経営戦略レポート 技術の広場
経営戦略レポート
海外支援
中小企業支援等レポート
技術の広場
あいち技術ナビ
あいち産業振興機構中小企業支援
海外駐在員便り
時代の目
特集(トピックス)
企業ルポ
翔 魅力ある愛知の中小企業
あいちの製品ProductsAppeal
経営革新に挑戦する中小企業成功事例集
創業企業に聞く
支援企業に聞く
お店訪問 繁盛の秘訣
科学技術は今
ホームページ奮闘記
スペース
スペース
経営相談Q&A
労務管理Q&A
資金調達Q&A
組織活性化Q&A
環境対策Q&A
省エネQ&A
経営革新Q&A
窓口相談Q&A
IT活用マニュアル
IT特集
どんどん使ってみようWindows Vista
IT管理者お助けマニュアル
ネットワークお助けマニュアル
セキュリティお助けマニュアル
お助けBOX
補助金助成金一覧
施策ガイド
「ネットあいち産業情報」更新をお知らせします!
  トップ > 経営戦略レポート 技術の広場 >  耐候性の評価について
耐候性の評価について
三河繊維技術センター

記事更新日.20.3

あいち産業科学技術総合センター 

■問合せ先
〒443-0013 蒲郡市大塚町伊賀久保109
TEL 0533-59-7146  FAX 0533-59-7176

印刷用ページ

1.はじめに 

 われわれの身の回りにある製品は、用途別に要求される性能が異なり、それらは近年高度化・複雑化しているが、各々に対応した製品の安心・安全、性能の信頼性と耐久性の確保が求められています。また新素材の導入、製造技術の開発等に加えて、信頼性を確保するための性能評価技術の高度化・迅速化が求められており、特に、共通する最も重要な要求性能は、時間のかかる「耐候性」の評価であり、この迅速化が求められています。つまり、身の回りに使用されている、全ての物は、その使用環境において劣化するため、製造販売する側にとって、その劣化度合いを事前に把握することは、必要不可欠です。
 本報では、製品の安全性を担保する耐久性試験のうち、耐候性試験について紹介します。

2.耐候性試験とその種類 

 耐候性とは、日本産業規格JIS D0205自動車部品の耐候性試験方法において『自然環境のうち,主として日光,雨雪,温度,湿度及びオゾンによる劣化に対する抵抗性』であると、記載されています。
 その耐候性を確認する耐候性試験には、大きく分けて、『屋外暴露試験』と『促進耐候性試験』があります。前者は、その名のとおり、実際の環境下に製品を曝し、その耐久性を測るものです。直接暴露するもの、窓際の環境を模してガラスを隔てて暴露するものなどがあり、実際の使用に応じた暴露を実施できますが、結果が出るまでに長期間を要すること、場所によって気象条件が異なるため、地域や季節によって結果が異なるのが欠点となります。
 後者は、実際の暴露と比べて非常に多くのエネルギーを持つ人工光源を用いるため、より迅速に結果を導き出すことができるとともに、常に一定の条件下で試験を実施できるのが利点となります。つまり、図のように自然現象が材料に与える負荷を再現かつ人工的に増大させて与えることにより、時間を短縮して劣化状況を促進させることができます。


 ただし、実際の暴露には複合的な要因が加わること、人工光源と太陽光との分光放射照度分布との違いから、促進耐候試験における100時間暴露が実際の暴露で何年分相当であるか、単純に求められないのが欠点となっています。
 三河繊維技術センターでは、『促進耐候性試験』として、サンシャインウェザーメーター、メタリングウェザーメーターおよびフェードメーターを所有しており、企業からの依頼に応じ、色の変化や強度測定等を組み合わせることにより耐候性を評価しています。繊維技術センターということもあり、網、ロープ、織物、ニット等の繊維製品を取り扱うことが多く、データ蓄積の豊富なサンシャインウェザーメーターの需要が高くなっています。他にも、建築材料、ガーデニング資材、自動車部品、塗膜など、企業のニーズに応じて試験を実施しています。また、近年、サンシャインウェザーメーターの7倍の放射照度を有するメタリングウェザーメーターが、短時間で耐候性の評価を実施できるとして需要が高まっています。


 次に、促進耐候性試験機の種類と特徴を記します。

・キセノンウェザーメーター
 紫外部から可視部にわたり、太陽光の分光放射照度分布と最も近似したキセノンランプを光源としています。日本の国家標準の一つである日本産業規格JISや国際標準化機構が制定したISO、ASTMインターナショナル規格ASTM等に対応しており、グローバルスタンダードな試験機です。また、太陽光の約3倍の放射照度を有する高照度型もあり、試験時間の短縮化が可能です。

・サンシャインウェザーメーター
 分光放射照度分布において、紫外部の立ち上がりが太陽光と近似しており、また、350-430nm付近まで強いエネルギーを有するカーボンアーク光源を用いています。80年もの歴史がある試験機で、そのデータの蓄積量から、様々な業界で使用されています。キセノンウェザーメーターと同じく、JISやISO等多くの規格に規定されています。

・メタリングウェザーメーター
 太陽光と比べて、紫外部に強大なエネルギーを有するメタルハライドランプを光源としており、機種によっては、太陽光の約20倍以上のエネルギーを持つものもあり、長期耐久性を迅速に評価できます。規格化はされていませんが、試験期間や試験にかかるコストを圧縮できるなどの利点があります。

・フェードメーター
 JISにおける繊維製品の耐光堅ろう度試験で規格化されており、最も歴史のある試験機です。繊維業界はじめ、屋内で使用される建築内装材、家具や文具等、幅広い分野で使われています。

 これらの試験機は、様々な製品の促進耐候性試験の規格に定められています。製品と規格の一例を表に示します。

3.おわりに

 本報では、長期耐久性を評価するための耐候性試験について紹介しました。要求される性能に応じて、これらの耐候性試験と、外観検査、強度測定、光沢度や色差等の評価試験を組み合わせることで、耐久性の評価や寿命予測を行うことができます。
 あいち産業科学技術総合センターでは、今回紹介した各種耐候性試験およびその前後における強度や色差等の評価試験を行っております。ご興味のある方は、一度お問合せいただき、新商品開発、製品の品質管理等にご活用ください。 

参考文献
 1)スガ試験機(株)促進耐候性試験機 総合カタログ

あなたのご意見をお聞かせください
この記事を友人や同僚に紹介したいと思う
参考になった
参考にならなかった
 
Aichi Industry Promotion Organization
財団法人あいち産業振興機構