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エネルギー分散型X線分析マッピングによる食品の分析
食品工業技術センター 記事更新日.15.11
あいち産業科学技術総合センター 
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〒451-0083 名古屋市西区新福寺町二丁目1番地の1
TEL 052-325-8094  FAX 052-532-5791
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1. はじめに
電子のビーム(電子線)を光の代わりに試料に照射して観察をする電子顕微鏡には透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)と走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)の2つのタイプがあります。TEMは、試料を透過してきた電子線像を拡大することで、試料の断面すなわち内部の組織構造を観察する装置です。一方、SEMは、試料表面を電子線で走査したときに発生する反射電子や二次電子を検出することで、試料表面の凹凸を観察する装置です。

SEMにより試料を電子線で走査すると、上述の反射電子や二次電子のほかにX線が発生します。発生するX線のパターンは試料に含まれている元素組成を反映していることから、SEMにエネルギー分散型X線検出器(EDS:Energy Dispersive Spectroscopy)を装着することで試料表面の元素分析が可能となります。SEMによる表面の形状観察とEDSによる元素分析を組み合わせることにより、試料表面における元素分布(面分析:マッピング)の測定を同時に行うことができます。本記事では、SEM-EDS(図1)を用いたマッピング測定について紹介します。

図1 代表的な紡糸法(イメージ図)

2. EDSマッピングの測定原理   
2に、 SEMによる形状観察及び EDSを用いた元素分析・ EDSマッピングに関する測定原理を模式図で示しました。

加速された電子線@が試料を走査したときに試料表面で反射または発生する 電子線を電子線検出器Aで検出することができます。このとき同時に発生するX 線 をEDS Cで検出することで元素分析Dを、検出された X線をEDS C内の解析システムを用いて解析することで EDSマッピング像Eを得ることができます。さらには、Bの画像とEの画像を重ね合わせることで、試料の形状と元素分布を比較検討することも可能です。

図2 当センター湿式紡糸機の概要

3. EDSマッピングによる分析事例 
にがりを含んだ天然塩を焼成すると、塩粒同士が湿度や圧力で「固結」する現象が起こりにくくなることがわかっています。当センターで実施した「焼き塩製造時に発生する副生物の解析及びその固結防止効果の評価と作用機構の解明」の研究1)において、本分析方法の適用によって成果が得られた事例を紹介します。

にがりにはナトリウム、マグネシウム、カリウム、塩素等のイオンやその塩が含まれています。このうち塩化マグネシウムは潮解性が強く、その結果、天然塩の表面では、にがりに含まれる塩は溶解し、さまざまな元素からなる飽和水溶液となっています。このにがりを含む天然塩を焼成すると水分が蒸発し、飽和水溶液に含まれていた元素から生成する種々の結晶に変化します。この結晶が固結の防止に効果を発揮していると考えられたため、EDSマッピングによって、にがりがどのような組成の結晶に変化して、固結の防止に効果を発揮しているかを分析しました。

焼成した天然塩についてSEM-EDSで得られた結果を3から6に示します。3は焼成した天然塩の電子顕微鏡写真です。4は同じ画面の塩素元素のEDSマッピングの結果です。ほぼすべての結晶から塩素元素が検出されています。同様に、5は同じ画面のナトリウム元素、6はカリウム元素のEDSマッピングの結果です。これらの図を注意深く比較して見ると矢印で示した2つの結晶からはナトリウムが検出されず、カリウムが検出されています。こうして塩化ナトリウムの結晶以外に塩化カリウムの結晶が存在していることが解りました。同様にして塩化カリウム以外の複数の塩の結晶を検出しました。

検出された塩を純粋な塩化ナトリウムと混合し、荷重を負荷することで固結防止効果の検証を行った結果、固結防止効果は塩化カリウムが主要因となり、酸化マグネシウム、硫酸カルシウムの効果が相加されていると推定することができました。

図3 繊維断面拡大図(左)、ボビン巻繊維(中)、試作フェルト(右)

図3 繊維断面拡大図(左)、ボビン巻繊維(中)、試作フェルト(右)

4.おわりに
EDSマッピングはこれまでは合金等、金属材料の分析に多く用いられていましたが、最近では食品分野に応用されることも多くなりました。例えば、異物が調理前に混入したのか、調理後に混入したのかをEDSマッピングにより分析する手法が特許2)にもなっています。

この手法の弱点は、装置の制約から試料サイズが最大でも2p×2p角程度までに限定されること、試料の表面から発生するX線を分析するため表面が目的外の元素(いわゆる汚れ)で覆われていると試料の元素を正しく分析できないことです。そのため、例えば大きな煮物での調味料の浸透具合を検証する場合には、中心部と外縁部に分けて調べるなど手法の改善が必要となりますし、異物の構成元素を調べたい場合には、セロハンテープなど表面に付着するもので張り付けてはならないなど配慮が必要となります。

今後も、食品に生じるさまざまな現象、トラブルの解明に寄与すべく、EDSマッピングの応用を進めていきたいと考えています。



文献
1) 半谷ら, 焼き塩製造時に発生する副生物の解析及びその固結防止効果の評価と作用機構の解明, 公益財団法人ソルト・サイエンス研究財団「平成24年度助成研究報告集T」(理工学 農学・生物学編),2014, 107-115.

2) 特許第4267987号:混入異物の判別方法

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