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「乳酸発酵おから」を配合したドレッシングの開発
食品工業技術センター

記事更新日.19.07

あいち産業科学技術総合センター 

■問合せ先
〒451-0083 名古屋市西区新福寺町二丁目1番地の1
TEL 052-325-8094 FAX 052-532-5791

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1.はじめに 

 おからは豆腐製造時に排出される副産物であり、大半が産業廃棄物として有償で回収されています。おからは、食物繊維や大豆由来の有用成分(大豆タンパク質、大豆イソフラボン等)が多く残存する豆腐ならではの素材ですが、水分含量が75%と高く腐敗しやすいため、有効活用が難しいのが現状です。最近では乾燥おからとしての利用も注目されていますが、当センターでは、生のおからの腐敗を低コストで抑え、より付加価値の高い食品素材として活用するための方法を検討しました。

2.乳酸菌を活用したおからの保存性向上と有用物質生産 

 当センターでは、乾燥設備を持たない多くの中小豆腐企業でも導入可能な、保存性向上と有効利用の両者を可能とする方法として、乳酸菌による保存性向上技術(バイオプリザベーション) の導入を検討しました。食品製造用の乳酸菌や発酵食品から分離した乳酸菌から、栄養源の添加が不要で、屋外での処理や室温での発酵といった条件下においても、腐敗を抑制可能な乳酸菌を選定しました。その結果、二種類の乳酸菌を組み合わせ、混合比、接種量、容器への詰め込み密度を最適化することで、24時間以内に腐敗原因菌の生育を抑制可能なpH域にすることができました。適切な包装条件により発酵物は長期保存が可能です(図1)。



 次に、発酵物をより付加価値の高い用途に活用するために、乳酸菌による、おからに含まれるタンパク質からのγ-アミノ酪酸(GABA)とオルニチンの生産について検討しました(図2)。GABAは血圧上昇抑制効果やリラックス効果、オルニチンは肝機能改善効果などを有するアミノ酸です。検討の結果、おからでの生育能が高くかつGABA、オルニチンの前駆物質であるグルタミン酸、アルギニンの生産能が高い株とGABA・オルニチン生産株との混合培養により、おからで速やかにpHを低下させて腐敗を抑制するとともに、機能性アミノ酸であるGABAとオルニチンを生産することができました。本技術では、おからだけを使ってGABAとオルニチン生産が可能ですが、外部からGABAとオルニチンの前駆アミノ酸を供給することにより、さらに生産量を増やすことができます。なお、本研究により確立した手法では、加熱殺菌なしで腐敗を抑えたまま安定した発酵物とすることができます。

3.「乳酸発酵おから」を配合したドレッシング開発

 乳酸発酵おからを食品素材として活用することで、おからの食物繊維や用途によっては生きた乳酸菌を摂取することができます。しかしながら、乳酸発酵おからの知名度が低いこと、乳酸発酵による酸味やおから由来の繊維感により、用途が限られるという課題がありました。そこで、東海三県の食品企業からなる、包装食品技術協会(企業会員117社)内の食品創造研究会(参加企業12社)と共同で、乳酸発酵おからの普及と製品化を検討しました。
 本研究会では、乳酸発酵おからの普及活動と、乳酸発酵おからを食品素材としたレシピ開発を行いました。普及活動としては、家庭で乳酸発酵おからを作る方法の確立を行い、包装食品技術協会ホームページ内専用サイトへの掲載(http://www.pfi-aichi.org/okara/index.html)と同内容でのリーフレット作成と展示会での配布を行いました。レシピ開発では、料理レシピサイト(https://cookpad.com)へ様々なレシピの掲載を行いました。試作を繰り返す中で、すりおろした野菜と混合することで、おからの繊維感がマスキングできることが分かり、おからの特性を活かした製品の一つとしてドレッシングを開発しました。おからは保水性が高いため、野菜にかけたときに野菜から分離しにくく、野菜と一緒に食べることができます。開発したドレッシングは、「食べるフレッシュドレッシングCarroOka」(販売元:(株)味食研)として、平成30年4月から県内2カ所で販売を開始しました。さらに「愛知のふるさと食品コンテスト」への応募も行っており、愛知県発の食品としてブランド化を目指しています。

4.おわりに

 本研究は、おからの保存性を高めたいとの業界からの要望を受けてスタートしました。その後、食品創造研究会との取り組みにより、研究成果を当初の想定を上回る形で製品化へと発展させることができました。当センターでは、技術指導や依頼試験に加えて、中長期的な研究開発に関する取り組みも行っていますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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