(1)放射能(放射性同位元素)の量
よく使われる放射能という言葉は、文字通り放射線を出す「能力」のことで、つまりは放射性同位元素の量を示します。放射能(放射性同位元素)を計る単位には、ベクレル(Bq)が使われます。これは1秒間に壊変する放射性同位元素の数です。例えば100万ベクレルであれば、1秒間に100万個の原子が壊変し放射線を出しています。単位の「ベクレル」は放射能を発見したフランスの物理学者の名前から付けられています。
(2)グレイ、シーベルト―放射線の量
放射線には、ものを透過するという性質がありますが、透過して通り抜けるだけでは何も起こりません。吸収されたエネルギーが、放射線の作用の基となります。そのエネルギーの総量が吸収線量で、対象物1キログラムあたりに1 ジュールのエネルギーが吸収される放射線の量を1グレイ(Gy)と定義されます。
吸収線量が同じでも、放射線の種類などにより人体への影響が違います。グレイで表した吸収線量を補正して、人体への影響の度合いを示す放射線の量としたのが、シーベルト(Sv)です。ベータ線、ガンマ線やX線ではグレイからシーベルトへの補正係数は1倍で、グレイとシーベルトの値は等しくなりますが、例えばアルファ線では20倍、中性子線ではそのエネルギーにより5〜20倍となります。人間は自然に存在する放射線から1年間に受ける放射線の量が約2ミリシーベルト、胸部レントゲン撮影1回の線量が約50マイクロシーベルト程度です。
ある場所での放射線の強さは、時間あたりの線量(線量率)で表すことができます。よく使われるのが毎時シーベルト(Sv/h)や毎時グレイ(Gy/h)です。線量率はあくまでその時点での放射線の強さなので、最終的な放射線の影響については、ある時間経過して積算された値である線量が重要となります。
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