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花から分離した酵母の製パンへの活用
食品工業技術センター

記事更新日.17.01

あいち産業科学技術総合センター 
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〒451-0083 名古屋市西区新福寺町二丁目1番地の1
TEL:052-325-8093  FAX:052-532-5791
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はじめに 

近年、食品業界では、地域活性化を目的に各地の特産品を利用した商品提案が盛んに行われています。パン業界においても、地域の特産品である野菜・果物を使った総菜パンや菓子パン、県内産の米粉を使用した米粉パンなど、地産地消をコンセプトとした商品が数多く見られるようになりました。こうした商品は、消費者に限定性・希少性を感じさせ、好意的な印象を与える傾向にあります。そのため、多くのパン製造者が、新たな地域素材を活用した新商品開発への意欲を示しています。

当センターではこれまでに、パンの主原料の一つである酵母(イースト)を自然界から分離し、それを活用した商品開発を支援してきました。ここでは、愛知県内で採取した花由来の酵母をパン製造へ活用し、製品化に至った事例について紹介します。


酵母の分離と利用 

酵母は自然界に広く存在する微生物であり、清酒やワイン、ビール、醤油など様々な醸造食品の製造に利用されています。2013年11月掲載の技術の広場内でも紹介しましたが、当センターでは地域の商工会議所、大学及び酒造メーカーとともに、県内で採取した花からパンや清酒の製造に利用される酵母(Saccharomyces cerevisiae)を分離し、その性質を活かした清酒製造(発酵管理)に取り組んできました。その成果として、分離酵母を用いた清酒がこれまでに多く販売されるようになっています。そこで次の展開として、分離酵母の製パンへの活用を進めようと考え、今回は新たな地域の特産品となりうるパンの製品化と販売を目的に、酵母の分離を試みました。採取した桜の花を、雑菌の生育を抑制しつつ酵母の増殖が促進されるよう調製した培地に浸漬し、培養条件を制御することで酵母の分離操作を行いました(図1)。分離された酵母は、遺伝子解析等を行うことで、製パンで利用されている酵母と同じ種のS. cerevisiaeであることを確認しました。同じS. cerevisiaeであってもその特性は菌株ごとに異なることから、分離された酵母の製パン適性を評価するため、パン用酵母試験法1)に従い生地膨張力試験を実施しました。生地膨張力試験とは、パンを膨らませるために必要な酵母の発酵力を、パン生地を用いて評価する試験法です。糖濃度を0%(無糖)、5%(低糖)、30%(高糖)のいずれかに調製した生地を、上下開放系のシリンダーの底部から詰めた後、30℃の環境下で試験を実施します(図2)。一定時間ごとに生地の体積を測定し、その値を生地膨張力とすることで、パン生地中での酵母の発酵力を経過時間ごとに知ることができます。「サクラ酵母」と名付けた分離酵母は、市販のパン用酵母と同程度の発酵力を有しており、特に無糖生地での発酵初期段階では、市販パン用酵母よりも発酵力が高いという特徴が見られました。また、パンの試作試験を行ったところ、風味の良好なパンが出来上がり、市販パン酵母を使用して試作したパンと遜色のない評価が得られました。

これらの結果を基に、岡崎市内の製パン企業である(株)四季が、この「サクラ酵母」を活用した米粉パンの開発に取り組みました。現在、「サクラ酵母」と米粉を使用した食パンや(図3)、ロールパンなどが製品化されています。


おわりに

上記事例は、「特定非営利活動法人21世紀を創る会・みかわ」岡崎活性化本部からの要望を受け行われたものです。この事例では、岡崎市制100周年にあたる平成28年春に開花した岡崎城周辺の桜の花と、家康公所縁の地である法蔵寺の桜の花から複数の酵母を分離しました。また、酵母の分離と同時に、ヨーグルトの製造に利用される乳酸菌や、食酢の製造に利用される酢酸菌の分離にも成功しています。これら微生物の分離は、地域活性化のための新たな資源として、岡崎市内の企業に広く活用してもらうことを目的に実施したものであり、希望する企業には分離した微生物の頒布を行っています。

別の事例では、半田市の天然記念物に指定されている白モッコウバラからも酵母を分離しており、その際は、製造されたパンが期間限定で市内の催事にて販売されました。

こうした事例のように、各地域の特色ある観光資源から分離した酵母は、それを使用することで他の商品と異なる印象を消費者に与えることができ、商品に新たな価値を付与する食品素材となり得ます。当センターでは、今後もこうした取組みを継続するとともに、蓄積した知見・技術を活用しながら、県内企業の更なる振興に貢献できるよう努めてまいります。

文献 1) 日本イースト工業会:パン用酵母試験法 (1996)

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