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エコフィードへの発酵技術の利用
愛知県産業技術研究所 記事更新日.11.09.01
食品工業技術センター
■問合せ先
食品工業技術センター
〒451-0083 愛知県名古屋市西区新福寺町2丁目1番の1
TEL 052-521-9316  FAX 052-532-5791
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■エコフィードとは
現在、我が国における食品廃棄物の発生量は年間約一千万トンを超えていますが、再生利用率は約60%に留まっています(表)。食品廃棄物は、製造、流通、消費の各段階で発生し、主な再生利用の用途は肥料や飼料です。農水省により2006年に策定された「食料・農業・農村基本計画」において、平成27年度に食糧自給率45%達成の目標が挙げられており、飼料自給率の向上も重要な課題となっています。食品廃棄物の飼料化への再生利用量を高めることが、飼料自給率の向上につながると考えられることから、全国で食品廃棄物の飼料化への取組みが行われています。
「エコフィード(ecofeed)」とは、「環境にやさしい(ecological)」や「節約する(economical)」等を意味する「エコ(eco)」と飼料を意味する「フィード(feed)」からなる造語で、食品廃棄物を原料にして飼料用に加工したものを指します。平成21年より社団法人日本科学飼料協会等により、これらの飼料のうち、食品残さの配合割合が一定以上であることや、安全性、成分等一定の基準を満たしたものを「エコフィード」として認証し、平成23年より、認証された飼料を給与した家畜由来の畜産物や加工食品についても一定の基準を満たしたものを「エコフィード利用畜産物」として認証する制度が始まっています。

表 食品廃棄物等の年間発生量および再生利用等の仕向け量

区分 食品廃棄物等の
年間発生量
再生利用率

再生利用の用途別仕向け割合(%) 2)

実数
(千トン)
発生割合
(%)
実数
(千トン)
再生利用率
(%)1)
肥料化 飼料化 メタン化 油脂および
油脂食品
その他 不明
食品製造業 4,928 43 4,248 86 36 45 5 3 7 4
食品卸売業 736 7 518 70 58 19 0 6 12 5
食品小売業 2,630 23 1,078 41 50 20 0 5 2 23
外食産業 3,048 27 952 31 14 16 0 20 5 45
食品産業計 11,343 100 6,796 60 37 35 3 6 6 13
1)食品廃棄物の年間発生量に対する割合
2)再生利用への仕向量に対する割合
農林水産省大臣官房統計部「平成21年食品循環資源の再生利用等実態調査の概要(19年度実績)」より

■技術的課題と取り組み
食品廃棄物のうち、食品製造副産物の発生量は約500万トンを占めています。食品製造副産物は、オカラ、醤油粕、酒粕、ビール粕、茶殻、野菜・果物の搾り粕、コーヒー粕など多岐に渡ります。食品製造副産物は食品廃棄物の中でも分別が比較的容易で、成分が比較的一定であることから、食品廃棄物の中では有効利用しやすい素材であると言えます。利用における課題としては、保存性が悪いことと、処理コストがかかることがあります。
多くの食品製造副産物は栄養源が豊富で多水分(例えばオカラでは75〜80%)であることから、細菌類の増殖に適し、短時間で腐敗する恐れがあります。特に、気温の高い夏季や、食品工場と飼料としての使用場所が地理的に離れている場合には、腐敗しやすくなります。
保存性向上のための方法の一つとして、熱風乾燥処理があり、乾燥物として飼料等へ配合されています。例えばオカラの熱風乾燥処理では、乾燥機の導入コストの他、1kgあたり10円程度のランニングコストが発生します。そこで、より低コスト・低エネルギーで行える保存性向上方法の開発と普及が望まれています。

■乳酸菌の利用
飼料分野での伝統的な技術の一つにサイレージ発酵があります。サイレージとは自然の乳酸菌の働きを利用した保存飼料のことで、サイレージ発酵に関与する主要な乳酸菌にはLactobacillus plantarumなどが知られています。現在では、スターター乳酸菌を添加したサイレージ発酵が行われており、乳酸菌スターター製剤が販売されています。食品製造副産物は牧草や飼料作物に比べてより腐敗しやすい条件下にありますが、乳酸菌を活用することにより保存性が向上することが期待されます。コスト面では乳酸菌製剤のみで特別な設備の導入が不要である点で、熱風乾燥処理等に比べて優位性があります。
ある種の乳酸菌は、家畜の腸管微生物菌叢を改善するプロバイオティクス効果を持っているため、乳酸菌と食品製造副産物に残存するオリゴ糖などの成分(プレバイオティクス)とが、相乗効果によって整腸作用など家畜の健康維持に寄与することが期待できます。乳酸菌による保存性向上とプロバイオティクス効果から、近年、リキッドフィーディング(養豚用の液状飼料)への乳酸菌の利用について、食品製造業者や畜産農家などにより取り組まれています。
食品工業技術センターでは乳酸菌によるバイオプリザベーション技術を活用し、様々な食品の保存性向上に取り組んできました。現在、これらの知見を活かし、食品製造副産物の保存性向上と有効利用に取り組んでいます。

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