最下段にかかる荷重の2倍もしくは3倍の負荷をかけるようになっています。



2.EN(欧州)
欧州規格であるENは欧州の主要国による欧州標準化委員会によって承認・制定されています。また、ISOとの関係は密接で規格の共通化が進んでいます。ただ、2008年にEN独自の評価試験法通則がEN15552に制定されました。これは欧州内の輸送環境に対して適正包装ができることを目的とした試験方法が示されていますが、「どの条件で試験を行えば、どの程度の輸送の厳しさに相当する」といった輸送環境の保証レベルについては特に規定はありません。具体的な試験内容についてですが、小口の24時間以内配送のエクスプレス貨物の場合で、「前処置→振動→落下(1回目)→落下(2回目)」となっています。落下試験の条件は厳しく、1個の貨物について1回目は1.5mから6面すべて落下させる必要があり、2回目には「50−(貨物重量のkg値)cm」(最低30cm)からすべての角落下(8箇所)が要求されています。また、振動試験については低周波正弦波固定もしくはランダム波を選択するようになっていますが、具体的な振動条件の設定はユーザーに委ねられています。

3.ASTM(米国)
ASTMは100年を超える歴史を持つ米国標準化機関です。包装関係の技術委員会は全体でおよそ130ある専門委員会の中でも歴史が古く、1914年にスタートしています。評価試験法通則はASTM D 4169に規定されていますが、これは長期間にわたり参照されてきており、最もユーザーの多い輸送包装規格の一つです。輸送中のハザード要因別(荷扱い、積み重ね、振動、気候など)に10種類の対応試験が規定されており、ユーザーの実環境に応じて試験を組み合わせて構成するようになっています。また、保証レベルについてはISOのように具体的でなく、各自で通常想定される輸送レベルを標準とし、それより厳しい/厳しくない、の判断で3段階に分かれています。試験手順は基本的にはユーザーが実環境に合わせて構築しますが、規格にある構成例では一般的なサイクルとして、「前処置→落下または衝突または水平衝撃(荷役)→積み重ね振動→跳ね上がり振動→水平衝撃(貨車連結)→集中インパクト(外装容器ダメージ)→落下または衝突または水平衝撃(荷役)」のような手順が示されています。

4.GB(中国)
中国の国家規格であるGB規格は「国家標準」の読みである“Guojia Biaozhun”の頭文字からきています。GB規格には強制・任意の2通りがあり、人身や安全衛生に関わるものは強制規格になっていますが、包装試験に関するものは任意規格となります。 GB規格は全体的にISOやASTMなどの実績のある規格に整合・改修引用しているものが多く、約4割以上がそのような規格になっています。輸送試験規格も同様に全18規格のうちISOに14規格、ASTMに3規格が整合されています。このことから評価試験法通則に関しても、結果的にJIS Z 200(包装貨物−評価試験方法通則)の試験計画作成についての解説が載っている附属書1および2の内容とほぼ同じと言えます。


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