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ニッケルめっきと多孔質ニッケルめっき
産業技術センター 記事更新日.15.03
あいち産業科学技術総合センター 
■問合せ先
〒448-0013 刈谷市恩田町一丁目157-1
TEL 0566-24-1841 FAX 0566-22-8033
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■ はじめに

めっきは、髪の毛の太さと同じである100 μm(1 μm=100万分の1 m)程度か、それ以下の金属薄膜を材料の表面に形成させる技術で、耐食性や耐摩耗性などの機能性や、金属光沢による意匠性を付与することができます。例えば、灰色をしたガードレールや交通標識の支柱は、鉄に亜鉛めっきを施したもので、素地の鉄が錆びるのを防いでいます。電子機器の端子には、下地めっきとしてのニッケルめっき、最表面には金めっきなどが用いられています。また、自動車のエンブレムなどの外装部品の場合は、軽量の樹脂に対して、装飾めっきを施すことで、軽量でありながら金属光沢をもつ優美な外観を保つことが可能となります。
また、めっきの利用により自動車の軽量化が達成できれば燃費の改善に繋がるなど、環境面でもその効果が期待できる身近で有用な技術です。今回は、一般的なニッケルめっきについて簡単に述べた後、特徴のある表面を持った多孔質ニッケルめっきについて紹介します。
 

■ ニッケルめっき
(1)特徴
ニッケルめっきは、鉄や銅の表面に施されます。耐食性を目的として鉄にニッケルめっきを施した場合、ニッケルめっきに素地まで達する傷があると、その傷を起点として素地の鉄が錆びてしまいます。ニッケル自身が錆びにくい性質を持っているので、素地が完全にニッケルに覆われているときに高い耐食性を示します。一方、亜鉛めっきは、素地に達する傷があっても、亜鉛めっき自身が代わりに錆びるため、素地の鉄は錆びません(犠牲防食作用)。
また、ニッケルめっきは、下地めっきとしても利用されています。例えば、電子機器の端子では、銅の表面にニッケルめっきをした後、金めっきなどが行われます。このようにすることで、最表面の金めっきは、下地のニッケルめっきがない場合と比較して、剥がれにくくなります。

(2)用途
ニッケルめっきは、電子機器の端子には必要不可欠な表面処理となっています。また、耐食性が良く優れた金属光沢を有しているため、アクセサリーの表面処理として使用されていましたが、ニッケルアレルギーの理由から、最近では人体に長時間触れるような部品には、ほとんど用いられていません。


■ 多孔質ニッケルめっき

(1)特徴
図1に多孔質ニッケルめっきの光学顕微鏡写真を示します。微小な凹凸の形成による虹色の干渉色が観察できます。
図2に多孔質ニッケルめっきと一般的なニッケルめっきの電子顕微鏡写真を示します。多孔質ニッケルめっきの表面(図2 (a))には、直径2 μm以下の微小な孔が多数形成されていることがわかります。
一方、一般的なニッケルめっきの表面(図2 (b))には、多孔質ニッケルめっきのような孔はなく、比較的、平滑であることがわかります。両者を比較すると、多孔質ニッケルめっきの表面が、極めて特徴的であることがよくわかります。

(2)作製方法
一般に、金属の多孔質体を作製する場合、特殊な設備が必要であり、孔の大きさや密度が不均一となります。しかし、本稿で紹介する湿式めっきによる方法は、簡単に多孔質体を作製することができます。以下に、その作製方法を説明します。
ニッケルめっきの最も代表的なめっき浴として、ワット浴があります。このワット浴に対して、多孔質にするための添加剤を数mL/L加えると、通常の方法でも、このような表面を得ることができます。この湿式めっき法による特徴は、次のとおりです。
・ 適切な前処理をすることで、鉄、銅、アルミニウムやステンレス鋼の表面にも適用できます
・ めっき時の撹拌条件により、孔の密度を変えることができます
・ めっき時の電流密度条件により、孔の直径を変えることができます

(3)用途
めっき表面に多数の微小な孔が存在しているため、塗装した場合には塗料の密着強度の向上が期待できます。この他、潤滑油の保持性に優れると考えられるため、摺動部品の表面処理などへの応用が考えられます。 以上

リンク
・犠牲防食作用:亜鉛めっきの表面に、傷が生じたり、腐食により亜鉛めっきの一部が消失したりしても、それらの周辺にある亜鉛が素地金属よりも優先的に腐食するため、素地金属の腐食が抑制されます。

・ワット浴:最も基本的なニッケルめっき浴として、広く利用されています。主成分は、硫酸ニッケル、塩化ニッケルとほう酸です。このめっき浴中に、2つの金属板を浸漬させ、直流電圧を印加すると、負極側にある金属板の表面に、ニッケルめっきを形成することができます。


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