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耐熱性「ポリイミド繊維」の開発
三河繊維技術センター 記事更新日.15.07
あいち産業科学技術総合センター 
■問合せ先
〒443-0013 蒲郡市大塚町伊賀久保109
TEL 0533(59)7146   FAX 0533(59)7176
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1. はじめに
近年、経済のグローバル化の下、ポリエステルやナイロン等の衣料品を始めとする安価で大量に生産される汎用繊維は、世界の約60%以上が中国を中心にASEAN・インド・台湾等の東アジア地域で生産されています。日本での繊維の生産は、汎用繊維から炭素繊維やスーパー繊維と言われる高性能・機能性繊維の生産にシフトしています。
耐熱性等を特徴とする「ポリイミド繊維」は、この高性能繊維の一種で、焼却炉の耐熱性フィルター部材等に用いられています。しかしながら、現在、量産されているポリイミド繊維はオーストリアでのみ生産され、国内での「ポリイミド繊維」の開発・生産が求められています。今回、三河繊維技術センターでは、企業と共同でポリイミド繊維の研究開発を行いました。

2.繊維の紡糸法
合成繊維は、ポリエステル等の高分子材料(ポリマー)を溶かして細いノズルから押出すことで繊維化(紡糸)します。この紡糸法は、図1の三種類に大別されます。

図1 代表的な紡糸法(イメージ図)

  1. 溶融紡糸は、加熱すると溶融するポリエステル・ナイロン・ポリプロピレン等の合成繊維に用います。加熱して溶融したポリマーを、ノズルから吐出しながら水や空気で冷却して繊維化します。最も低コストで大量生産が可能なことから、合成繊維の多くは溶融紡糸で作っています。
  2. 乾式紡糸は、アセテート・ポリウレタン・アクリル等加熱しても融けないポリマー、並びに蛋白質等熱で変化・分解してしまう原料に用います。ポリマーを揮発性の高い液体(溶媒)に溶かした原料(可溶化ポリマー)を、ノズルから吐出しながら加熱空気により溶媒を蒸発(気化)してポリマーを繊維化します。太い繊維や揮発性の低い溶媒では気化が不十分なため適用できません。
  3. 湿式紡糸は、乾式紡糸と同様に溶融紡糸できないレーヨン・ビニロン・アクリル等の繊維に用います。可溶化ポリマーをノズルから凝固液という溶液中に吐出して、凝固液中で溶媒を溶かしながらポリマーを化学変化させて繊維化します。凝固液の処理が必要で生産性が低い等の課題も有ります。湿式紡糸法は、相分離、ゲル紡糸、液晶紡糸等に細区分され、防弾チョッキ等に用いられる芳香族アラミド繊維の紡糸にも適用されています。

図2 当センター湿式紡糸機の概要

3. 耐熱性ポリイミド繊維の開発(合成と紡糸)
ポリイミド繊維は、高い耐熱性を有する反面、加熱しても溶けず加工性が極めて悪いため、溶融紡糸や通常の湿式紡糸ができません。このため、従来の紡糸法は、ポリイミド液を直接紡糸するのではなく、ポリイミドになる前の「ポリアミド酸」というポリマーを紡糸した後に、化学的に分子構造を変えてポリイミド繊維にする等、非常に苦労して紡糸していました。
今回、ポリマーを構成する原料(モノマー)の組合せと合成方法を工夫することで、ポリイミド分子の構造と性質を変えました。4種類のモノマーを2段階で合成することで、湿式紡糸に適した特性を持ち、長期に保存できるポリイミド溶液ができました。
そして、このポリイミド溶液から直接紡糸できる様に、凝固液等の紡糸条件を工夫することで、新規の「ポリイミド繊維」を開発しました(図3)。
この繊維は、市販のポリイミド繊維と同等の耐熱性があり、機械的物性(引張強度・弾性率)は市販品よりも高い値を示しました。

図3 繊維断面拡大図(左)、ボビン巻繊維(中)、試作フェルト(右)

4.おわりに
当センターでは、この繊維を利用したフィルター等の耐熱製品への応用を期待しています。また、繊維の太さが髪の毛の1/1000程のナノファイバー(超極細繊維)の紡糸も進めています。ご興味ある方は、当センターまでお問い合わせ下さい。
※本開発は、国立研究開発法人科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラムA-STEPフィージビリティスタディ探索タイプとして実施しました。

主な参考文献
1) 日本化学繊維協会Webサイト:統計資料,日本の化学繊維工業,主要国の主要化学繊維生産他(http://www.jcfa.gr.jp/data/japan/2_4.html
2) 繊維機械学会繊維工学刊行委員会編:繊維工学(U)繊維の製造・構造及び物性,(1983),繊維機械学会
3) 繊維学会編:最新の紡糸技術,(1992),高分子刊行会

4)     東洋紡(株)P84のWebサイト:http://www.toyobo.co.jp/seihin/fb/procon/p84.htm


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