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摩擦攪拌接合(FSW)
産業技術センター

記事更新日.18.11

あいち産業科学技術総合センター 

■問合せ先
〒448-0013 刈谷市恩田町1-157-1
TEL 0566-24-1841 FAX 0566-22-8033

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1.はじめに 

近年、自動車・鉄道等の輸送産業界における軽量化の要請や、環境問題対策としての低燃費化の指向により、軽金属、特にアルミニウム合金の使用傾向が加速化しています。こうした状況の中、金属加工の基盤技術として、軽金属合金の特性に合わせた接合方法の新規開発が課題となっています。
アルミニウム合金薄板の接合は、この材料の熱伝導、比熱、溶融潜熱、及び電気抵抗の特性のため、1点を集中して加熱することが困難でした。このため、融点が低いにもかかわらず、溶融接合では局所的に溶融することが難しく、また、加熱後生成した酸化皮膜による不具合発生が著しいという問題がありました。そこで、従来の溶融接合とは原理を異にした摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding, 以下FSW)が、英国溶接研究所で1991年に開発されました。FSWは、素材を溶融しない固相接合法で、溶融接合法にない優れた特徴(変形が少ない、接合部強度低下が少ない等)を有し、自動車、鉄道車両、航空機、橋梁等を中心に様々な分野で実用化されています。さらに、アルミニウム合金材料のみならず、マグネシウム合金、銅合金及び鉄鋼材料に対しても同種・異種材料の接合方法として、幅広く研究されています。


2.接合原理 

接合には先端がスナップホック状になったシャフト型のツールと呼ばれる工具を使用します(図1)。先端には、プローブと呼ばれる、ねじの施された突起があり、このプローブ頂端を、重ね合わせた接合材料の接合面に押し付け、高速で回転させると摩擦熱により材料が軟化します。この状態でツールを回転させたままショルダーまで押し込むと材料は塑性流動を始め、攪拌され、材料が接合面で一体化されます(図2)。この際、プローブのねじ部により材料は下方向に攪拌されますので、重ね合わせた接合面を超えてツールを押入させると、上、下板を同時に攪拌し、穴あき(押入痕)コイン状の接合部を形成します。これは、摩擦攪拌点接合(Friction Stir Spot Welding, FSSW/Friction Spot Joining, FSJ)とも呼ばれ、従来アルミニウム合金のスポット溶接で大電流を必要としていた接合方法に代わる技術となります。
また、突き合わせた板に対し、ツールのプローブ部を回転挿入し、接合面に沿ってツールを移動させると、突合せ線接合となり、従来の突合せ溶接に代わる技術となります。FSWによる突合せ線接合は、異種材料を接合する場合でも、溶融による化合物層を形成しないため、脆化・変形等の不具合に対し有効な対策となり、鋼−アルミニウムの接合方法としても報告されています。



3.接合事例

(1) 点接合(重ね合わせ点接合)

図3に摩擦攪拌点接合による接合結果を断面図で示します。接合部中央に押入痕が残りますが、接合部の組織観察から、結晶粒の微細化が認められ、また接合強度も確保されていることが確認できました。

(2)線接合(突合せ線接合)

図4に、FSWにより形成されたアルミニウム合金の突合せ線接合を示します。やはり、点接合同様、接合の終了点にツールプローブの押入痕が残るのが難点ですが、平坦な接合部をもって処理がなされていることがわかります。この接合断面を観察すると、攪拌部の金属組織が微細化しており、これにより接合部の強度が確保されています。溶融接合と比較し、材料加熱が少なく、熱影響による接合部の脆化、変形が少ないことがFSWの利点となっています。

4.おわりに

FSWは、点接合・突合せ線接合だけでなく、隅肉接合(T字型、L字型等の角度を持った部位の接合)等その他の接合形態への展開とともに、プローブにより発生する押入痕の解消や、異種材料としてプラスチック・セラミックとの接合などへの応用研究も進んでおり、今後の研究成果が期待できる新しい接合技術と言えます。
当センターでは、現在、異種アルミニウム合金材の重ね合わせ線接合に関する研究を進めており、特性の異なるアルミニウム材のFSWによる接合面の最適化についての知見を深めております。FSW実機をご覧いただきながらのご相談にも応じておりますので、お気軽にお問合せください。

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