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セラミックスによる液状醸造食品の滓発生防止
食品工業技術センター 記事更新日.14.11
あいち産業科学技術総合センター 
■問合せ先
〒451-0083 名古屋市西区新福町二丁目1番地の1
TEL 052.521.9316 FAX 052-532-5791
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■ はじめに

清酒、みりん、醤油や調理酒などの日本の伝統的な液状醸造食品の製品不良の一つに、出荷後の滓(オリ)や濁りの発生があります。これを防ぐため、現行の製造工程では、もろみ (原料由来固形物を含む発酵液)を圧搾後、「火入れ (加熱処理)」と「滓下げ (静置)」の工程で滓の原因となるタンパク質を変性・凝集させた後、ろ過により除去しています。しかし、火入れ工程は熱エネルギーを多大に消費し、滓下げ工程には数日〜数週間の時間を要します。また、これらの工程を経ても、保存や流通中に残存タンパク質が徐々に凝集して滓 (二次滓)になることもあるため、複数回の火入れを行う場合もあります。しかし、複数回の火入れや過度の加熱は製品本来の風味や色調を損なうため、低コスト、製品品質を損なわない、効果的な滓生成防止法が強く望まれています。
これまで当センターでは、液状醸造食品の滓原因物質の除去法の開発に取り組んできました1, 2)。ここでは、清酒に対する事例を紹介します。
 

■ 清酒
図1と図2に清酒の火入れ・滓下げ工程の例と各工程におけるタンパク質の電気泳動 (SDS-PAGE)の結果を示します。原酒には、米、麹菌や酵母に由来するタンパク質が残存しています。残存するタンパク質は滓や濁りを引き起こし、クレームの元となります。また、グルコアミラーゼなどの酵素活性が残っていると、製品の着色を促進し、「甘だれ」や「生老香 (なまひねか)」と呼ばれる風香味の変質を引き起こします。一般清酒の場合、火入れにより酵素は熱失活しますが、大部分のタンパク質が清酒中に残存しています。火入れ後、滓下げ・ろ過工程を経ることにより清酒中のタンパク質はほぼ除去されます。しかし、タンパク質の除去が不十分であると残存タンパク質が徐々に凝集して滓 (二次滓)になることがあります。一方、搾りたての新鮮さと爽やかな味わいが特徴である生酒には火入れ工程がないため、滓下げのみではタンパク質の除去が十分でなく、グルコアミラーゼなどの酵素が残存しています。したがって、残存酵素による品質劣化を遅らせるためには製造工程中だけでなく出荷後も冷蔵保管が必要であり、生酒の賞味期限は1〜6ヶ月と短く設定されています。
このような潜在的な品質劣化要因であるタンパク質を除去するために、リン酸カルシウム (CAP)を使うことを考えました。CAPは骨や歯の主要構成成分であり、カルシウムとリン酸もしくはピロリン酸からなる化合物 (モネタイト、ブルシャイトやハイドロキシアパタイトなど)の総称です。CAPはユニークなタンパク質吸着特性を持つことから、古くから生化学の分野ではタンパク質精製用に用いられてきました。陶器や肥料の原料、食品添加物、人工骨などの生体材料としても広く活用されています。当センターでは、出発原料や製法の異なる様々なCAPを合成し、清酒との接触試験を行いました。結果の一例を図3に示します。CAP4、11、12、13は、広い分子量範囲のタンパク質を非加熱で効果的に吸着除去することができました。清酒の保存試験を行った結果、CAP処理をした清酒は生酒よりも高い保存性があり、滓、火入れ・滓下げ・ろ過を行う一般清酒と同等の保存性があると考えられました。生酒でありながら常温流通が可能な新しいタイプの清酒製造を目指して、現在も引き続き実用化に向けた研究を進めています。





■ おわりに

液状食品中のタンパク質を除去する方法として、プロテアーゼ製剤を使う方法や限外ろ過膜を使う方法がありますが、セラミックスによる吸着法は、吸着剤を液状食品に添加後分離するだけなので、大掛かりな設備投資を必要とせず、中小企業でも容易に導入が可能と考えられます。液状醸造食品と一口に言っても、原料や製法が様々であり、成分も大きく異なります。これまでの研究の結果、万能なセラミックスはなく、対象製品に応じてセラミックスを適切に選択する必要のあることがわかってきました。今後も、滓の発生リスクを抑えた高品質な製品づくりに寄与すべく、研究を進めていきたいと考えています。

文献
1) 近藤ら:清酒中の品質劣化に関わるタンパク質のリン酸カルシウムによる除去, New Food Industry, 54, 7-14 (2012)

2) 近藤ら:アルコール系発酵調味料の滓原因タンパク質のセラミックスによる除去, 醸協, 108, 707-715 (2013)


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