1. はじめに
近年、経済のグローバル化の下、ポリエステルやナイロン等の衣料品を始めとする安価で大量に生産される汎用繊維は、世界の約60%以上が中国を中心にASEAN・インド・台湾等の東アジア地域で生産されています。日本での繊維の生産は、汎用繊維から炭素繊維やスーパー繊維と言われる高性能・機能性繊維の生産にシフトしています。
耐熱性等を特徴とする「ポリイミド繊維」は、この高性能繊維の一種で、焼却炉の耐熱性フィルター部材等に用いられています。しかしながら、現在、量産されているポリイミド繊維はオーストリアでのみ生産され、国内での「ポリイミド繊維」の開発・生産が求められています。今回、三河繊維技術センターでは、企業と共同でポリイミド繊維の研究開発を行いました。
2.繊維の紡糸法
合成繊維は、ポリエステル等の高分子材料(ポリマー)を溶かして細いノズルから押出すことで繊維化(紡糸)します。この紡糸法は、図1の三種類に大別されます。
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